グローバル化時代の資本主義の精神
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
ジョン・ウェスレーが提示した「寄付」という方法の背景
第2話へ進む
なぜiPhoneが必要? ヘーゲルの論じた資本主義の欲望
グローバル化時代の資本主義の精神(1)資本主義の機制
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
マックス・ウェーバーは、1905年に出版された著書の中で「プロテスタンティズムの倫理が、かえって資本主義の無際限の欲望を解放した」と述べた。今日、資本主義はどうなっているのか。第一次世界大戦100周年の今年、改めてウェーバーを手がかりに資本主義を考え直す機会と捉える東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏。グローバル化時代の資本主義の精神について、シリーズで考察を進める。1話目のテーマは資本主義の機制。(2014年11月7日開催日本ビジネス協会インタラクティブセミナー講演より、全6話中第1話目)
時間:12分20秒
収録日:2014年11月7日
追加日:2015年5月14日
≪全文≫

●プロテスタンティズムの倫理が資本主義の無際限の欲望を解放した


 資本主義の精神と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、当然マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本です。これは、だいたい110年前の1905年に出版をされています。

 今年は第一次世界大戦100周年なので、20世紀とはいったい何だったのか、そして、20世紀にとっての資本主義は何だったのかを考えると同時に、20世紀は戦争の世紀でもありましたので、いったいあの戦争、しかも、世界化した戦争とは何であったのかを考える非常によい年だったかと思います。

 私は、今日、このウェーバーについて、もう1回考え直してみたいと思います。ウェーバーは、この本の中で、「プロテスタンティズムの倫理、すなわち、世俗内禁欲という倫理が、かえって資本主義の無際限の欲望を解放した」と述べていました。つまり、パラドックスですね。本来であれば、キリスト教、とりわけ、プロテスタンティズムは禁欲を主張しますので、儲けることに対しては厳しい態度をとるのです。ところが、それにもかかわらず、プロテスタンティズムから資本主義が生まれてきたとまでは言いませんが、資本主義を支える仕組みが登場したと、ウェーバーは論じたのです。


●ポスト世俗化の時代、世界各地で宗教が復興をしている


 では、今日はどうなっているのかというと、ウェーバーの時代に比べましても、資本主義の速度はますます増しています。一個人や一社会では対処できない、グローバル・イシューズと言われているような非常に困難な問題が、われわれの目の前に現れてきています。

 しかも、これは重要な概念なのですが、同時に今「ポスト世俗化の時代」と言われています。近代は、世俗化、secularizationの時代だと言われてきました。つまり、政治と宗教の分離なのですが、それまで宗教は社会の全体を覆っていたのです。ところが、その宗教が個人の内面の問題に還元されていきました。そして、社会の公的な領域から宗教が退いていき、政治が宗教から独立して、ある種の公的な空間を構成していくようになるということが近代だと言われてきたのです。ですから、ウェーバーのプロテスタンティズムにしても、プロテスタンティズムの倫理、すなわち、世俗内倫理、世俗内道徳という形で宗教が残ったことを前提にしていたのです。

 しかし今、世...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(3)奇矯で壮絶な親娘の生活
引っ越し93回…自炊も片付けもせず、絵に人生を捧げた親娘
堀口茉純
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸