グローバル化時代の資本主義の精神
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
丸山眞男の盟友ロバート・ベラーの問い「日本はどこに?」
グローバル化時代の資本主義の精神(5)グローバル市民社会への貢献の鍵~弱い規範としての「禮」
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
丸山眞男の盟友であったロバート・ベラーは、日本びいきという一面がある。だが、同時に、彼が投げ掛けた問い「日本はどこに?」は、日本への問いかけであり、「グローバルな市民社会に資するような資本主義の精神とは何でありうるのか」に関わっている。それは、「哲学は今、何ができるか」への回答でもある。(2014年11月7日開催日本ビジネス協会インタラクティブセミナー講演より、全6話中第5話目)
時間:14分04秒
収録日:2014年11月7日
追加日:2015年6月1日
≪全文≫

●ロバート・ベラーが説いた「市民宗教論」


 ロバート・ベラー。これは亡くなる1年前に東大に来て講演した時の写真で、彼は丸山眞男の盟友でした。ちなみに丸山眞男という人は「福澤惚れ」というのでしょうか、福澤諭吉の精神を継承しようとした人でもありました。

 ベラーは宗教社会学をやった人で、『宗教とグローバル市民社会 ロバート・ベラーとの対話』を出しています。彼をとりわけ有名にしたのは、「市民宗教論」です。彼は「アメリカを支えているのは、市民宗教である」と言いました。既存のキリスト教の○○教会などというものではなく、アメリカ全体が一種の市民宗教を持っている。それがアメリカの精神なのだと言ったわけです。

 その精神に訴えることによって、彼はベトナム戦争に対して、「この戦争は、アメリカのシビリゼーションに反する」という論陣を張って反対していった人でした。


●ベラーの問い「日本はどこに?」


 彼は日本びいきの人ですが、東京大学駒場(UTCP)で行った講演では、こんなことを言いました。

 「日本は世界の大国であり、第三の経済大国であり、驚いたことに、海上自衛隊は世界第二位の力があるようですが、健康保険制度やその他のさまざまな点を比較しても、日本はベストな国々の中でもトップに近いということです。日本はモデルとなる社会なのです。」

 ところが、こう続けるのです。

 「世界において日本はどこにいるのか。どこにもいない。どこにも。私たちは日本を必要としています。なぜなら、日本は世界でリーダーシップを発揮すべき多くのよさを代表しているからです。」

 しかし、こう言います。

 「日本が豊かで成功した国であるにもかかわらず、実際には世界から身を隠し、どこか洞窟の中にいるということに対して、政府が責任を取るように仕向ければいいではないか。そうしたイニシアティブは、市民のさらなる関与と、日本が世界においてリーダーシップの役割を果たすことの両者を共に強化するのだと思います。」


●ポストモダンの価値相対主義に疑問を投げ掛けたベラー


 すなわち、日本の世界に対する貢献が待たれている、とベラーは言っているのです。もっと言ってしまえば、彼は世界を「日本化」すればいいと考えていたわけです。しかし、そのことを日本は引き受けようとはしません。それを非常に残念がりました。

 そして...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ