グローバル化時代の資本主義の精神
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アインシュタインとロバート・ベラーの共通項は?
グローバル化時代の資本主義の精神(6)質疑応答
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
中島隆博氏による「グローバル化時代の資本主義の精神」講演の後、もう一つの白熱した議論が交わされた。参加者との質疑応答だ。単なる教養に終わらない「哲学」の可能性、会社やビジネスの将来を開く鍵がグローバル市民社会と関わることに、大きな感銘を受けてのことのだろう。(2014年11月7日開催日本ビジネス協会インタラクティブセミナー講演より、全6話中第6話目)
時間:15分05秒
収録日:2014年11月7日
追加日:2015年6月1日
≪全文≫

●藤沢周平的な世界は「来たるべきもの」として読むことは可能


―― 資本主義というのは、守護者が必要なのではないかと、私は思っています。渋沢栄一はまさにそれに当たる人物だったのではないかと思うのです。渋沢と言えば『論語と算盤』ですし、先生のお話を聞くと石田梅岩を彷彿させるお話もありました。また、日本には当然、二宮尊徳もいます。その中にマックス・ウェーバーなどの宗教に対するお話が混ざってきたわけで、先生のお話からはそうした広い意味での宗教から未来を語ることができると示唆されているように感じました。そうすると、少し話が外れるのですが、最後の結論のところで「藤沢周平はやはり、いいな」と思うのです。

中島 (笑)なるほど、なるほど。

―― 最後のところで先生は「禮」や「軆」の部分を強調されていますが、そうであれば、まさに藤沢周平の描いた『蝉しぐれ』などは最高で、そういう生き方を目指したいと感じた次第なのですが、いかがでしょうか。

中島 おそらく福澤が考えていたのは、そういうことだろうと思います。彼は啓蒙の思想家ですから、当然のこととして明治以前の時代をどこかで否定しないといけない役割があったわけです。それはもちろん、自覚的にやったはずです。しかし同時に、今日引用したところにもあったように、武士の持っていた宗教に対するある種の不思議な態度(淡泊のみならずほとんど無味)が、実は来るべき未来への態度なのではないかという勘を持っていたわけです。

 ですから、藤沢周平的な世界は、もちろん一種の作り込まれた世界ではありますが、今おっしゃったように「来るべきもの」として読むことは、十分可能だと思います。


●アインシュタインとベラーの共通項はあるのか?


―― 今日のロバート・ベラーの話について、戦前、アインシュタインも同じようなことを言っていたような記憶があります。西洋人の見方は、例えば明治初期の日本にやってきたイギリス人がずっと馬に乗って日本中を回ったような紀行(イザベラ・バードの『日本紀行』)がありまして、それと似たような感じを受けましたが、どうなのでしょうか。

中島 アインシュタインについては、2008年にノーベル賞をお取りになった南部陽一郎先生が翻訳されたものがあります。その中で、実は宗教と道徳と科学について論じたものがあるのです。

 そこで彼は、ベラーなどと...

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