●世界的に見ても睡眠不足な日本人
―― 続きまして西多先生、現代人における「社会的時差ボケ」の状況ですね。そこを詳しくお話しいただきます。
まず最初が、よく言われますけれど、日本人の睡眠時間が短いというところですよね。
西多 そうですね。社会的時差ボケは睡眠不足と密接に関わっていて、最初は睡眠不足の話をせざるを得ないのです。左は2013年に発表されたデータなので、もう実は10何年前の話なのですけれど、7時間未満の人の割合を主要国で比較したところ、日本の6割以上が7時間未満であったのです。他の国はもっと寝ていたということで、これはかなり昔です。
睡眠が大事だということはこの1、2年どころか、もうだいぶ前からいわれているわけで、改善したかというとあまり改善していなくて、この右がOECDのデータです。この睡眠時間を見ても分かる通り、日本はいちばん左のいちばん短いところにあります。
―― 圧倒的に低いですよね。
西多 低いのですよね。
―― ええ。
西多 これが今に始まったことではなくて、10何年たってもこのありさまであるということで、やはりまだまだ睡眠不足は問題であるということなのです。
―― 日本人でも、例えば大谷翔平さんなどはパフォーマンスを上げるためということで、10時間(以上)ですかね。
西多 12時間ですね。
―― かなり長く寝ておられるということですが、実際なかなかそれだけ寝られない人が多いということですよね。
西多 実際はそうなってしまっているということですね。
―― そうですね。さらにまた状況を見てまいります。
西多 これは研究データで、アカデミックなペーパーなのですけれども、年代別に各エリア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、東アジアとかの睡眠時間を調査した『Nature』の研究です。上にあるように、赤い点々で囲っているイーストアジアは、左19歳から33歳はまだそこまで少ないというわけではないのですけれど、東アジアの特徴は中高年層の睡眠時間が短いことです。特にいちばん右のように、54歳から74歳が圧倒的に低いのです。
―― 圧倒的に低いですね。
西多 他のアフリカヨーロッパはよく寝ています。東アジアもいろいろな国があるということ...