●社会的時差ボケが大きくなると高まる抑うつ傾向
―― 続きまして。
西多 ソーシャル・ジェットラグのメンタルヘルスです。日本のソーシャル・ジェットラグ、社会的時差ボケというのは夜型が影響しています。若者は夜型が多いのです。基本的には若者です。高校生、大学生、あるいは若い社会人、このあたりが影響を受けやすいということです。中学生を調べたところ、右の数字にもありますけれど、社会的時差ボケが1時間以上、いわゆる平日起きる時刻と休みの日に起きる時刻が1時間以上ずれている人はほぼ5割です。これでも少ないかなという感じです。
―― たしかに。
西多 私もずれまくっていましたから。2時間以上になると17.1パーセントです。それも私には少ないような気がするのですけれどね。
―― 実態はもう少しあるかもしれないですね。
西多 そうです。例えば、下に挙げるように、1時間以上のソーシャル・ジェットラグは、いろいろと変な関連、初潮の非到達とか、成長が良くないと睡眠が悪いとか(はあります)。ただ、大きいのはスマホです。スマホの時間が長いほど、この社会的時差ボケが長くなってしまうのです。ニワトリとたまごで、やることがないからスマホを見たり(もあります)。
この1時間以上の人たちをずっと追跡していくと、うつっぽくなったり、日中の眠気が強い人が多かったというのです。いちばん下にあるような、QOL、全般的な生活の質の低下です。学業が低いとか、不活発だとかメンタル的にパッとしないとかが、2時間以上だとはっきりしてくるということが、この中学生のデータからも(分かります)。
―― そうですね。ですから、当然からだのリズムの問題もあるでしょう。もう一面、例えば朝型と夜型が合っておらず、授業中寝ていますとか、遅刻が多いですとかになると、プレッシャーなり、悪いことをやっているような、みたいな精神的な圧力というのもあると思うので、ダブルパンチで来ますよね。
西多 そういうことなのです。ですから、アメリカのある州では学校の始まる時間を、特に中学校、高校生は少し遅くしたりしています。そうすると成績が少し上がったということです。
―― それで上がるものなのですね。
西多 あるいは非行の率が下がったとかがあるのですけれど、これは教員の方の働き方などいろいろあるので、な...