睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ
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ウェルビーイングの危機へ…夜型による若者の幸福度の低下
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(4)社会的時差ボケとメンタルヘルス
健康と医療
西多昌規(早稲田大学スポーツ科学学術院教授/早稲田大学睡眠研究所所長)
社会的時差ボケは、特に若年層にその影響が大きい。それはメンタルヘルスの悪化にもつながり、彼らの幸福度を低下させるため、ウェルビーイングの危機ともいうべき事態を招くことになる。ではどうすればいいのか。欧米で注目されている「キャッチアップ・スリープ」という方法を取り上げながら考える。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:7分20秒
収録日:2025年1月17日
追加日:2025年8月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●社会的時差ボケが大きくなると高まる抑うつ傾向


―― 続きまして。

西多 ソーシャル・ジェットラグのメンタルヘルスです。日本のソーシャル・ジェットラグ、社会的時差ボケというのは夜型が影響しています。若者は夜型が多いのです。基本的には若者です。高校生、大学生、あるいは若い社会人、このあたりが影響を受けやすいということです。中学生を調べたところ、右の数字にもありますけれど、社会的時差ボケが1時間以上、いわゆる平日起きる時刻と休みの日に起きる時刻が1時間以上ずれている人はほぼ5割です。これでも少ないかなという感じです。

―― たしかに。

西多 私もずれまくっていましたから。2時間以上になると17.1パーセントです。それも私には少ないような気がするのですけれどね。

―― 実態はもう少しあるかもしれないですね。

西多 そうです。例えば、下に挙げるように、1時間以上のソーシャル・ジェットラグは、いろいろと変な関連、初潮の非到達とか、成長が良くないと睡眠が悪いとか(はあります)。ただ、大きいのはスマホです。スマホの時間が長いほど、この社会的時差ボケが長くなってしまうのです。ニワトリとたまごで、やることがないからスマホを見たり(もあります)。

 この1時間以上の人たちをずっと追跡していくと、うつっぽくなったり、日中の眠気が強い人が多かったというのです。いちばん下にあるような、QOL、全般的な生活の質の低下です。学業が低いとか、不活発だとかメンタル的にパッとしないとかが、2時間以上だとはっきりしてくるということが、この中学生のデータからも(分かります)。

―― そうですね。ですから、当然からだのリズムの問題もあるでしょう。もう一面、例えば朝型と夜型が合っておらず、授業中寝ていますとか、遅刻が多いですとかになると、プレッシャーなり、悪いことをやっているような、みたいな精神的な圧力というのもあると思うので、ダブルパンチで来ますよね。

西多 そういうことなのです。ですから、アメリカのある州では学校の始まる時間を、特に中学校、高校生は少し遅くしたりしています。そうすると成績が少し上がったということです。

―― それで上がるものなのですね。

西多 あるいは非行の率が下がったとかがあるのですけれど、これは教員の方の働き方などいろいろあるので、な...

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