睡眠のリズムに大きな影響を及ぼすシフトワーク。医療業界などそうした働き方をせざるを得ない職場では、夜勤問題などもあり、2交代制と3交代制、どちらにも問題がある。そうしたシフトワークの影響を減らすためにどのような工夫が可能だろうか。短時間での仮眠の有効性を中心に、個人や組織ができる対策を解説する。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
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●シフトワークで必要な睡眠への工夫
―― 最後に、対策がなかなか難しいというお話もありました。
西多 対策が、今回講義をしていていちばん申し訳ないというか、冒頭にも述べましたけれど、シフトワークは各業種がやっているわけです。その中でも業界ごとというか、会社組織によって違います。
例えば自動車メーカーなどの、あるところでは、1週間、2週間夜勤して、その次は日勤だとかと、まとめてやるところもあれば、病院みたいに今日は日勤、次は夜勤、少し休んで、また日勤というところがあって、本当にマニュアルが作りにくいところです。
あと、研究もしづらいのです。生産性や安全リスクにも関わってきますので、企業の方に実験とか献金をお願いするのもなかなか難しいところがあったりします。
その中で、現状で対策として分かっているところを少しご紹介したいと思うのです。
これは医療系、病院系のシフトワークの研究でよく出てくるのですけれど、仮眠です。途中少し寝ておくと、悪くはないのであるということです。例えば16時間夜勤中に、これは主に医療系だったと思うのですけれど、90分プラス30分の分割仮眠をとると、まとめて120分仮眠するよりも良かったということです。
―― 分割仮眠というのはどのように寝るイメージですか。
西多 おそらく最初に90分です。
―― これは、時間は別に、ですね。
西多 そうですね。夜勤の少し過ぎたあたりで少しやって、また30分寝るというほうが、真ん中ぐらいで2時間、ボンと仮眠するよりも、早朝明けの(眠けの)軽減が図れるのではないかということなのです。
―― これはあまりそういう使い方をしてはいけませんが、徹夜で仕事しなければならないようなときというのは、もしかしたら参考になるかもしれないですね。
西多 そうですね。これは日中の仮眠でも長すぎるとまずいということです。120分寝てしまうと深い睡眠に入ってしまうのです。深い睡眠(レム睡眠)に入ってしまうのです。そうなってしまうと、今度は起きるのが大変なのです。ご経験はあると思うのです。長すぎた昼寝をしてしまうと、ちょっとぼーっとしてしまって、夕方になってようやく目が覚めてきたとかで、夜寝られなくなったとかです。
―― 眠りが深いときに、例えば誰かから起こされたりすると、本当にどうにも...