「イスラム国」の本質と将来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
イスラムでは許しがたい火刑を断行したIS
「イスラム国」の本質と将来(3)「イスラム国」は、組織か「国家」か
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
イスラムとは、信仰共同体であると同時に国家であるという特徴を持ち、「イスラム国(IS)」はこの点を巧みに利用しカリフ宣言を行った。しかし、2015年1月を契機に、中東の人々がISに抱いてきた印象は変化している、と山内昌之氏は見ている。歴史家の眼を通して知るイスラム世界とISの本質。(2015年2月16日開催 日本ビジネス協会インタラクティブセミナー山内昌之氏講演 “「イスラーム国」の本質と将来 第一次世界大戦勃発100年から第二次世界大戦終結70年への徒花“全6話中第3話目)
時間:11分29秒
収録日:2015年2月16日
追加日:2015年3月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●平和の宗教であり戦の宗教でもあるイスラム

 
 ここまでお話しした中東の情勢、テロリズムというもの、日本のそれらに対する認識、といったことを踏まえて、さらに話を進めますと、ISにあのようなことを許している根拠は何なのかということです。

 時間がないので全て語るわけにはいきませんが、一つには、イスラムの教えが、聖典「コーラン」と預言者ムハンマドすなわち神の啓示を受けたイスラムをこの世界に伝えた人間たちの最初の言葉をまとめた言行録「ハディース」にまとめられていることにあります。すなわち、そのどこをとるかによって、イスラムは平和の宗教にもなるし、ムハンマド自身が戦いを指導したように戦の宗教、あるいは暴力を必ずしも否定しないものにも読めるようになるのです。「イスラムは平和の宗教だ」と言うだけではイスラムを語ったことにはなりません。それはどの部分をとるかによって、イスラムは暴力の宗教にもなるという理屈の一番悪い側面が、阻害された形で出たのがISなのです。


●イスラムの特徴を巧みに利用するIS

 
 それでは、なぜそういった側面が出てくるのかというと、イスラムが出来た時、イスラムというムハンマドが組織した教団、共同体は、実は同時に行政や徴税、軍事も束ねる国家と重なっていたということなのです。信仰共同体がそのまま国家である。これが7世紀の発足時におけるイスラムの特徴でありました。これが「ウンマ(信者共同体)」というものであり、ウンマが発展したものがアラビア語では〝ad-Dawlah al-'Islāmiyyah〟、直訳すると、今回の講演の最初にお話しした「イスラム国家」、つまり「イスラム国」ということなのです。

 ISが自称する「イスラム国」はこういう点で、イスラムとは何かということに関するある面を、非常にシンボリックに利用して人々に対して自分たちの組織名を浸透させ、さらにその組織名を映像や音声とともにプロパガンダすることで、あたかも自分たちのイスラム国がイスラムであるかのような錯覚を起させ、そうした幻想を振りまいたのです。そのことによって日本をはじめとした、欧米の一般市民が「イスラム国とはイスラムなのだ」と言って、「うちの子どもはイスラム国と敵対していません。イスラム国の子どもたちがいれば皆、私の家でお預かりします」と、日本でも後藤健二さんの母上のような人が出てくるのです。これ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(2)『2001年宇宙の旅』と現代への影響
オデュッセイアは数多の物語の源泉…映画『2001年宇宙の旅』からゲームまで神話の驚くべき影響
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子