人生と仕事観
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「貧」をバカにしない社会を取り戻すには歴史と伝統を学べ
人生と仕事観(7)貧富の格差の問題
考察と随想
対談 | 執行草舟田村潤
いま、「会社は投資家のもの」という時代になり、貧富の格差の問題が大きくなっている。だが、考えてみればかつては金持ちが貧者をバカにするような社会ではなかったし、貧者も必要以上に金持ちを妬(ねた)んだり嫉(そね)んだりしなかった。つまり「足るを知る」ことができていた。しかし、いまや我欲まみれになってしまい、互いに羨むかバカにしあう風潮がある。また、現代において、かつてのような気風を取り戻すためには、やはり歴史や伝統を学ぶことである。(全10話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分53秒
収録日:2025年7月4日
追加日:2025年10月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●「いい生活を送りたい」という物質文明は、もうもたない


執行 多分、政治家もわかっていると思います。「もう無理だ」と。飽和状態ですから。飽和状態で人間がとっかえひっかえ物を買っているだけ。

 無限経済成長をしないことは、別に悪いことではないのです。ヨーロッパも日本も500年、1000年、そういう経済でやっていたのですから。そこに突然、19世紀からアメリカという国が生まれたら、とんでもない成功をした。あれで幻惑されてしまっただけです。

 でも、アメリカの成功には、理由があります。あの無限の大陸を100年で開拓した。

田村 アメリカの思想文化も背景としてあります。

執行 だから、アメリカ自体は、その時代は正しかったと思います。どんどん作る。「作っちゃ売れ、作っちゃ売れ」と。

田村 よく執行さんもおっしゃる「物質文明から霊性文明の時代へ」と。

執行 そうならないと生き残れないということです。これはいい悪いではない。私が提唱しているのは、ずっとそういうことです。生き残るには無限経済成長という考えは捨てないといけない。自壊作用、自滅ですから。なぜこれがわからないのか、わからない。

 ただ、わからない理由として、一つ取り上げられるのは社会保障です。無限経済成長が続かない限り、社会保障を続けられない体制に各国ともなっています。

田村 もう一つは、誰でも「いい生活を送りたい」という思いがあるのです。豊かな生活。そうすると「給料をもっとほしい」と。そうすると「もっと利益を」となる。それは非常に強いものがあります。物質文明の強さです。

執行 ただ、これも100年も続けていればわかりますが、インフレ経済です。インフレ経済は豊かになりません。給料が10倍になっても、土地も生活費も10倍になる。今のニューヨークは誰も暮らせません。

 大学を出た人の(年間)初任給が、ニューヨーク州は(日本円で約)2000万円といいます。初任給2000万円もらっても、もう部屋も借りられない。(そうなると)レストランで食事もできないのです。パリもロンドンもそうです。だから、日本の今の(月給)30万円の人のほうが、生活が豊かなのです。もうそういう現状になっている。

 でも、数値だけ見たら、売上げと一緒です。日本の初任給は30万円だから、年収300~400万円。アメリカは(日本円で)2000万円。「これだけ差をつけられた」...