人生と仕事観
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本当の自分とは「見つける」のではなく「出会う」もの
仕事と人生観(10)理不尽なものも全て受け入れる
やりがいは結果論である。今の企業は「生きがいを持って、自分らしい人生を送ってくれ」と社員に言うが、結果として精神を病んだり、辞めたりする社員が増えている。「自分らしさ」とか「本当の自分」は自分ではわからず、外から来るものである。つまり、「見つける」ものではなく、「出会う」ものである。本当の自分に出会うためには「いいものも理不尽なものも全て受け入れる」ことが大事だ。そうしてこそ、「本当の自分」に出会うのだ。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分54秒
収録日:2025年7月4日
追加日:2025年11月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●いいものも理不尽なものも、全て受け入れてこそ


執行 やりがいは、結果論なのです。そういう意味では、戦後の教育は最低です。「自分らしい」とか「自分の幸せをつかみなさい」とか言っています。それで日本国民はノイローゼになってきた。

 では戦前までの教育は何か。今だと「ひどい教育」と言われますが、国のために何ができるか。「男は兵隊に行って国のために死ぬのが義務だ」と。そういうことを言われ続けた。あとは、親です。自分の人生よりも、子どもが一番言われたのは「親孝行」ですから。

 明治、大正時代なんて、(例えば)東北の貧乏で廓に売られた女の子が、死ぬまで自分の親に仕送りしているのです。これは今「ひどいこと」と歴史的にはみんな思います。でも私は廓に売られた女性は、自分の身が病気でダメになっても、親孝行のためにお金を送り続けられた人生。幸福論とはそういうものですから。

 その意味では、今は最低です。本当は「会社のために身を粉にして働け」と昔、言われたときのほうが、愛社精神がみんなあったのです。

 私の父が三井物産に入った頃は「お前たちは今日から会社の奴隷だ」とはっきり言われたそうです。大学を出て三井物産に入ったのは、戦前だから。新入社員の歓迎会のときです。横浜の運輸部に配属になり、運輸部の課長が一席設けてくれた。

 おにぎりがたくさんあって、おにぎりを1個ずつ、泥んこのところに課長が転がした。今そんなことをしたら大変ですが、転がして泥だらけのおにぎりを「これをすぐ食え」と言ったので、全員が食わされた。それで「わかったな。お前らは今日から会社の奴隷なんだ」と。そういう言い方をされたそうです。

 これはひどいです、確かに。ただ言いたいのは、その当時、三井物産に入った社員たちは、戦後の三井の社員より断然、愛社精神があるということです。父までの三井物産の社員はみんな、三井のために本当に生活も命も捧げるぐらいの気持ちでした。その頃に入った社員は、そう言われていたのです。

田村 「いいものも理不尽なものも全て受け入れる」ということではないですか。そうすると、(その意味では)これはいいことでしょうね。

執行 父の話で、実話ですから。

田村 それに対して、今は自分を表現する……。

執行 今はもう企業もみんな「この企業でぜひ生きがいを持って、君らしい人生を送ってくれ」な...