インド太平洋の基本的構造
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
クリントン政権時の外交漂流と同様の現象がいま起きている
インド太平洋の基本的構造(2)米国の対外政策が漂流する理由
白石隆(公立大学法人熊本県立大学 第3代理事長/国際政治学者)
アメリカの外交政策が漂流している。それは、冷戦終結後、アメリカ一強時代に突入したことに起因すると、政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏は分析する。果たしてそこで何があったのか。クリントン以降の歴代大統領に共通する点を指摘しながら、漂流の理由を解き明かす。(全3話中第2話目)
時間:4分50秒
収録日:2015年1月21日
追加日:2015年6月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●冷戦終結から始まったアメリカ外交の漂流


―― それから、アメリカですけれども、アメリカはよくぶれますね。

白石 ぶれます。

―― 先生は講演の中で、「ヒラリー・クリントンはとても学習能力が高かったが、必ずしもそうではない人も出てくる」とおっしゃっています。これは、やはりこれからも同じですかね。

白石 一番決定的な理由は、冷戦が終わり、外に大きな脅威がなくなったことだと私は思います。


●アメリカの対外政策が漂流している理由


白石 ビル・クリントンが大統領になった時、実は彼は初めて安全保障チームよりも経済チームを重視したのです。経済チームは、大統領といつでも会えましたが、安全保障チームは、ほとんど会えなくなってしまいました。その理由は、例の“It’s the economy,stupid”にありました。その言葉は、クリントンがアメリカ大統領選挙の時に相手候補に対して発したもので、経済が大事で、アメリカの経済を立て直すことが自分の一番大きい仕事だとして大統領になったのです。

 そうすると、外交は最大のプライオリティーではないのです。「対外戦略など後知恵だ」と考えた彼は、結局、安全保障チームよりも経済チームを重視したため、対外政策が漂流したのです。

 しかし、大統領が対外政策に関心がないと言っても、世界各地でいろいろなことが起こりますから、クリントン政権は結局、否が応でもそれに対応せざるを得なくなっていきました。

 同じことがブッシュ政権でもオバマ政権でも起こっています。ジョージ・W・ブッシュも初めて大統領になった時、「対外政策には関心ない」と言っていました。ところが、9・11によって、結局テロとの戦争が彼の一番大きな課題となります。バラク・オバマ大統領は、ある意味で世界金融危機の克服が最大の課題でしたが、イスラム国の問題や中国の台頭、ヨーロッパやウクライナの危機など対外的な諸問題をだんだんと相手にせざるを得なくなっていきます。しかし、本心では、それが一番重要で自分のやりたいことだとは思っていないはずです。そのことが、おそらく外交政策が漂流する最大の理由です。ただ、その中で戦略的に考える人と戦術的に考える人がいます。

 クリントン政権時代に書かれたものをいろいろと読むと非常にはっきりしているのですが、ビル・クリントンさんは、とても頭のいい人だと思い...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏