中国古典思想に学ぶ~そのエッセンスとは
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
治水に長けた禹の如く人間を救済するのは神でも仏でもない
中国古典思想に学ぶ~そのエッセンスとは(2)「人間の救済は人間のみ可能」という基本理念
田口佳史(東洋思想研究家)
より良く生きたいという欲望を是認したからこそ、理性を重んじた中国古典思想。その基本理念の中心には常に「人間」があった。「人間を救うのは神でも仏でもなく人間」とする中国古典思想の背景にあるものは? 老荘思想研究者・田口佳史氏が中国古典に見られるリーダーシップ論を解説する。(全3話中第2話目)
時間:15分49秒
収録日:2014年10月29日
追加日:2015年6月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●中国古典思想の根幹をなす「天命」と「性」


 中国古典のポイントに、江戸時代、小学校一年生ほどの子どもに教えた『小学』という書物があります。それを開くと、巻頭には「天の命ずるこれを性という(天命之謂性)」という一文があります。性というのは人間性の性、理性の性ですが、こういった五文字が出てくるのです。巻頭の一文ということは、真っ先に子どもに教えなければいけないということでしょう。これはまた『中庸』という、四書の中の一つの巻頭の文でもありました。

 これは、「ひとつ君、天に代わって人間として生まれて、私の意思である健全な社会と、愉快な人生を皆につくってやってほしい」というのが天命で、生まれてくるときに、「しかし、人間は厄介だよ、したがって、これを持っていきなさい」といって授かるのが性だということです。


●欲望を是認し、理性でコントロールすることを説いた中国古典思想


 『易経』などでは、これを「性命」と言って、天性と生命の両方から成り立っているのが人間であるということです。したがって、「人間は天性、天分を本当に大切にしなければいけない」ということをここで訴えているのです。その話は後に譲るとして、この性は理性を表しています。理性は何のために必要かと言いますと、猛禽・獣と人間を分かつ最大の区分点が理性だということです。

 人間も動物です。さらに言えば、中国古典思想は欲望を是認しています。欲望は否定してはいけない。なぜかと言えば、意欲という、いい欲望もあるではないか。さらに世の中を推進して、より良くしていくということから言えば、欲望を是認した方がいいのです。

 しかし、是認するということになると、取り扱いが非常に難しい。仏教のように、欲望は禁ずると言ってしまった方が簡単なのですが、これを認めるにはどうするか。

 私はこれをよく自動車に例えてお話をします。欲望は、自動車で言えばアクセルです。アクセルだけの車に乗りたいですか? 乗りたくないですね。そうすると、利きのいいブレーキが必要になります。この利きのいいブレーキが理性なのです。要するに、欲望というアクセルを踏んで、理性というブレーキで速度をコントロールするのが、より良い人生なのです。


●古典の意義-理性の最重要要素である精神、意識を磨く


 理性は、精神、意識、霊魂という三つからできているとされてい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
メソポタミア神話の基本を知る(1)メソポタミア神話の神々と人間との関係
メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点
鎌田東二
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
死と宗教~教養としての「死の講義」(6)日本人の「死」と法然
南無阿弥陀仏と唱えて極楽浄土へ…法然の革命の意味とは
橋爪大三郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博