安全保障のチャイナリスク対応
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
尖閣国有化以降、中国の「力による現状変更」に対応
第2話へ進む
2007年、中国高官が米国司令官に太平洋分割案を提示
安全保障のチャイナリスク対応(1)米中パワーの相克
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
2007年、中国海軍高官がアメリカのキーティング司令官に「中国とアメリカで太平洋を二分しよう」という分割案を持ちかけている。ここには一体どのような意図があったのか。わが国の安全保障の最前線で指揮を執っていた前海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏がチャイナリスクへの対応を語るシリーズ。(2014年12月1日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全5話中第1話目)
時間:11分32秒
収録日:2014年12月1日
追加日:2015年7月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●自衛隊経験者として現場と戦略をつなげる


 どの時代にもどこの分野にもチャイナリスクは必ずありますが、今日は特に、安全保障分野におけるチャイナリスクへの対応のお話をさせていただければと思っています。

 スライドの表紙に“長い灰色の戦い”と書いたのは、最近いろいろなところで「グレーゾーン」と言われているためです。しかし実は、防衛大綱にも出ているにもかかわらず、グレーゾーンの意味を誰も定義していません。ある方はグレーゾーンを準有事、戦争の一歩手前と見ているし、ある方は、白でも黒でもないごちゃごちゃした状況は全部グレーだと言います。

 この前、広辞苑を引き、グレーには「法には触れない」という意味もあることを知りましたが、今日は危ない話ではありません。私の好きな映画に『長い灰色の線』という、ウェストポイント陸軍士官学校の話があり、それをもじったタイトルを付けました。

 スライドには、日本、アメリカ、中国、韓国、ロシア、北朝鮮の各首脳の写真が並んでいます。アジア太平洋の情勢を考えるときには、本当は彼らがどのようなリーダーシップを取り、どのような政策をするかが重要なのですが、ここにいる方々の全員に触れていると時間がなくなりますのでやめておきます。今日の主役は、この笑っておられる習近平さんと、それからバラク・オバマさんです。残念ながら安倍晋三総理は準主役になりますが、大事な役割を担っておられることは確かです。

 そして、今日演じさせていただくのが私です。ここに三つ写真がありますが、一番左は戦闘服です。通常は制服で勤務していましたが、少々テンションが上がるとこのような服装に着替えました。中央は、安倍総理に最後にご挨拶に行った時、最後に制服を着た時の写真です。右は、この間、台湾で会議に出た時の写真です。お分かりかと思いますが、ふくよかさがだんだん減ってきています。2年前、私は佐世保には83キロで着任しましたが、今は67キロまで減りました。これを私は「ライジングチャイナダイエット」と呼んでいます。 今日、私は自衛隊の現場を経験してきた者として、現場と戦略をつなげるチャレンジをしてみたいと思います。


●情勢の主役はアメリカと中国だ


 先ほど、安倍総理は主役ではないと言ったのは、パワーシフトやヘゲモニー(覇権)を考えるとき、残念なことに、すでに情勢の主役はアメリカと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ