安全保障のチャイナリスク対応
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
負けない体制をつくり、戦わない―不戦不敗
安全保障のチャイナリスク対応(4)日本が生き残る道
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
米中という大国のパワーシフトの下で、日本が生き残るための戦略はどのように立案すればよいのだろうか。前海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏が、いま大きな転換点を迎えるわが国の安全保障システムを再点検しつつ、シミュレーションを重ね、安全保障上のチャイナリスクへの対応を総括する。(2014年12月1日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全5話中第4話目)
時間:22分42秒
収録日:2014年12月1日
追加日:2015年7月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●「戦略」は「見て・決めて・動く」の3段階


 ここから、また慶應義塾大学モードに戻ります。

 「戦略と政策」と言うならば、「戦略(Strategy)」とは、ストラテジック・コンセプトのコンポーネント(一部分)です。

 まず大切なのは、情勢認識です。例えば「台頭する中国と国際システムの変容」という情勢を認識したとすれば、どうするのがよいか。

 目標設定として、いざとなったときに中国に依存しなくていいように依存度を下げていくことが、わが国の過激性や脆弱性を可能な限り低くすることに当たるだろう。もう一つ、先ほど言ったような、中国に軍事力行使の機会を与えないということもあります。

 しかし、実は逆に考えることもあり得ます。「中国との市場における相互依存度を高める」戦略も、ありです。「経済的相互確証破壊」ということです。要するに目標設定自体は、それぞれの方針次第です。

 次は「手段の確保とその運用」ということで、軍事、経済、科学技術、ソフトパワー、外交的友好関係など、ありとあらゆる手を使って味方を増やし、敵を絞ることで、相手の有利な手を封じ、自分の不足をカバーする。このあたりが、実際に役立つものだと思います。


●「政策」を「戦略」「作戦」と混同しない


 それでは「政策(Policy)」とは何かを厳密に言えば、技術には至らない「方向」なのだそうです。アベノミクスは政策ですから、目標は何となくありますが、なかなかうまくいかない。これは、戦略ではないからなのです。

 一番に、「関与か、取り込みか、封じ込めか」。中国については、とにかく「関与しよう」と“engagement”してきました。「取り込もう」は“integration”、「封じ込め」は“hedge”になります。

 次に「戦略互恵関係(Strategic partnership)」。

 三つ目に「『戦わずして勝つ』孫子の兵法」と書きましたが、われわれ西側の言葉では、これが政策に当たるのではないかと考えています。

 一方、政策と戦略の混同はよく起こります。今は「Re‐balancing」が「ポリシーかストラテジーか」とよく問われます。私は先日台湾へ行きましたが、台湾では「リバランシング・ストラテジーによれば」と言います。ところが日本は、ストラテジーではなくポリシーと言っています。

 台湾の方が「ス...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦