安全保障のチャイナリスク対応
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
尖閣国有化以降、中国の「力による現状変更」に対応
安全保障のチャイナリスク対応(2)尖閣をめぐる緊張
政治と経済
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
尖閣諸島を巡る「軍事的な緊張状態」は現在もあると、前海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏は言う。わが国の安全保障の最前線である現場の視点から吉田氏が尖閣諸島問題を語る。(2014年12月1日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全5話中第2話目)
時間:22分33秒
収録日:2014年12月1日
追加日:2015年7月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●「力による現状変更」へ対応していた


 ここから先は、私が2年間まさに関わっていたことをお話しします。この新聞記事が出た2013(平成25)年9月24日は、尖閣諸島の国有化からちょうど1年経った時です。メディアがいろいろと特集を組んでくれて、特に九州ではこのような記事が見開き全面で掲載されました。

 当時の陸自西部方面総監は番匠幸一郎。イラク復興支援に最初に行き、「男番匠」と言われた人です。それから、空軍の南西航空混成団司令が杉山良行。両方とも私の1期下です。そして、海上自衛隊の佐世保地方総監が私でした。私は“「平時即応」で衝突防ぐ”、杉山くんは“緊張状態 エンドレス”、番匠くんは“米軍と連携 離島守る”ということで、まるで戦争が始まるのではないかというほどの見出しです。これが、ちょうどこの1年くらいのわれわれの現場の状況でした。

 われわれは中国の「力による現状変更」へ対応していたと、今さらながらに思います。では、最前線で何が起きていたのかを、皆さんに少しご紹介します。


●常に中国側の倍早く判断して動かなくては


 その前に、佐世保地方総監といっても、「ああ、あの人」とは皆さん思わないでしょう。佐世保地方総監は、このエリアの指揮官です。緑の線で囲っているこちら側です。本当に、私はなぜあの時期にここに着任してしまったのかと思います。何か問題があるとしか思えないエリアを任されました。歴史的にも、佐世保鎮守府は日本の国防において重要な組織で、古くは九州防人がいた場所でもあります。今まさにドラマで注目されている黒田官兵衛が珍しく日本から朝鮮出兵に行ったのもこの地ですが、ほとんどの時期は、日本はここで半島からの脅威を感じてきました。

 この朝鮮半島との距離が200キロメートルです。沖縄との距離が800キロ、尖閣諸島とは1000キロあります。尖閣諸島と沖縄本島の距離は480キロ。私の隷下には、沖縄に基地隊という小さな部隊がありました。掃海艇のような小さな船と燃料タンクを置いています。

 一方、中国の東海艦隊司令部は寧波にあり、大艦隊と大補給基地があるわけですが、ちょうど佐世保と沖縄、佐世保と寧波の距離は一緒です。また、寧波と尖閣諸島の距離は500キロです。

 私が佐世保で勤務していた時、東京の方たちが来ると、尖閣諸島との距離は日中でパリティ(等距離)ですね...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥