ムハンマドを知る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ムハンマドは法における平等をどこまでも貫いた
ムハンマドを知る(6)法の前での平等とバランス感覚
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
ムハンマドは、法の前では身分や地位に関係なくいつも平等であった、と歴史学者・山内昌之氏は言う。そこには、厳格さと柔軟性が併存するムハンマドのバランス感覚が発揮されていた。山内氏がムハンマドを語るシリーズ講義最終話。(全6話中第6話目)
時間:7分01秒
収録日:2015年5月28日
追加日:2015年6月29日
≪全文≫

●法の前での平等を遵守したムハンマド


 皆さん、こんにちは。

 ムハンマドの厳しさについては、前回の講義で触れた通りでありますが、法の解釈や執行に当たって、ムハンマドが遵守していたことがあります。それは、法の前において人々、信者は全て平等であるという重要な原則であり、その原則を曲げなかったことであります。彼は、尊い人物であるのか卑しい人物であるのか、あるいは身分が高いのか低いのかによって人を差別することを極めて厳しくたしなめました。彼が法の前で同じように人に接したことは、特筆すべきことかと思います。

 何度か出てきたクライシュ族という、預言者その人も生み出した名門の部族がありますが、この名門に属するある女性が盗みを働いたという、大変困った事件が起きました。彼女の一族は大変困惑したわけです。そこで、かつてイスラムが誕生する前のメッカやメディナでは当然であったように、有力者にとりなしを頼みます。そうした習慣があって、罪一等を減じてもらうということがよく行われました。つまり、名門や尊い人間にはそういう価値があるということなのであります。そこで、預言者ムハンマドにとりなしを頼んだのです。

 しかし、ムハンマドは、部族の利益の代弁者でもなければ、地域の利害の代表者ではありませんでした。彼は、過去の有力者たちが、卑しい者たちには罰を科しながら、尊い者の罪を見逃すということをよく見てきました。そうした差別、裏表のある行為をあえてしたために、その過去の者たちは滅んだと断定したのです。

 ここで、ムハンマドは有名な言葉を残しています。それは、「ファーティマがそれを行ったとしても、彼女の手を切るであろうに」という言葉です。その罪人は女性でありましたから、ファーティマになぞらえたのです。ファーティマとは、ムハンマドの愛する娘であり、彼のいとこで後に4代目のカリフになるアリーの妻のことです。窃盗とは、そもそもそのように罪が重いものだから、ファーティマがもしそういうことをやったとしても、自分は彼女の手を切るということで、差別はしない、すなわち、とりなしを拒否したということです。


●厳格さと柔軟性が併存するイスラムの法


 サリカといいますが、窃盗はイスラムではすこぶる罪が重いのです。これは、クルアーン、さらに「ハディース」において、刑罰が固定されているという意味で固定...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「教養」と「リベラルアーツ」の違いとテンミニッツ・アカデミー
教養とリベラルアーツの違い…一般教養からWhy、Howへ
曽根泰教
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀