ムハンマドを知る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
子どもは寝床の主に属し、姦通を犯した者は石打ちの刑
ムハンマドを知る(4)宗教的厳密性と政治的柔軟性
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
ムハンマドは、宗教者としての厳密性と政治家としての柔軟性が共存している点が大変に興味深いと歴史学者・山内昌之氏は語る。今回は、「姦通罪」に対するムハンマドの判断、発言を通して、彼の人物像に迫る。(全6話中第4話目)
時間:13分02秒
収録日:2015年5月28日
追加日:2015年6月25日
≪全文≫

●重大な姦通罪に対するムハンマドの考え方


 皆さん、こんにちは。

 今日は、引き続きジナー(姦通)という問題についての、罪の重さについて語りたいと思います。どうも日本人は誤解しているようなので、イスラムにおける姦通、あるいは姦通罪が大変な重みを持っているということを今日はお話ししたいと思います。

 「疑わしきは罰せず」というのは、法の大原則であります。ムハンマドの場合も同じであり、彼は疑わしい場合でもあえて事を荒立てない、そして幸せな家庭や円満な夫婦の間に波風が立つことを好まなかったというのが、自然な解釈であるかと思われます。男女の間、夫婦の間のことは、幸福な状態を維持しようとすれば、他人が詮索する必要はないという寛仁大度ぶりを発揮することもあったのです。


●ムハンマドの機知に富んだ解決策


 他人が入るとかえって夫婦喧嘩がややこしくなります。そして、しなくてもいい離婚にまで至ったり、夫婦の間にそれ以上の亀裂を招くことがあるというのは、近代や現代だけの問題ではありません。あるベドウィン(アラビア半島の遊牧民)が、ムハンマドの元にやってきた時のエピソードが残っています。

 このベドウィンは、ムハンマドと問答を交わしました。彼は、次のように自分の疑問を語りました。私の妻は、黒い子どもを生みました。すなわち、色の黒い子が生まれたのはなぜかというわけです。ムハンマドはそれに対して、「お前はラクダを持っているだろう」と尋ねました。男は、「はい」と答えます。「その色はなんだ」とムハンマドが尋ねますと、男は「それは赤茶色です」と答えました。「しかし、お前のラクダには灰色のも居るな」とムハンマドが言うと、「はい」と答えました。「どうしてそうなったのだ」と聞きますと、「それは、おそらくそのラクダには灰色の祖先がいたためと思われます」と答えたところ、ムハンマドは、「では、おそらくお前の息子も祖先のせいであろう」と答えたというのです。

 これは、なかなかに味わい深い問答であります。これについて、もちろん「ハディース」やスンナ、すなわちムハンマドの言行を記録した人たちは、詳しい解釈をしていません。ですが、常識的に考えれば、すこぶる機知(エスプリ)に富んだ鷹揚な解決策というべきでありましょう。


●家庭が基盤のイスラムでは姦通は重罪


 ムハンマドの有名な発言を振り返...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(3)「古くて新しい問題」と雇用の未来
AIは「失業」を増やすか減らすか…創造的破壊か?資本化効果か?
宮本弘曉