将軍家光のリーダーシップ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
徳川秀忠によるライバルの排除が家光の地位を安泰にした
将軍家光のリーダーシップ(3)ライバルの排除
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
3代将軍家光によって、徳川幕府は盤石の存在となり、その後250年続く統治システムを整備する。しかし、その前に家光は彼の前に立ちはだかるライバルを排除する必要があった。ここでは家光のライバルたちの運命と、その後の改革の序章について、歴史学者・山内昌之氏からお話をうかがう。(全4話中第3話目)
時間:19分38秒
収録日:2015年6月30日
追加日:2015年7月30日
≪全文≫

●3代将軍のライバルをあらかじめ排除した秀忠


 元和9(1623)年、家光に将軍宣下がなされます。「宣下」とは、天皇から将軍職に任命するという勅が下されることです。その結果、秀忠は45歳でありながら大御所になっていきます。ところが、このようにして3代目を継いだ人間には、いろいろなかたちのライバルが周辺に立ちはだかってくるのは、皆さまもお分かりのことかと思います。

 企業経営においてもそうです。先代社長や会長が指名した人事が、同族経営の世襲企業であってもスムーズに継承されるとは限りません。そこには兄や姉がいるかもしれず、自分の権力がなかなか磐石にはなりません。さらに、おじ、あるいはいとこに当たる存在がいて、権力の継承がなかなかうまくいかないのは、今われわれも見ているところです。

 国会議員の場合でも、世襲議員と言われますが、なかなかその世襲に関して、誰が父や祖父の地盤を受け継ぐのかという問題があります。必ずしも長男とは限らない場合もある。直系の世襲ではなく、傍系に行く世襲もあるかもしれない。子どもではなくて甥や大甥にいくようなケースも、実際にあるわけです。

 こういう中で秀忠は、家光のライバルになるだろう人間をあらかじめ排除していきます。3代目が成立したときに必ずやライバルになる人間を、自分が3代目将軍だった間、あるいは大御所になってからも「禍根を断つ」という行動を起こしました。これが、家光にとっては大変幸運なことだったわけです。

 権力の継承は、ヒューマニティや人道主義でなされるのではありません。江戸の政権を掌握し、日本の征夷大将軍になるのは、結局1人だけだからです。その1人に対して、ライバル意識を持ったり、脅かしてくるような人間がいては困ります。

 その中で最大のライバルは誰だったかというと、先ほどの系図に戻ってみましょう。もう一度系図をご覧ください。


●家光の最大のライバル忠長と、その母「お江与」


 秀忠には、成長していった息子が3人います。家光、忠長、正之という男子です。この内の正之は、お静という庶腹に生まれた男子なので、今は省きます。そして、同じ腹、すなわち秀忠の正妻は「お江与」という人物です。

 先日、NHKの大河ドラマで江与を取り上げました(「江~姫たちの戦国~」2011年)。私は途中で見なくなりましたが、大河ドラマの凋落は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
老子の神髄(8)『老子道徳経』「辯德第三十三」
「死して亡びざる者は壽なり」…主体的に生きなければ自由はない
田口佳史
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
兵藤裕己