テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.08.16

バカにならない!クルマの維持費の平均は?

 若者のクルマ離れが進んでいると言われますが、本当でしょうか。自動車検査登録情報協会による2017年の集計では、世帯あたり普及台数は1.062台。平成18年の1.112台からは微減していますが、まだまだ「一家に一台」は当たり前のような状態が続いています。

 ただし、1台に満たないのは、東京(0.445台)、大阪(0.651台)、神奈川(0.720台)、京都(0.827台)、兵庫(0.916台)など、大都市圏ほどクルマが必要ない、あるいは欲しくても持てない状況が明らかになっています。

 あると便利なクルマですが、なかなか所持することを躊躇させる要因はなんといっても維持費ではないでしょうか。今回は、年間維持費がどのぐらいかかるのか。安くあげるコツはあるのかなどを調べてみました。

クルマにかかる費用はガソリンだけではない!

 まず、クルマにかかる諸費用にはどんなものがあるのでしょうか。

1)車両本体
・車両購入費用
・ローン金利(ローン購入の場合)

2)税金・保険
・自動車税(年1回)
・重量税(車検ごと)
・自賠責保険(概ね車検ごと)
・自動車任意保険(契約により月払い、年払いなど)

3)点検・車検
・点検費用(法定点検年1回、法定費用+整備費)
・車検費用(隔年、新車時のみ3年。法定費用+整備費)

4)その他のランニングコスト
・駐車場代(賃借の場合、毎月)
・燃料代(ガソリン、軽油)
・その他整備費、消耗品費用(タイヤなど)

 車検と重量税は2年ごと、自賠責保険は25か月に1回など、タイミングがいろいろあって複雑なのですが、「1年間あたり」に計算してみると次のようになります。

月々の維持費3万円から5万円。これが家計を圧迫

 クルマの年間維持費は、ご案内の通り、任意保険の選び方、駐車場が自宅にあるかどうか、ガソリンなど燃料代(燃費はどのぐらいか。どの程度クルマを走らせるか)などによって異なります。ここでは、JA共済の「みらいのねだん」に掲載されている数字を参照してみました。

<比較項目:軽乗用車/コンパクトカー/Lクラスミニバン>
・自動車税:10,800円/34,500円/45,000円
・重量税:12,300円/16,400円/16,400円 
・自賠責保険:12,422円/12,806円/12,806円
・自動車任意保険:80,000円/85,000円/90,000円
・点検費用:15,000円/18,000円/20,000円
・車検費用:25,000円/30,000円/35,000円
・駐車場代:144,000円/144,000円/144,000円
・燃料代:83,148円/103,836円/1385,28円
・概算年間維持費:382,670円/444,542円/501,734円
※自動車保険は6等級新規/26歳以上/車両保険なしで想定。駐車場代は月12,000円。ガソリン代は月間800キロ(年間9,600キロ)走行を想定、ガソリン1Lを130円として、軽乗用車15km/L、コンパクトカー12kg/L、ミニバン9km/Lの燃費で計算。

 維持費だけでも月々軽乗用車で3万円前後、コンパクトカーで3~4万円、Lクラスミニバンでは4~5万円がかかります。実際には、これに加えて車両購入費用が月々のローンとしてかかる場合が多いでしょうから、結構な負担です。

東京の月極駐車場料金は、長野県の7.5倍

 ところで、駐車場代の月額12,000円を見て、高いと思われたでしょうか、安いと首をひねられたでしょうか。実は、全国の月極駐車場料金の平均は8,288円。地価と連動しますから、都道府県によってバラバラです。

 最も安いのは長野県4,144円をはじめ、佐賀県4,272円、宮崎県4,499円など。最も高いのは東京都31,077円、大阪府26,475円、京都府18,216円などです。年間にすると、長野県は5万円弱、東京都は37万円強と7.5倍もの負担差となります。

 駐車場の安い地域ほど、自宅や周辺にクルマを止めるスペースもあり、駐車禁止ゾーンも少ないのは、都会のマイカー族には悔しい事実。その上、東京都内や大阪市内などでは、クルマで出かけても出先で駐車場を確保するのが一仕事だったりもします。公共交通の豊富な都心では、やはりクルマは高嶺の花。どうしてもというときにカーシェアリングを利用するのが、カシコイやり方なのかもしれません。

それでも日本車の維持費は世界的にダントツの性能

 さて、維持費をちょっとでも減らしたい人は、車種選びから見直すのがいいという統計もあります。以下は、アメリカの自動車整備会社Your Mechanic社がまとめた、車の購入後の維持費・メンテナンス費用のワースト5と、ベスト5。どんな車種がランキングしているか、参考にのぞいておきましょう。

ワースト1:クライスラー セブリング
ワースト2:BMW 328i
ワースト3:ニッサン ムラーノ(国内では2015年に生産終了)
ワースト4:メルセデスベンツ E350
ワースト5:シボレー コバルト

ベスト1:トヨタ プリウス
ベスト2:キア ソウル
ベスト3:トヨタ カムリ
ベスト4:ホンダ フィット
ベスト5:トヨタ タコマ(ピックアップトラック)

 日本車の維持費・メンテナンス費用が圧倒的に安く、お財布に優しいことに気づかれたと思います。日本車の品質の良さはこういったところにも表れてくるのですね。

<参考サイト>
・自動車検査登録情報協会:自家用乗用車の世帯普及台数
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/mycar.html
・JA共済「みらいのねだん」:自動車の年間維持費はどれぐらい?車種別にまとめてみた
http://nedan.ja-kyosai.or.jp/column/20180216_other_no19.html
・自動車保険ガイド:全国津々浦々!各都道府県の月極駐車場の平均料金・相場はいくら?
https://www.car-hokengd.com/saving-ijihi/tukigime-parking/
・MOBY:維持費が安い自動車世界ランキングBEST10!メンテナンス費用がかからない車種は?
http://car-moby.jp/100310/1
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授