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DATE/ 2018.12.16

無償どころか給料がもらえる学校とは?

 進学を控えるお子さんがいる家庭にとって、大きな悩みの種は学費。私立高校の1年間の学費は平均で70万円ほどになりますし、大学は初年度の納付金だけで私立なら100万円を優に超え、理系なら平均で約150万円にもなります。高校無償化に続き、大学無償化も実現が見込まれていますが、どちらも文字通りの「無償化」ではなく、授業料補助と呼んだ方が実態に近いですし、所得制限もつきそうです。そんな中、無償どころか、お金がもらえる学校もあること、ご存知ですか?

防大の手当は年間約170万円!

 例えば自衛官の幹部候補を育てる防衛大学校。特別職の国家公務員という扱いになり、防大のサイトによると「全員学生舎に居住し、被服、寝具、食事などが貸与又は支給されるほか、毎月学生手当(平成29年4月1日現在:114,300円)が支給されます。また、6月、12月には期末手当(いわゆるボーナス、年約377,190円)が支給されます」とのこと。生活費が浮き、さらに年間で約170万円支給されるわけです。防大と同じく防衛省所管の陸上自衛隊高等工科学校は防大の高校版とでも言うべき存在。こちらは毎月98,500円支給される他、年2回の期末手当もあります。気象庁所管の気象大学校、海上保安庁所管の海上保安大学校もそれぞれ学費が必要なく、手当てが支給されます。

 安くても6年間の学費が2,000万円ほどの私立大医学部ですが、医学部でもお金をもらいながら学べる学校があります。それが防衛医科大学校。月額113,300円の手当に加え、年2回の期末手当が支給されるのは防大と同じですね。6年間で最低2,000万円の学費が浮くだけでなく、その間トータルで約1,000万円も支給されるわけです。メリットが大きいだけに、卒業後9年を満たずに離職した場合、卒業までの経費を償還しなければいけない、というルールが定められています。お金がもらえるわけではありませんが、私立大学ながら学費をとらない自治医科大も“財布に優しい”学校です。僻地医療を目的に設立されているため、決められた地域への赴任が義務付けられています。

卒業後の進路も安心 一方デメリットも

 トヨタ自動車が運営するトヨタ工業学園も手当てがもらえる学校です。高等学校ではなく職業能力開発校という分類になるのですが、高等部卒業時には高卒資格が取れ、毎月13~14万円の生徒手当てと年2回の特別手当てが支給されます。そして卒業と同時にトヨタ社員に、という将来も約束されています。進路の面で言うと防大、防衛医科大、気象大学校、海上保安大学校もそれぞれ所管の組織への就職が定められているため、就活の必要がないというメリットもあります。他の進路に進みたくなった時に場合によっては償還金が必要となる、という面ではデメリットとも言えますが。

 こんなにもお金をもらいながら学べる学校が存在するんです。どれも共通するのは“手に職”がつくということ。「大学がレジャーランド化した」なんて嘆き節をよく聞きますが、上記の学校はどれもレジャーランドとは正反対。毎年毎年、現場で活躍できる人材たちを輩出し続けています。

<参考サイト>
・学生の身分・待遇 | 学生生活・卒業後 | 防衛大学校
http://www.mod.go.jp/nda/cadetlife/status.html
・高等工科学校-高等工科学校とは
http://www.mod.go.jp/gsdf/yt_sch/q-a/index.html
・学生の身分・償還金 | 防衛医科大学校
http://www.ndmc.ac.jp/about/identification/
・入学金・授業料などがかからないと聞きましたが。|医学部|よくある質問|自治医科大学
https://www.jichi.ac.jp/qa/medicine/008.html
・高等部の特色|トヨタ工業学園
https://www.toyota.co.jp/company/gakuen/course_high/feature.html
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