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DATE/ 2017.01.05

「老後資金」を貯めることより大事なこととは?

 レシピや家事では「チョイ足し」が人気ですが、いよいよ働き方まで「チョイ働き」が注目される時代になってきました。なぜ今注目されているのか。長期デフレ時代の「闘う家計術」を呼びかける荻原博子さんの著書『10年後破綻する人、幸福な人』を参考に、調べてみました。

2020年は景気の折り返し

 オリンピックの終わる2020年から景気は急激に悪化する可能性がある!ということで、『10年後破綻する人、幸福な人』では、10年後どころか、ほんの4年先に不況が待っているといいます。

 たしかに現在は、東京中心のバブルが始まり、日銀の「異次元の金融緩和」がオリンピックバブルを下支えしています。目に見える効果が出ていないのに続く日銀の金融政策の後は一体どうなるのでしょう。

 そう言われても「自分には関係ない」と思っている人がほとんどでしょうし、実際にバブル効果は一般の家計には影響していません。それでも、不況はみんなに平等にやってくるのです。

老後資金より借金を減らすこと

 一部では、財政が破綻してハイパーインフレが来ることを心配する声さえ上がっています。そこまでいかなくてもインフレになれば金利が上がるので、借金の支払いに頭を痛めることは目に見えています。

 結局、デフレが続くにしろインフレが来るにしろ、今やっておかなければならない一番大事なことは「借金を減らすこと」だと荻原さんは言います。

 安心な老後を迎えるためには、国の年金に頼らず投資信託などでコツコツ貯めるのがいいという人もいます。しかし、住宅ローンを抱えたまま、あるいは自動車ローンや教育ローンで借金返済をしながら、一方でお金を貯めるのは矛盾しています。

 この10年の経済変動を見据えて、身軽に動くためにも借金は今のうちに返済しておくことが大事なのです。

「家を持って一人前」は団塊ジュニアまで

 「団塊の世代」のマイホーム志向は強烈で、持ち家率はなんと86.2%に上がったといいます(平成25年版『高齢社会白書』)。その根底を支えたのは、家が資産になるという考えであり、「家を持ったら一人前」と言われて育った人も多いと思います。

 でもこの10年、地価は下がっています。不動産は資産どころかマンションの老朽化・粗大ゴミ化がいわれる時代となりました。老朽化したマンションを売って住み替えることができない「マンション神話の崩壊」は1999年に起きた、と言われています。

 デフレの中で買ったマイホームは、そのわかりやすい例でしょう。住宅価格は下がっていくのに、月々の住宅ローンの返済額は変わらず、しかもそのうちの半分以上は利息に消えます。

 住み替えのときには「買い替え」にこだわらず賃貸への移動も検討してみる。永住するならメンテナンスに注意を払うなどが、大切なようです。

家計のダウンサイジングとチョイ働き

 さて、国や地方がどうなろうと、最も大事なのは「自分の家計」だと荻原さんは割り切りを呼びかけています。そのために大事なのは出ていくマイナスを抑え、プラスを増やすこと。

 家計を切り詰めると思うとやりきれなくなりますが、「ダウンサイジング」と考えてみるのはいかがでしょうか。現在の支出の1割減を目指すことは、決して無理な目標とは思えません。その上で、チョイ働きで収入を増やす。もうダブルワークでそれどころではない、という人は別として、萩原さんが提唱するのはネットの活用です。ネットショップを開くほど大がかりでなくてもいいので、自分ができること、やりたいことをネットに繋げて稼げるようにしておく。情報の動いているところからは、必ず何かのヒントがあふれているからです。

 たくさんのお金をかけ、苦労して資格を取るよりも、配偶者などを味方につけてミニ起業。あながち夢ではないかもしれません。

<参考文献>
・『10年後破綻する人、幸福な人』(荻原博子著、新潮新書)
・内閣府ホームページ(平成25年版『高齢社会白書』)
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/pdf/1s3s_5.pdf
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