社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
通勤時間は田舎より都市部が長い!日本人の平均値
仲間はずれを嫌う日本人は、何かと周囲を気にすることが多いと言われます。そんなとき、引き合いに出されるのが「平均」とよばれるもの。「平均」と聞くとなんだか安心するという方は少なからずいるはずです。でも、ちょっと待ってください。その「平均」、いわゆる多数派と勘違いしていませんか。実は「平均」とは、決して最も多い人たち、あるいは最も多い事象を表しているわけではありません。極端に突出した数値がある場合、それと平均は決して同じ値ではないことを理解しなくてはいけません。
こうしたことを踏まえた上で、さまざまなデータから日本人の「平均値」を割り出した本があります。それが『「平均的日本人」がわかる138』(グループSKIT編著)です。今回は、この本に記されたデータを参考に、日本人の意外な生活習慣とその傾向を追いかけてみます。
しかも、若年層ほどこの二極化が激しく、先述のデータでは、もっとも「運動していない」のは30代の68.8%で、50代まで「運動していない」人が「運動習慣がある」人よりも多いのです。そして、「運動習慣がある」人の多くが「毎日運動している」わけですから、運動する人はばっちり鍛えるけれども、そうでない人はまったく動かないということです。
『「平均的日本人」がわかる138』では、日本政府観光庁のデータ(2012年)を元に日本人で「年に一度海外旅行に行く人は10人に1人あまり」と計算しています。実際の数に関しては、日本政府観光局の「年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移」を見ると、バブル期に約1100万人だった出国者数が2012年には約1850万人まで増加。2015年には約1600人と少し減少しているものの、それでもバブル期よりも500万人近く多いのです。
そして、20代に限って見てみると同書では、出国者数は減少傾向にあるものの、比率としては上がっていることを指摘しています。法務省の「出入国管理統計 統計表」で20代のデータを調べてみると、1990年出国者数約306万人から2012年の約303万人とわずかに減っているものの、20代全体に占める比率は約18%から約22%に上昇しているのです。こうしてみると、若者の海外旅行離れは単なるイメージだったということですね。
都道府県で最長は首都圏(つまり都市部)の神奈川県と千葉県で、平均通勤時間55分。都内在住の平均通勤時間は49分です。さらに極端な数字を示すと、都内通勤で120分以上かけている人が2.9%もいるのです。一方、地方を見てみると、最短は大分県と宮崎県で、平均通勤時間25分。都市部は交通機関が発達しているため、通勤時間は当然、地方に比べると短いだろうと思いがちですが、実は逆だったということです。
なぜ都市部は、これまで通勤に時間がかかっているのでしょうか。気になっていろいろと調べていくと、東洋経済オンラインにその要因ともいえる記事を見つけました。同サイトの「東京・大阪の『通勤時間』はやはり長かった」という記事では、最寄り駅までの徒歩や乗り換えに要する時間が結構かかっていることを指摘しています。先述の地方の場合、駅の混雑、乗り換えがないことや、自動車で移動する際、渋滞に巻き込まれることが少ないといいます。そうなると、都市部は「徒歩や乗り換え」の分、地方に大きく差をつけられていたということがわかります。
こうして比較することで、さまざまな交通網があるのに通勤に結構時間がかかるという、都市部の現実が見えてきます。
同書にはほかにも「これは意外だ」と感じるデータがたくさん載っています。いろいろと見比べると、日本人の平均的な傾向だと思っていたものが全然違っていたという、新たな発見ができるかもしれません。
こうしたことを踏まえた上で、さまざまなデータから日本人の「平均値」を割り出した本があります。それが『「平均的日本人」がわかる138』(グループSKIT編著)です。今回は、この本に記されたデータを参考に、日本人の意外な生活習慣とその傾向を追いかけてみます。
運動する人としない人の明らかな二極化
まずは運動の習慣についてです。厚生労働省発表の「平成25年 国民健康・栄養調査報告」によると、一週間に運動する日数は平均「2日」というデータが出ています。しかしこれは、「運動習慣がある」と答えた人によるデータです。その割合は国民全体の5割ほど。つまり、その裏で「運動していない」人が48.9%もいるという事実があります。この運動ゼロから平均「2日」というデータが導き出されている大きな要因は、「7日」の16%。実は、「運動習慣がある」人の中でもっともと多いのが「7日」、つまり毎日運動しているということで、そういう人が国民のおよそ6人の一人の割合でいるのです。しかも、若年層ほどこの二極化が激しく、先述のデータでは、もっとも「運動していない」のは30代の68.8%で、50代まで「運動していない」人が「運動習慣がある」人よりも多いのです。そして、「運動習慣がある」人の多くが「毎日運動している」わけですから、運動する人はばっちり鍛えるけれども、そうでない人はまったく動かないということです。
海外旅行に行く人はバブル期より増加している
続いて、「若者の〇〇離れ」の一つとしても挙げられる海外旅行離れについてです。かつてのバブル期よりもお金に余裕がないから、減少傾向にあるのではないかと考えがちですが、実はそうではありません。『「平均的日本人」がわかる138』では、日本政府観光庁のデータ(2012年)を元に日本人で「年に一度海外旅行に行く人は10人に1人あまり」と計算しています。実際の数に関しては、日本政府観光局の「年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移」を見ると、バブル期に約1100万人だった出国者数が2012年には約1850万人まで増加。2015年には約1600人と少し減少しているものの、それでもバブル期よりも500万人近く多いのです。
そして、20代に限って見てみると同書では、出国者数は減少傾向にあるものの、比率としては上がっていることを指摘しています。法務省の「出入国管理統計 統計表」で20代のデータを調べてみると、1990年出国者数約306万人から2012年の約303万人とわずかに減っているものの、20代全体に占める比率は約18%から約22%に上昇しているのです。こうしてみると、若者の海外旅行離れは単なるイメージだったということですね。
通勤に時間をかけているのは、実は都市部だった
3つ目は「交通機関」についてです。『「平均的日本人」がわかる138』によれば、2011年の男性のデータですが、平均通勤時間は40分。実は、ここにも大きな差が隠れています。通勤時間の平均を上げているのは都市部だったのです。都道府県で最長は首都圏(つまり都市部)の神奈川県と千葉県で、平均通勤時間55分。都内在住の平均通勤時間は49分です。さらに極端な数字を示すと、都内通勤で120分以上かけている人が2.9%もいるのです。一方、地方を見てみると、最短は大分県と宮崎県で、平均通勤時間25分。都市部は交通機関が発達しているため、通勤時間は当然、地方に比べると短いだろうと思いがちですが、実は逆だったということです。
なぜ都市部は、これまで通勤に時間がかかっているのでしょうか。気になっていろいろと調べていくと、東洋経済オンラインにその要因ともいえる記事を見つけました。同サイトの「東京・大阪の『通勤時間』はやはり長かった」という記事では、最寄り駅までの徒歩や乗り換えに要する時間が結構かかっていることを指摘しています。先述の地方の場合、駅の混雑、乗り換えがないことや、自動車で移動する際、渋滞に巻き込まれることが少ないといいます。そうなると、都市部は「徒歩や乗り換え」の分、地方に大きく差をつけられていたということがわかります。
こうして比較することで、さまざまな交通網があるのに通勤に結構時間がかかるという、都市部の現実が見えてきます。
「平均」を知ることで発見がある
ということで、『「平均的日本人」がわかる138』から興味深い3つのデータを見てきましたが、これらから日本人の意外な傾向が浮き彫りになるのも面白いですね。同書にはほかにも「これは意外だ」と感じるデータがたくさん載っています。いろいろと見比べると、日本人の平均的な傾向だと思っていたものが全然違っていたという、新たな発見ができるかもしれません。
<参考文献・参考サイト>
・『「平均的日本人」がわかる138』(グループSKIT編著、PHP研究所)
・厚生労働省:平成25年 国民健康・栄養調査報告
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h25-houkoku.pdf
・日本政府観光局:年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf
・法務省 出入国管理統計統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_nyukan.html
・東洋経済オンライン:東京・大阪の「通勤時間」はやはり長かった
http://toyokeizai.net/articles/-/140017
・『「平均的日本人」がわかる138』(グループSKIT編著、PHP研究所)
・厚生労働省:平成25年 国民健康・栄養調査報告
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h25-houkoku.pdf
・日本政府観光局:年別 訪日外客数, 出国日本人数の推移
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf
・法務省 出入国管理統計統計表
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_nyukan.html
・東洋経済オンライン:東京・大阪の「通勤時間」はやはり長かった
http://toyokeizai.net/articles/-/140017
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
実際に史料をどうやって読み解いていけばいいのか。今回から具体的な史料の読み解き方をケース・スタディしていく。最初は『太閤記』に関する参考資料を用いて、太閤・豊臣秀吉と関白・秀次の関係を考える。そもそも『太閤記』...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/22
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
労働経済を学んでいた島田氏は、ウィスコンシン大学留学中、労働者の教化運動に参加している。アメリカ産業史を学習する中、労働運動の実態を触れ、ウォルター・ルーサーとヘンリー・フォードの熾烈な闘いを知ったからだ。労働...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/18
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23


