社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.05.15

怒りのストレスにサヨナラする7つの方法

 ストレスが多い生活のなかで怒らない日はないのではないかと思うほど、「怒り」とは私たちに身近な感情といえます。しかし同じ人間でありながらもお坊さんは怒らない、という印象はありませんか。

なぜお坊さんは怒らないのか

 仏教の教えでは喜びの状態ではない「怒り」とは手放すべき感情だといわれています。そのためお坊さんは修行を積んだ上で、怒りから解放されて心安らかな状態を手に入れているのです。今回はスリランカ上座仏教長老のアルボムッレ・スマナサーラ氏の『怒らない練習』を参考に、私たちが日々の生活で実践できる怒らないための7つの方法を紹介しましょう。

方法1:怒りに気づく練習をする

 少しでも心の中で「嫌だな」と思う瞬間がきたらそれは怒りの火種、放っておくと怒りへと成長してしまいます。それを怒りだと自覚してしっかり観察していると、いつのまにか冷静になって火種は消えるはずです。こうして怒りに気づき、未然に怒りを防ぐ練習をしていきましょう。

方法2:怒りの色眼鏡を外してみる

 怒っている時は色眼鏡をかけているようなものだと思いましょう。正しい色が見えていない状況での言動や行動で良いことは起こりません。そうした時は一度落ち着いて、休憩をとることも大切です。一呼吸おけば色眼鏡を外すことができて、冷静に物事を見ることができるようになるでしょう。

方法3:多角的に見るクセをつける

 物事に対して好き嫌い問わず、多角的に見るクセをつけましょう。嫌だなと感じるものに対してその一面だけ見ていると「嫌だ」という感情は改善しません。しかし一歩ひいて、そうでない面を見てみると、意外と嫌いじゃない一面や好意的に思える一面が見つかるかもしれません。そうした部分を認めて、「嫌だ」と思うことを減らしていきましょう。

方法4:「怒りは効果的」は間違いだと知る

 「部下は怒って育てる」という人がいますが、そんなことはありません。怒るよりも理性的に冷静に説明をし、間違いを指摘した方がよっぽど効果があります。逆に怒ると職場の雰囲気が悪くなったり、怒られた側も萎縮する可能性があります。悪い空気は簡単に伝染してしまいますので、そうならないように心がけましょう。

方法5:幸福や楽しみは自分から作り出す

 「毎日良いことがない」と嘆いている人もいるかもしれませんが、ただ誰かを頼るのではなくて自分で自分を幸せにしてあげることが大切です。そのためにはできるのはまず「笑うこと」。無理やりにでも笑うように心がけていれば、いつのまにか自然に笑顔が出るようになって、周りの空気も変わっていくことでしょう。

方法6:周りに期待しすぎない

 相手に期待して失敗すると、誰でも怒ってしまいますね。しかし世間も他人も、自分さえも不完全なので、あなたの期待に完璧に応えられないものはたくさんあります。他人や世間には期待しすぎないで、すべてが不完全であることを受け入れるようにしましょう。

方法7:感謝を伝える習慣をつける

 表面上の言葉ではなく、心からの「ありがとう」を人に伝えるようにしましょう。自分のためにしてくれた、時間を割いてくれた、それを当たり前のことと思わず、ひとつひとつのことに感謝する気持ちを持ちましょう。人に対する感謝の気持ちを持つようになると、心に余裕が生まれますし、怒ることは減っていくことでしょう。

 冒頭でも述べた通り、仏教では「怒りとは最低で無知であること、人間性を捨てること」とまで言われるほど、遠ざけるべき感情だとされています。しかし私たちは日々の生活のなかで、どうしても怒りに負けてしまうことは少なくありません。できるところから実践して、少しずつ怒りと距離を置くための練習をしてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
『怒らない練習』(アルボムッレ・スマナサーラ著・サンガ出版社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論

忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論

東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ

東京大学大学院人文社会系研究科教授・一ノ瀬正樹氏が、海外でも有名な「ハチ公」の逸話を例に、人と犬の関係について考察する。第一回目は、ハチの飼い主・上野英三郎博士について触れ、東大とハチ公の結びつきや、東大駒場キ...
収録日:2017/04/04
追加日:2017/06/13
一ノ瀬正樹
東京大学名誉教授 武蔵野大学人間科学部人間科学科教授
2

変人募集中…0から1を生める人、発掘する人、育てる人

変人募集中…0から1を生める人、発掘する人、育てる人

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(4)エンタメで一番重要なのは「人」

エンタメビジネスにおいて一番大切なのは「人」である。さらに、「0から1を生める」クリエイターが必須であることはいうまでもないが、そのような人材だけではエンタテインメントビジネスは成立しない。時として異能で多様なク...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/28
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
3

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直

『書経』を研究する中で発見した真理について理解を深めていく今回。徳は天をも感動させる力を持ち、真の和合は神を動かす。そして、宇宙は人間のように、また人間も宇宙のように構成されており、その根底には「正直」がある。...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/25
4

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?

「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
5

5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現

5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現

産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題

温暖化やエネルギー問題など、地球環境の持続可能性をめぐる議論はその緊急性が増している。そのような状況で日本はどのような社会を目指すべきなのか。モノの所有ではなく幸せを求める、持続可能な「プラチナ社会」の構想につ...
収録日:2025/04/21
追加日:2025/10/22
小宮山宏
東京大学第28代総長 株式会社三菱総合研究所 理事長 テンミニッツ・アカデミー座長