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相続税はいくらから発生する?
昨年(2016年)9月、総務省は日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が過去最高の26.7%になったことを発表しました。時代は「超高齢社会」。2035年には「3人に1人が高齢者」という算出も出ているなか、人生をどう終えるかをテーマにした「終活ブーム」が到来しています。
身辺整理や遺言の準備など、必要なことは多々あります。また、見送る側の子どもたちも、相応の準備をしておかなくてはなりません。
今回は、そんな「終活」における、「相続税」についてのお話です。
税金のかからない範囲の額を「基礎控除額」と言い、相続人の人数で変わります。まずは試しに計算式を見てみましょう。相続税の基礎控除額の計算は、下記の計算式で行います。
3,000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額
相続人が1人であれば3,600万円、相続人が3人の場合は4,800万円と、人数が増えるほど控除額の上限もあがっていく仕組みになっているのです。ここで出た基礎控除額を、相続する財産のトータル額から引いた額面に、相続税がかかってきます。
例えば、5,000万円の財産があり、それを相続するのが1人だった場合は、
5,000万円ー基礎控除額の3,600万円=1,400万円
算出された1,400万円に相続税が発生するという具合です。
また、注意しなくてはならないものでは、被相続人(亡くなった人)が亡くなる3年前までの贈与財産金額も相続の対象となります。一方、借金や債務、葬式用の控除などは引かれる形になるので、課税対象の遺産総額の計算は下記のようになります。
遺産額+被相続人が亡くなる3年前での贈与財産の金額ー借金などの債務葬式費用の控除ー基礎控除額=課税遺産総額
相続人が1人の場合、ここで出て来た数字が3,600万円を下回る場合は相続税の申告の必要はありません。これが基本となる、現在の相続税のシステムです。
日本の相続税の最高税率は55%となっていますが、これは世界でも類を見る高さなのです。 実は中国、香港、シンガポール、オーストラリア、インドネシア、タイ、スウェーデンなどは、この10年で贈与税や相続税が撤廃されました。また、アメリカの相続税の最高税率も、40%と高めではありますが、500万ドル(約6億円)という基礎控除が設けられているため、課税が発生する割合は少ないのです。世界では、相続税は押さえる、もしくは撤廃するという流れが主流といえます。
そんな中、日本では今年(2017年)1月1日から基礎控除額の減額がなされ、多少の減税措置はあるものの、根本的な負担は増える一方という現実があります。また、富裕層は信託制度を活用することで負担を押さえるなど、高税率の割に富裕層にとっては抜け道が多いという問題点もあります。
例えば、現金そのものを手元に残すのではなく、不動産を購入するなど物に変えるという手段があります。ゼロにはなりませんが、そのものを持っているよりも割安になるのです。また、被相続人と同居をしている場合、相続税は低く抑えられます。その他にも、こちらも税金はかかりますが生前贈与を行うという方法もあげられるでしょう。
何十年と働いて、大切に蓄えてきた財産です。もめ事少なく、少しでも家族の手元に残すことができれば幸せというもの。いざという時のため、きちんと事前調べをすることは大切です。
身辺整理や遺言の準備など、必要なことは多々あります。また、見送る側の子どもたちも、相応の準備をしておかなくてはなりません。
今回は、そんな「終活」における、「相続税」についてのお話です。
相続税の仕組みを理解しよう
相続税とは、「相続や遺言で遺産を受け継いだ際に相続財産の金額が大きいとかかる税金」のことです。「金額が大きい」という言葉から分かるように、1~10まで全てに税金が発生するわけではなく、発生する額というのが決まっています。税金のかからない範囲の額を「基礎控除額」と言い、相続人の人数で変わります。まずは試しに計算式を見てみましょう。相続税の基礎控除額の計算は、下記の計算式で行います。
3,000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額
相続人が1人であれば3,600万円、相続人が3人の場合は4,800万円と、人数が増えるほど控除額の上限もあがっていく仕組みになっているのです。ここで出た基礎控除額を、相続する財産のトータル額から引いた額面に、相続税がかかってきます。
例えば、5,000万円の財産があり、それを相続するのが1人だった場合は、
5,000万円ー基礎控除額の3,600万円=1,400万円
算出された1,400万円に相続税が発生するという具合です。
相続される財産にはどんなものがある?
1人分の相続としても3,600万円はかなりの高額ですが、これは現金に限りません。一重に「財産」といっても、さまざまなものがあります。マンションや土地、車や株券、小切手や高価な美術品・骨董品なども、財産とみなされ価値を計算する必要があるのです。高額なものをお持ちの場合は、事前に調査をしておく必要もあるかもしれませんね。また、注意しなくてはならないものでは、被相続人(亡くなった人)が亡くなる3年前までの贈与財産金額も相続の対象となります。一方、借金や債務、葬式用の控除などは引かれる形になるので、課税対象の遺産総額の計算は下記のようになります。
遺産額+被相続人が亡くなる3年前での贈与財産の金額ー借金などの債務葬式費用の控除ー基礎控除額=課税遺産総額
相続人が1人の場合、ここで出て来た数字が3,600万円を下回る場合は相続税の申告の必要はありません。これが基本となる、現在の相続税のシステムです。
世界の主流は相続税の撤廃と減免
では、日本の相続税の基礎がわかったところで、世界の相続税はどうなっているのでしょうか?日本の相続税の最高税率は55%となっていますが、これは世界でも類を見る高さなのです。 実は中国、香港、シンガポール、オーストラリア、インドネシア、タイ、スウェーデンなどは、この10年で贈与税や相続税が撤廃されました。また、アメリカの相続税の最高税率も、40%と高めではありますが、500万ドル(約6億円)という基礎控除が設けられているため、課税が発生する割合は少ないのです。世界では、相続税は押さえる、もしくは撤廃するという流れが主流といえます。
そんな中、日本では今年(2017年)1月1日から基礎控除額の減額がなされ、多少の減税措置はあるものの、根本的な負担は増える一方という現実があります。また、富裕層は信託制度を活用することで負担を押さえるなど、高税率の割に富裕層にとっては抜け道が多いという問題点もあります。
多種多様な節税対策
では、こうした相続税を少しでも抑えることはできるのでしょうか?例えば、現金そのものを手元に残すのではなく、不動産を購入するなど物に変えるという手段があります。ゼロにはなりませんが、そのものを持っているよりも割安になるのです。また、被相続人と同居をしている場合、相続税は低く抑えられます。その他にも、こちらも税金はかかりますが生前贈与を行うという方法もあげられるでしょう。
何十年と働いて、大切に蓄えてきた財産です。もめ事少なく、少しでも家族の手元に残すことができれば幸せというもの。いざという時のため、きちんと事前調べをすることは大切です。
<参考サイト>
・国税庁 No.4152?相続税の計算
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm
・国税庁 No.4152?相続税の計算
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm
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