社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「人工甘味料」は本当に安全なのか?
巷にあふれている「ゼロカロリー」をうたった飲料水やゼリー、キャンディーなどなど。カロリーを気にして、こうした「ゼロカロリー」の商品を買う人も多いのではないでしょうか。しかし、そもそも甘い物はカロリーが高いというのが当たり前。ゼロカロリーの飲料水やお菓子は、なぜカロリーが低いのでしょう?
それは糖分ではなく、サッカリン、スクラロース、アスパルテームといった人工甘味料を使い、甘さを出しているからです。これらは糖分とは違い、うたわれる通り「ゼロカロリー」、カロリーがありません。甘いのに太らないという魔法のような食べ物ですが、一方で「人工甘味料が人体に及ぼす影響」を研究した結果が注目されています。果たして人工甘味料は本当に安全なのでしょうか?
この研究結果をもとに、人工甘味料がどう人体に影響を及ぼすのかに絞り、さらに調査が行われました。すると、人工甘味料入り炭酸飲料を1998~2001年の間に週に1~6回飲んでいたグループは、脳卒中のリスクが全く飲まないグループの2.09倍、1日1回以上のグループでは1.95倍になったのです。
さらに長期的に約7年の間、週に1~6回飲んでいたグループは、人工甘味料入りの炭酸飲料を全く飲まないグループに比べ、脳の血管が詰まるタイプの「虚血性脳卒中」のリスクは2.62倍、1日に1回以上では2.96倍にものぼっていました。また、同じ研究結果のなかでは、同様に認知症のリスクも高まっていることが示されています。
甘いのに太らない夢の食べ物であるはずの人工甘味料。まるでだまされたような気持ちになりますが、本当に危険な場合は国が使用を制限するはずです。実際に、過去には発がん性を指摘され使用が禁止された人工甘味料も存在しています。ならば、冒頭で挙げたサッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料も制限されるべきでは?と思われるかもしれません。
しかしそうならないのは、いずれの研究結果も、人工甘味料が直接的な原因になっているかわからない、マウスで反応しても人体にまで影響が及ぶかわからないという部分が残っているのです。
食べ物や飲み物全般に言えることは、何事もほどほどが一番だということです。どれだけ体にいいものでも、摂取しすぎればどこかに不調が起こります。過ぎたるは及ばざるがごとし。健康を維持するのは、偏食をせず、幅広くさまざまなものを食べ、適切な運動をすることです。
無理のないダイエットの補助や、「昨日食べすぎたから今日は低カロリーに」という程度であれば問題はないでしょう。しかし、「ゼロカロリー」をうたうものだけで健康は得られないと肝に銘じなければなりません。
それは糖分ではなく、サッカリン、スクラロース、アスパルテームといった人工甘味料を使い、甘さを出しているからです。これらは糖分とは違い、うたわれる通り「ゼロカロリー」、カロリーがありません。甘いのに太らないという魔法のような食べ物ですが、一方で「人工甘味料が人体に及ぼす影響」を研究した結果が注目されています。果たして人工甘味料は本当に安全なのでしょうか?
人工甘味料が脳卒中と認知症のリスクを高める?
人工甘味料と脳卒中・認知症の関係示した「フラミンガム研究」という疫学研究があります。米国マサチューセッツ州のフラミンガムに住む人々を対象に、長期にわたって循環器疾患の発症要因を調べたものです。この研究結果をもとに、人工甘味料がどう人体に影響を及ぼすのかに絞り、さらに調査が行われました。すると、人工甘味料入り炭酸飲料を1998~2001年の間に週に1~6回飲んでいたグループは、脳卒中のリスクが全く飲まないグループの2.09倍、1日1回以上のグループでは1.95倍になったのです。
さらに長期的に約7年の間、週に1~6回飲んでいたグループは、人工甘味料入りの炭酸飲料を全く飲まないグループに比べ、脳の血管が詰まるタイプの「虚血性脳卒中」のリスクは2.62倍、1日に1回以上では2.96倍にものぼっていました。また、同じ研究結果のなかでは、同様に認知症のリスクも高まっていることが示されています。
リスク上昇は本当に人工甘味料のせい?
世界的にその名前が知られている科学雑誌「Nature」にも、人工甘味料が糖尿病のリスクを増加させるという趣旨の論文が発表されました。こちらでは、人工甘味料のひとつであるサッカリンをマウスに与えると、11週間後に耐糖能に障害が起きるとされています。「耐糖能」とは、糖分を摂取して上昇した血糖値を下げる力のことです。この能力が低くなると糖尿病になるのです。甘いのに太らない夢の食べ物であるはずの人工甘味料。まるでだまされたような気持ちになりますが、本当に危険な場合は国が使用を制限するはずです。実際に、過去には発がん性を指摘され使用が禁止された人工甘味料も存在しています。ならば、冒頭で挙げたサッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料も制限されるべきでは?と思われるかもしれません。
しかしそうならないのは、いずれの研究結果も、人工甘味料が直接的な原因になっているかわからない、マウスで反応しても人体にまで影響が及ぶかわからないという部分が残っているのです。
「ゼロカロリー」商品で健康にはなれない
「ゼロカロリー」の飲料水やお菓子を選ぶ人は、もともとカロリーが気になるような体質や体型だったり、食生活に難を抱えていることが多いという事実があります。つまり、ゼロカロリーを選ぶ人そのものが、糖尿病や脳卒中のリスクを持っているというものです。つまり、卵が先かニワトリが先かという議論になってしまいます。食べ物や飲み物全般に言えることは、何事もほどほどが一番だということです。どれだけ体にいいものでも、摂取しすぎればどこかに不調が起こります。過ぎたるは及ばざるがごとし。健康を維持するのは、偏食をせず、幅広くさまざまなものを食べ、適切な運動をすることです。
無理のないダイエットの補助や、「昨日食べすぎたから今日は低カロリーに」という程度であれば問題はないでしょう。しかし、「ゼロカロリー」をうたうものだけで健康は得られないと肝に銘じなければなりません。
<参考サイト>
・NIKKEI STYLE:ダイエット系炭酸飲料 飲み過ぎで脳卒中や認知症に?
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO18328260Q7A630C1000000?channel=DF140920160927
・東洋経済ONLINE:人工甘味料を「危険」と決めつけるのは問題だ
http://toyokeizai.net/articles/-/153942
・NIKKEI STYLE:ダイエット系炭酸飲料 飲み過ぎで脳卒中や認知症に?
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO18328260Q7A630C1000000?channel=DF140920160927
・東洋経済ONLINE:人工甘味料を「危険」と決めつけるのは問題だ
http://toyokeizai.net/articles/-/153942
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか
サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生
ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とはどういうものだろうか。例えば、富裕と貧困という問題について、「運」で決まるのか、あるいは「運」とは異なる努力、教養、道徳などの要素で決まるのかという点でも、思想家たちの考え方は分かれる。第1...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/18
急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(3)インドネシアの成長とトルコの外交力
グローバル・サウスの中でも高度経済成長を遂げているのがインドネシアだ。長期のスカルノ時代とスハルト時代を経てその後に民主化が進んだ、東南アジアで最大のイスラム教国である。また、トルコは多国間に接する地理的特性と...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/17
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
日本古来の詩の形式である和歌。しかし、その中身について詳しく知っている人は少ないのではないだろうか。渡部泰明氏が和歌のレトリックについて解説するシリーズレクチャー。第一弾である今回は枕詞についてで、その知られざ...
収録日:2019/03/11
追加日:2019/06/15