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DATE/ 2017.09.15

家族の「介護」にかかる費用は実際いくら?

 森友・加計問題などの政治スキャンダルの裏でひっそりと介護制度が改正されたのはご存じでしょうか。その2017年8月の改正によって、40~64歳の現役の大企業の社員や公務員も、収入に応じて負担が増えることになりました。2018年8月には、介護保険制度を利用する一般世帯は最大で月額7200円の負担増となり、所得水準が現役世代並みの利用者は自己負担割合が2割から3割に増加します。

 先の話にはなりますが、10年後には介護費用は21兆円に倍増すると見込まれていて、次期改正の際には負担開始年齢が40歳から20歳に引き下げられるのではないかとも言われており、利用者も現役世代もどんどん負担が拡大していく見込みです。

「在宅」か、「施設」か

 気になるのは、実際のところ、介護にはいくらかかるのだろうという点でしょう。その前に、入門的な予備知識として、知っておきたいことが2つだけあります。

 ひとつは、介護制度には「要介護度」というレベルがあり、それによって自己負担額や利用できるサービスや施設が変わること。もうひとつは、介護の方法には大きくは分けて、「在宅」と「施設」の2通りあります。

要介護3、自己負担1割、在宅介護の70代男性の場合

 『週刊ダイヤモンド2017年8月12日・19日合併特大号』では、「家族の介護」という特集で、ケース別の自腹額のシミュレーションが掲載されています。たとえば、自己負担1割、要介護3、在宅介護の70代男性の場合、介護利用の自己負担額は月額2万4300円となっています。

 介護保険が適用される前の利用額は20万円ほどです。つまり、介護保険から約17万円の給付があったということです。在宅の場合、利用額に加えて、福祉用具費や住宅改修費がかかります。それらを加える、自己負担の総額は月額8万4300円として算出されています。

要介護4、自己負担2割、施設介護の80代女性の場合

 次に施設介護のケースを紹介します。要介護4、自己負担2割、施設介護の80代女性の場合、1カ月の利用額は37万1000円です。在宅のように、別途で福祉用具費や住宅改修費はかかりませんが、たいていは施設の方が在宅よりも割高になってしまいます。もちろん、介護保険からの給付はあるので、最終的な自己負担額は15万5000円となっています。

在宅は月額5万円? 施設は10万円以上?

 ここまで個別に費用を見てきましたが、平均的な金額もみていきましょう。平均的な自己負担額は、「生命保険文化センターの調査によると、在宅介護では月額5万円、施設介護では倍以上の月額11.7万円」とのこと。ただし、もうすこし調査結果を詳しく見てみると、実際には、「在宅の1割強が月額10万円以上、また施設では3割が月額15万円以上」を自己負担しているそうです。

 また、世帯主が要介護状態になるなどの理由で働けなくなった場合、その家族が「これくらいは必要」と考える生活費は、「65歳以上の高齢者世帯であっても月に25万円前後」となっています。

 「介護にかかるお金」の具体的な数字を目にすると、どの世代も介護とは無縁ではいられないのだろうと思えてきます。なぜなら、介護には驚くほどお金の負担が大きいからです。いつ、介護のための準備を始めても早すぎることはありません。気になったらすぐにでもライフプランを見つめなおしましょう。

<参考文献・参考サイト>
・『週刊ダイヤモンド17年8月12日・19日合併特大号』(ダイヤモンド社)
・在宅介護と施設介護のメリット・デメリット
https://www.senior-anshin.com/news/kaigo/20160408/

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