社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
糖質制限ダイエットで日本人は痩せられるのか?
美容と健康はいつの時代も人々の関心の的です。中でも近年もっとも注目されているものといえば糖質制限ではないでしょうか。ダイエットはもちろん糖尿病の治療、さらにはアルツハイマーの予防にも効果があるのではないかとメディアでもしばしばとりあげられています。
一方で、糖質制限反対派からの警告、デメリットも唱えられているのをご存じですか?自己流で糖質制限をしても思ったような効果が得られなかったり、身体を悪くしたりというリスクも報告されています。実は医学界では、糖質制限推進派と反対派の間で論争が長年続いているのです。
このインスリンは、またの名を「肥満ホルモン」と言い、過剰に分泌するとメタボや肥満を引き起こしますが、そちらを抑制できるため体重が減っていくというメカニズムを持っています。この特性を利用して、「糖質制限」はダイエット法として多くの注目を集めるようになったのです。
推進派にとっては追い風の論文でしたが、こちらの論文に書かれているのは、死亡リスクが上昇するのは総エネルギーに対して炭水化物を約70%以上摂取しているグループであり、日本人の平均摂取量は約55%から60%ということで許容値内。反対派は一般的な食生活を過ごしている人にまで、糖質制限を促すものではないと反論を唱えています。
また、日本の米の摂取量が最も高かったのは戦後すぐでした。そこから現在に至るまで、消費量は右肩下がりになっています。ひとえに炭水化物の食べ過ぎが糖尿病の原因となりうるのならば、糖尿病患者数は戦後に比べ増大したことを疑問視しなくてはなりません。むしろ糖尿病発症には、赤肉とその加工食品の摂取量が密接な関係にあるのではないかという研究論文もハーバード大学から過去に発表されています。
さらには真逆の結果を示す研究データも出てきており、アメリカでは糖質制限ダイエットで死亡率が2割上昇したと報告されたようです。また、糖質制限をすることでインスリンが効きにくくなり逆に糖尿病になってしまうパラドックスも懸念されています。
主食を減らすことで、ダイエットができるというのは魅力的な話ではありますが、単純に糖質だけ減らせば良いというものではなく、1日に必要なカロリーはきちんと摂取しなくてはなりません。それを怠り、糖質制限をやってみたら頭がふらふらした、低血糖になったという実例もあります。
やはり健康を維持するには、適度な運動と、適切な量とバランスのとれた食事を摂取することが一番なのかもしれませんね。
一方で、糖質制限反対派からの警告、デメリットも唱えられているのをご存じですか?自己流で糖質制限をしても思ったような効果が得られなかったり、身体を悪くしたりというリスクも報告されています。実は医学界では、糖質制限推進派と反対派の間で論争が長年続いているのです。
糖質制限のはじまりは治療行為だった
誰でも一度は耳にしたことのある「糖質制限」は、もともとは糖尿病治療のための食事法としてはじまりました。できるだけ糖質、炭水化物を摂らないようにすることで食後の血糖値の上昇と、インスリンの過剰分泌を抑えようという狙いがあります。糖尿病を患っていると、食後の血糖値上昇から動脈硬化につながる恐れがあるのですが、その血糖値上昇を回避できるということです。主食を摂らないかわりに肉や魚はたくさん食べられることも魅力のひとつになっているのです。このインスリンは、またの名を「肥満ホルモン」と言い、過剰に分泌するとメタボや肥満を引き起こしますが、そちらを抑制できるため体重が減っていくというメカニズムを持っています。この特性を利用して、「糖質制限」はダイエット法として多くの注目を集めるようになったのです。
糖質制限はアリなのか、ナシなのか
2017年8月に、世界五大医学雑誌である『ランセット』のオンライン版に「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」という主旨の論文が掲載され、炭水化物をとるほど死亡リスクが上昇し、脂肪をとるほど死亡リスクが低下するという、従来の栄養学とは一線を画した内容が発表されました。推進派にとっては追い風の論文でしたが、こちらの論文に書かれているのは、死亡リスクが上昇するのは総エネルギーに対して炭水化物を約70%以上摂取しているグループであり、日本人の平均摂取量は約55%から60%ということで許容値内。反対派は一般的な食生活を過ごしている人にまで、糖質制限を促すものではないと反論を唱えています。
また、日本の米の摂取量が最も高かったのは戦後すぐでした。そこから現在に至るまで、消費量は右肩下がりになっています。ひとえに炭水化物の食べ過ぎが糖尿病の原因となりうるのならば、糖尿病患者数は戦後に比べ増大したことを疑問視しなくてはなりません。むしろ糖尿病発症には、赤肉とその加工食品の摂取量が密接な関係にあるのではないかという研究論文もハーバード大学から過去に発表されています。
さらには真逆の結果を示す研究データも出てきており、アメリカでは糖質制限ダイエットで死亡率が2割上昇したと報告されたようです。また、糖質制限をすることでインスリンが効きにくくなり逆に糖尿病になってしまうパラドックスも懸念されています。
糖質制限論争はまだまだ続く
メディアに取り上げられるようになり、注目を集めている糖質制限ですが、現状ではまだ、推進派、反対派それぞれで新しいデータを論拠として説を戦わせている段階のようです。主食を減らすことで、ダイエットができるというのは魅力的な話ではありますが、単純に糖質だけ減らせば良いというものではなく、1日に必要なカロリーはきちんと摂取しなくてはなりません。それを怠り、糖質制限をやってみたら頭がふらふらした、低血糖になったという実例もあります。
やはり健康を維持するには、適度な運動と、適切な量とバランスのとれた食事を摂取することが一番なのかもしれませんね。
<参考サイト>
・東洋経済オンライン:「糖質制限」論争に幕?一流医学誌に衝撃論文
http://toyokeizai.net/articles/amp/190605
・NPO法人日本ローカーボ食研究会『日本人の摂取総カロリー、蛋白、脂質、炭水化物比の経年変化』
http://low-carbo-diet.com/low_carbo_food/to_dr/contents-of-review/changes-in-pfc-ratio-in-japanese/
・東洋経済オンライン:「糖質制限」論争に幕?一流医学誌に衝撃論文
http://toyokeizai.net/articles/amp/190605
・NPO法人日本ローカーボ食研究会『日本人の摂取総カロリー、蛋白、脂質、炭水化物比の経年変化』
http://low-carbo-diet.com/low_carbo_food/to_dr/contents-of-review/changes-in-pfc-ratio-in-japanese/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
ますます進む高齢化社会において医療を根本的に転換する必要があると言う長谷川氏。高齢者を支援する医療はもちろん、悪い箇所を見つけて除去・修理する近代医学から統合医療への転換が求められる中、今後世界の医学をリードす...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/19
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏によれば、AIが不得手なのは、暗黙知・常識に基づく高度な判断である。人間の役割はこうした暗黙知を捨てず、個々の状況での判断力を磨いていくことだ。暗黙知を支...
収録日:2017/07/24
追加日:2017/10/30
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13


