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DATE/ 2022.03.11

茨城県は「魅力がない」と言われる意外な理由とは?

 ブランド総合研究所が2021年10月に発表した、47都道府県の「魅力度」調査によると、1位は13年連続で北海道、次いで京都府、沖縄県、東京都、大阪府がトップ5、そして最下位は2年ぶりに茨城県。茨城県は昨年過去最高の42位となり7年連続の最下位から順位を上げたものの、再び順位を落とすことになりました。そんな茨城県ですが、少し調べて見るとちゃんと魅力が見えてきます。では、なぜ茨城県は魅力的ではないと思われてしまうのでしょうか。

温泉がイメージできないから!?

 茨城県の観光地で有名所は、筑波山、ひたち海浜公園、偕楽園、牛久大仏あたりかと思われます。ここに、温泉地が入ってこないところは一つ注目したほうがいいでしょう。しかし、実は茨城県にも温泉はあります。筑波山から関東平野の雄大な日の出を観た後、ゆっくり温泉に浸かるということも可能なのです。

 筑波山は都心部から車で2時間程度。電車なら、つくばエクスプレスに乗って1時間20分ほどで「つくば駅」に着き、シャトルバスで40分~50分です。人によりますが、思ったほど遠いという感じはしないのではないでしょうか。日帰りできる、という点は魅力的ですが、温泉が知られていないゆえに日帰りが選択されているとしたら、少しもったいないですよね。

 また東京からの日帰りという点でいえば、山なら高尾山、海なら伊豆あたり、といったように、他の地域の選択肢と重なります。かつ関東では他の地域のアピール力が強く、なかなか対等に勝負できないかもしれません。

「特産品を食べに行こう」とはなりにくいから!?

 たとえば本場の「いくら」を食べたいと思えば北海道に行こう、「ふぐ」なら下関に行ってみよう、と思うかもしれません。茨城県の特産品といえば、まずは納豆です。しかし、現状では「納豆を食べに茨城に行こう」とはなりにくいのではないでしょうか。

 もちろん茨城県以外ではほとんど流通していない納豆もあります。しかし、こういった点にまで目を向けるのは一種の「こだわり」のある人かと思われます。一般を引きつけるポイントとしては弱いと言わざるを得ません。逆に考えれば、「こだわりの一品を食べてみたい」と思わせるようなアピールが必要ではないでしょうか。納豆だってきっと「特別な体験」になりうるはずです。

ブランド力をどう磨くか

 また、茨城県はサバやイワシ漁獲量で日本一です(2013年度)。メロンの生産も日本1位2位を争っています。関東平野の広大な大地と良港に恵まれたかなり豊かな場所です。ここまで見てきただけでも「食」や「自然」という点では十分な魅力を備えていることが分かるはずです。あとはこれをどうアピールするか、もしくは、どう磨くか、また、どう価値づけるかという点にかかっているように思われます。

 少し前に茨城県のPR動画に「のびしろ日本一」というものがありましたが、これはあながち間違っていないようです。

<参考サイト>
地域ブランド調査2017 都道府県ランキング
https://news.tiiki.jp/articles/4697
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