社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.12.30

年収と歩く速さは比例するってホント?

 メタボ攻略から健康への気遣いより、腕に着けるだけで歩数、消費カロリー、移動距離などが計測できるウェアラブル活動計を活用している人は少なくないのではないでしょうか。

 センシング技術からの情報はビックデータとして蓄積かつ解析され、大変興味深い内容を私たちに知らせることがあります。今回、お届けするのは、アナログ集計ではありますが、なんと年収と歩行速度は比例するという結果についてです。

年収が高い人ほど歩行速度が速い

 2016年11月、ドコモ・ヘルスケア株式会社は、ウェアラブル活動量計「ムーヴバンド3」の利用者へのアンケート調査および歩行に関するデータを用い、年収と歩行速度の調査レポートを公表しました。

 結果、年収が高い人ほど歩行速度が速く、歩行総数に占める早歩きの割合(早歩き率)が高いという傾向をみることができます。

 具体的には、日本の平均年収を含む「年収400万円以上500万円未満」の層の平均歩行速度2.69km/hに対して、「年収1,000万円以上」の層では平均歩行速度3.13km/hと、日常的な歩行速度に0.44km/hの差分が報告されました。

 年収1,000万円以上の人の早歩き率は、平均年収の人より約7%多く、加えて、ボーナス額と歩行速度の関係も、多少のばらつきはあるものの、金額が上がるほど歩くスピードが速くなるとのこと。

年収と歩行速度の因果関係

 ドコモ・ヘルスケア社の報告は、年収と歩行速度は比例の関係にあるという相関関係があるという事実の報告になります。年収が高いから歩行速度が速いのか、歩行速度が速いから高年収なのか、簡単に結論づけることはできません。

 報告では「年収が高い人ほど忙しく、その忙しさを早歩きでカバーしているのかもしれません。早歩きをすれば、年収があがる、というわけではありませんが…」とコメントしています。言い替えるなら、年収が高い人ほど、せっかちな傾向があるとも解釈できそうです。

食事のスピードも!

 年収が高さは、仕事の能力とも因果関係がありそうです。歩行速度からの「せっかち」な傾向として連想しやすいのが食事のスピードです。

 2017年11月25日、日本電産の永守重信会長兼社長が京都学園大学で行われた特別講演会で「早く弁当を食べられる人の方が仕事ができる」とコメントし、ネットで大きな話題となりました。

 いわゆる「早食い有能説」です。

 「速く食べられる人は決断力や行動力が備わっており、仕事ができる人の条件は決断力と行動力だ」。永守氏は、経験則に基づいて、食事が早い人は仕事ができる割合が高いことを語りました。

 歩行速度と食べるスピードに対しての年収、どちらもイコールで結ばれるというよりは、傾向であること。パターン化して人を捉えることがないように注意が必要です。

<参考サイト>
・ドコモ・ヘルスケア株式会社:ウェアラブル活動量計「ムーヴバンド3」の歩行データを分析
https://www.d-healthcare.co.jp/newsrelease/20161118/
・@niftyニュース:日本電産社長「速く弁当を食べられる人の方が有能」と発言 ネットでは批判的な声多数
https://news.nifty.com/article/economy/business/12117-7518/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
3

プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性

プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性

プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義

プロジェクトマネジメントが世界的に普及し始めたのは1990年代。ソフトウェア産業の発展とともに拡大を続け、時代のニーズを受けて多くのシーンに定着してきた。今回は、その基本に立ち返り、国際標準をもとに、プロジェクトと...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/03
大塚有希子
法政大学専門職大学院イノベーションマネジメント研究科准教授
4

質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?

質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?

歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために

歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されて...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/12/02
5

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か

お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授