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ピンチをチャンスにした農業ビジネスでの成功
「ピンチをチャンスに」とよく耳にしますが、農業ビジネスの世界でも従来の農業の問題点、つまり農家や農産業そのもののピンチをビジネスチャンスにした成功例があります。及川智正氏率いる株式会社農業総合研究所(以下、農業総合研究所)です。1975年生まれの及川氏が自身の農業体験をもとに2007年に設立しました。社長も会社も若いながら、流通させている野菜や果物の総額は年額70億円、その販売手数料による売り上げは17億円という押しも押されぬ優良企業に成長しました。
●独自の物流システムが生む農家・店・客のメリット
農業総合研究所の主力ビジネスは「農家の直売所」と呼ばれる野菜や果物、及びその加工品を売ることのできるスペースを、全国の「道の駅」やスーパーマーケットに設置し、登録農家に開放することで成り立っています。登録農家7200、契約店舗は海外の4店舗を含む約1100店舗。この規模で、独自のIT&物流システムを武器とした農業プラットフォーム業を行っているわけです。
この「農家の直売所」の運営方法にはいくつもの優れた特徴があります。まず、全国の空き倉庫を活用して「集荷場」を設置。空き倉庫なので、安いレンタル料で借りられるのも大きなメリットですし、時には地方のバス会社や配送業者と業務提携することで、倉庫と物流の一石二鳥を手にするケースもあるそうです。こうした集荷場は全国72ヶ所あり、登録農家は片道30分以内で生産物を運び込むことができるようになっています。
独自の緻密でフットワークの軽い物流システムを組み込むことで、通常であれば店頭に商品が並ぶまで3~4日かかるところ、「農家の直売所」には農家から集荷して翌日には野菜や果物が並ぶようになりました。鮮度も熟度も「今が食べごろ!」を逃さず届けることができるというのも大きな特徴なのです。
そこで、及川氏はITを駆使して情報伝達を行うことを思いつきました。スーパーからレジ情報を送ってもらい、そのデータを生産農家のパソコンや端末に売り上げ情報としてフィードバックするのです。通常、販売店舗は地方の農家から離れた都心にあるため、いちいち農家の人が自分の野菜の売れ具合を確かめにいくことはできませんが、この方式なら「自分の商品のうち、どれがどの店で、どのくらい売れているのか」を日ごとに把握でき、それがより適正な価格設定、販売店選定に役立っているというわけです。この自分が作った作物、商品がどのようにエンドユーザーにまで渡っていくのかという実感は、農協に運び込んだら後は100パーセントお任せの方式では、決して得られないものでした。
及川氏はこのシステムを開発したことが、自社の成長の鍵になっていると振り返りますが、発券機のみならず生産者や売り場、消費者それぞれにある問題点を逆手に取ってプラスに変えていこうとした発想力、行動力こそが鍵と言えるのではないでしょうか。
●独自の物流システムが生む農家・店・客のメリット
農業総合研究所の主力ビジネスは「農家の直売所」と呼ばれる野菜や果物、及びその加工品を売ることのできるスペースを、全国の「道の駅」やスーパーマーケットに設置し、登録農家に開放することで成り立っています。登録農家7200、契約店舗は海外の4店舗を含む約1100店舗。この規模で、独自のIT&物流システムを武器とした農業プラットフォーム業を行っているわけです。
この「農家の直売所」の運営方法にはいくつもの優れた特徴があります。まず、全国の空き倉庫を活用して「集荷場」を設置。空き倉庫なので、安いレンタル料で借りられるのも大きなメリットですし、時には地方のバス会社や配送業者と業務提携することで、倉庫と物流の一石二鳥を手にするケースもあるそうです。こうした集荷場は全国72ヶ所あり、登録農家は片道30分以内で生産物を運び込むことができるようになっています。
独自の緻密でフットワークの軽い物流システムを組み込むことで、通常であれば店頭に商品が並ぶまで3~4日かかるところ、「農家の直売所」には農家から集荷して翌日には野菜や果物が並ぶようになりました。鮮度も熟度も「今が食べごろ!」を逃さず届けることができるというのも大きな特徴なのです。
値段や販売店を決められる自由を生かす情報伝達
運び込んだ商品に、農家が自身でバーコードを作成して貼るのですが、末端売価は農家が決められる仕組みになっており、さらに販売店舗も選べるという自由度も大きな特徴です。農家は利益を確保しつつ買ってもらえる適正な値段、そしてその商品価値を納得してくれるお客さんが来る店舗を見極めなければいけません。自由度が大きいからこその難しさがあるのです。そこで、及川氏はITを駆使して情報伝達を行うことを思いつきました。スーパーからレジ情報を送ってもらい、そのデータを生産農家のパソコンや端末に売り上げ情報としてフィードバックするのです。通常、販売店舗は地方の農家から離れた都心にあるため、いちいち農家の人が自分の野菜の売れ具合を確かめにいくことはできませんが、この方式なら「自分の商品のうち、どれがどの店で、どのくらい売れているのか」を日ごとに把握でき、それがより適正な価格設定、販売店選定に役立っているというわけです。この自分が作った作物、商品がどのようにエンドユーザーにまで渡っていくのかという実感は、農協に運び込んだら後は100パーセントお任せの方式では、決して得られないものでした。
最大の問題「発券機」がビジネス飛躍の鍵に
及川氏のアイディアと工夫は、バーコードシールにも及びました。従来はスーパーマーケットごとに異なるバーコードシールを作成するために、それぞれに対応するシール発券機を使い分けなければならず、非常に煩雑でした。そこで、一つの発券機で世界中のどこのスーパーのバーコードシールも簡単に作れるようにしたのです。この仕組みは生産者に非常に喜ばれ、多くのスーパーと直取引ができるようになりました。及川氏はこのシステムを開発したことが、自社の成長の鍵になっていると振り返りますが、発券機のみならず生産者や売り場、消費者それぞれにある問題点を逆手に取ってプラスに変えていこうとした発想力、行動力こそが鍵と言えるのではないでしょうか。
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