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DATE/ 2018.09.14

世界で最も「物価の高い都市」ランキング

 東京の物価が日本の他の地域に比べて高い、というのは周知の事実です。あらゆるモノやヒトが密集している以上はしょうがない部分はあります。では、世界的に見るとどうなのでしょうか。ここでは「世界生計調査」という民間企業の統計を元に東京の物価を見てみましょう。

世界で最も物価が高い都市は香港、東京は2位

 「2018年世界生計費調査(Cost of Living Survey) ? 都市ランキング」というものが発表されています。これは本社をニューヨークに置き、世界130国以上で組織や人事のコンサルティングを行っているマーサー(Mercer)という会社が発表したものです。対象は世界209都市、ニューヨークを基準の100として他の都市の指数を出しています。基軸通貨はUSドルとして、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査。

 これによると、企業の海外駐在員にとって最も物価が高い都市ランキングのトップ10は以下の通りです。

1位:香港(中国)
2位:東京(日本)
3位:チューリッヒ(スイス)
4位:シンガポール(シンガポール)
5位:ソウル(韓国)
6位:ルアンダ(アンゴラ)
7位:上海(中国)
8位:ンジャメナ(チャド)
9位:北京(中国)
10位:ベルン(スイス)

 アジアの都市が比較的上位にいます。東京は2位なので、このデータだけを元にすれば、世界的に見ても物価が高いと言えるでしょう。ちなみに6位のルアンダ(Luanda)はアフリカ南西部にあるアンゴラ共和国の首都です。よく間違われやすい、ルワンダ共和国(Rwanda、1990年台に内戦で苦しんでいた)とは違う国です。

調査対象の海外駐在員とは?

 アジアやアフリカなどの都市が並んだこの結果を、やや意外だな、と感じる人も多いのではないでしょうか。この点は、この調査がどういう性質のものかを考えてみる必要があるかと思います。ここで調査対象となっているのは、「海外駐在員」です。「海外駐在員」もしくは「外国人駐在員」とは、いわゆる外資系企業で本社から派遣されている管理職のことです。つまり、グローバル企業のエリート階級と考えていいでしょう。

 日本でそういった人たちがどこに住んでいるか調べてみたところ、主に東京都心部の港区、渋谷区を中心としたエリア、また田園調布、世田谷などの高級住宅街ということです。都心部には大使館も多く、比較的英語で生活がしやすいほか、インターナショナルスクールもあります。また、日本人の海外駐在員も海外では安全の保証された高級住宅地に住んでいるようです。

 つまり、この調査はアメリカやヨーロッパにおける、アッパークラスの生活費を想定していると考えていいでしょう。すると、なぜアジアやアフリカ地域が上位にきているのか、ということも説明がつくかもしれません。本国から遠いアジアやアフリカで、それなりに快適に自分たちのスタイルを崩さずに生活しようとすれば、大変にお金がかかります。また分析を読むと、住居費が大きな影響を与えているようです。一般的な日本の住宅の狭さから考えて、海外の人たちがどのような広さの家を求めているか、またそれを都心部で、と考えれば自ずと生活費が高くなるのは想像がつきやすいのではないでしょうか。

 ということで、ここでの物価高、というのは、大きく見て、「世界の主要都市におけるアッパークラスが住むエリアの生活費」と考えて妥当かもしれません。一般庶民のわたしたちの感覚とは少し違うということも意識したほうが良さそうです。

<参考サイト>
・ZDNet Japan:マーサー「2018年世界生計費調査(Cost of Living Survey) ‐都市ランキング」を発表
https://japan.zdnet.com/release/30254750/
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