社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.03.20

「話が長い人」の話の特徴

 あなたの周りに話が長い人、いませんか?だらだらと話が長すぎて、結局何が言いたいのかわからなかった、という経験をお持ちの方も少なくないはず。また、自分の話がうまく伝わらない理由は、もしかしたら話が長いからかもしれない、と思ったことがある人もいるかもしれません。

 特にビジネスの場では、話が長い人よりも端的に話をまとめられる人の方が評価は高いですよね。今回は伊藤洋一氏の著作『1分で話せ』を参考にしながら「話が長い」ということについて掘り下げてみましょう。

なぜ話が長くなってしまうのか?

 話が長い人の特徴はいくつかあります。論理的に話が組み立てられていない、結論がはっきりしていないことが原因で、話の方向性が迷子になってしまう場合もあります。話し手が話の方向性を持てていないと、相手はその真意をくみ取れないものですよね。

 今回はそうした観点だけではなく、話の組み立てはできているのに話が長くなってしまう人がやってしまいがちなポイントを紹介しましょう。

ポイント1:余計な言葉が多い

「基本的には方法Aを採用しておりましたが、効率化という観点から見ると、方法Bを採用するべきだと判断いたしました」

「従来の方法Aより方法Bの方が効率的だと判断いたしました」

 上記の2文は同じ意味ですが、後者の方がすっきりと意味が入ってきます。ここで注目すべきは「基本的には」「~の観点から見ると」といった、文中になくても困らない言葉。こうした言葉はビジネスの場ではよく使いがちですが、無駄に文章を長くしてしまうこともあるので、話すときに必要かどうかを精査することが大切です。

ポイント2:全ての情報を詰め込んでしまう

「私はA案が良いと思ったのですが、部長にお話したところB案の方が良いとおっしゃっていて…しかしB案は予算に見合わない可能性が高いので、やはりA案で進めるのが良いかと思われます」

「より予算に見合うA案で進めたいと考えております」

 こちらの2文を比べると、前者はまどろっこしく感じられます。その原因は「相手を気遣いすぎる」「プロセスを語る」「自分の意見と違うことを言う」といった、本筋ではない情報を詰め込んでしまったことによって、何が言いたいのか分からなくなってしまったことにあります。話すときにこうしたクセがある人は、話が長くなりやすい傾向にあるかもしれません。しかし、こうした話し方は、かえって決断力がないと判断されてしまう危険性もあります。

話が長くならないために

 「もしかしたら当てはまるかも」と感じた人もいるのではないでしょうか。話が長くならないためには「話のゴール=結論をはっきりさせること」、「余計な言葉はなるべく省くこと」、そして「自分の意志をきちんと伝えること」が大切です。なんとなく話すのではなく、意識して相手にわかりやすいように話すことを心がけてみましょう。

<参考文献>
・『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』(伊藤羊一著、SBクリエイティブ)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
4

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か

お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授