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日本より少子高齢化が進む台湾で何が起きている?
少子高齢化が長らく問題になっていますが、未だ回復の目処はたちそうにありません。人口減少は国力の低下そのものにつながり、年金や医療保険制度にも巨大な影を投げかけていますが、実は日本に限られた話ではありません。
東アジアでは台湾、韓国、中国やシンガポール、ヨーロッパではドイツ、イタリアなどでも問題視され、先進国間の課題となっています。とりわけ台湾と韓国は2016年度の出生率は日本の1.44を下回り、両国とも1.17をマークしました。少子化の進んだ先にどのような未来が待ち構えているのか、また、他国の少子化対策を調べてみました。
背景にあるのはやはり経済です。日本では、1973年のオイルショックをきっかけとした高度経済成長の終わりに伴い出生率の低下が始まったことが指摘されています。台湾や韓国は1997年に起きたアジア通貨危機を機に出生率低下に拍車がかかったようです。ただでさえ高い養育費を思えば、経済状況が悪い中、子作りを控える夫婦が現れるのも無理なからぬことでしょう。
また、過去に各国政府が打ち出した家族計画プログラムも大きく影響を及ぼしています。いくつかの国では、人口爆発は経済の発展を阻害する恐れがあると、出生率抑制策を推し進めていました。有名なところでは中国の「一人っ子政策」ですね。他にもシンガポールや韓国、台湾でも抑制策がとられ、結果として、それらの国々は経済的成長を遂げています。しかし、経済発展の終わりと同時に出生率は年々低下、人口の低下に頭を悩ませることになったのです。
実は台湾は世界の出生率ランキングワースト1位に着いています。ここにも複雑な経済的事情が絡んでいるようです。現代の一般的な台湾人夫婦は、共働きが多数派です。女性の社会進出が目覚しい、といえば聞こえも良いのですが、実際には夫婦揃ってフルタイムで働いていないと高騰する物価に家計が追いつけないという事情があるようです。
そんな中、少子化の影響は教育機関の減少という目に見える形で現れてきました。台湾の教育省では大学の入学者数は2013年から2023年の間に31万人減少すると推定しています。公立私立を問わず52校が閉鎖・合併されると予測され、教育水準の後退は国家レベルの衰退につながると危惧されています。
ただでさえ若者、働き盛りの世代の少なくなる中で、近年、母国では稼ぎが良くないと中国に渡る人々が増えているようです。ご存知の通り、中国と台湾は政治的にもめていますが、中国側は人材として訪れる台湾の人々を歓迎しています。日本のみならず労働力の確保は中国でも悩みの種、質の良い人材となると他国からのヘッドハンティングを厭いません。このような人材流出が重なれば国内経済はさらに悪くなり、少子化がさらに加速するという悪循環を招きかねません。
フランスやスウェーデンでは、一時期出生率1.5~1.6まで低下しましたが、2016年データではフランスが1.92、スウェーデンが1.85と上方修正を果たしました。両国の家族政策の特徴は、「両立支援」、経済的支援に留まらず保育や育休制度、出産・子育てと就労について幅広い選択ができるよう環境を整えたことにあるようです。
社会が成熟し、個人は自由意思で選択するのが当たり前となった時代、人生設計を子育てのシステムが旧態以前ゆえに放棄しなければならないといった有様では、人口が増えないのも必然でしょう。日本では、政府は目標出生率を1.8と設定していますが、それを達成するには出産から子育ての支援を長期的に国家レベルで推し進めることが不可欠です。諸外国から学び、現状に合った政策を打ち出してもらいたいものです。
東アジアでは台湾、韓国、中国やシンガポール、ヨーロッパではドイツ、イタリアなどでも問題視され、先進国間の課題となっています。とりわけ台湾と韓国は2016年度の出生率は日本の1.44を下回り、両国とも1.17をマークしました。少子化の進んだ先にどのような未来が待ち構えているのか、また、他国の少子化対策を調べてみました。
グローバルな出生率低下のきっかけは
東アジアの出生率の低下は1970年から1975年の間に顕著にみられます。欧州でも同様に、多少の上下はあれ2000年あたりまで右肩下がりに落ち込みました。背景にあるのはやはり経済です。日本では、1973年のオイルショックをきっかけとした高度経済成長の終わりに伴い出生率の低下が始まったことが指摘されています。台湾や韓国は1997年に起きたアジア通貨危機を機に出生率低下に拍車がかかったようです。ただでさえ高い養育費を思えば、経済状況が悪い中、子作りを控える夫婦が現れるのも無理なからぬことでしょう。
また、過去に各国政府が打ち出した家族計画プログラムも大きく影響を及ぼしています。いくつかの国では、人口爆発は経済の発展を阻害する恐れがあると、出生率抑制策を推し進めていました。有名なところでは中国の「一人っ子政策」ですね。他にもシンガポールや韓国、台湾でも抑制策がとられ、結果として、それらの国々は経済的成長を遂げています。しかし、経済発展の終わりと同時に出生率は年々低下、人口の低下に頭を悩ませることになったのです。
出生率ランキングワースト1位の台湾に見る少子化社会の問題
台湾の国家発展委員会の発表によれば、2018年、総人口における65歳以上が占める割合が14%をオーバーし、高齢社会に突入しました。8年後にはそれが20%以上になり、超高齢社会の到来が予測されています。けれども、2017年の合計特殊出生率は1.13、2021年には米国の中央情報局(CIA)が発表した「2021年の国・地域別の合計特殊出生率予測」で世界で最も低い1.07となっています。年々低下する出生率ですが回復する様子は伺えません。実は台湾は世界の出生率ランキングワースト1位に着いています。ここにも複雑な経済的事情が絡んでいるようです。現代の一般的な台湾人夫婦は、共働きが多数派です。女性の社会進出が目覚しい、といえば聞こえも良いのですが、実際には夫婦揃ってフルタイムで働いていないと高騰する物価に家計が追いつけないという事情があるようです。
そんな中、少子化の影響は教育機関の減少という目に見える形で現れてきました。台湾の教育省では大学の入学者数は2013年から2023年の間に31万人減少すると推定しています。公立私立を問わず52校が閉鎖・合併されると予測され、教育水準の後退は国家レベルの衰退につながると危惧されています。
ただでさえ若者、働き盛りの世代の少なくなる中で、近年、母国では稼ぎが良くないと中国に渡る人々が増えているようです。ご存知の通り、中国と台湾は政治的にもめていますが、中国側は人材として訪れる台湾の人々を歓迎しています。日本のみならず労働力の確保は中国でも悩みの種、質の良い人材となると他国からのヘッドハンティングを厭いません。このような人材流出が重なれば国内経済はさらに悪くなり、少子化がさらに加速するという悪循環を招きかねません。
社会が成熟するにつれ少子化は進む、ならば対策は?
あちこちの国が出成立低下に悩む時代ですが、そんな中で回復を見せている国も存在します。フランスやスウェーデンでは、一時期出生率1.5~1.6まで低下しましたが、2016年データではフランスが1.92、スウェーデンが1.85と上方修正を果たしました。両国の家族政策の特徴は、「両立支援」、経済的支援に留まらず保育や育休制度、出産・子育てと就労について幅広い選択ができるよう環境を整えたことにあるようです。
社会が成熟し、個人は自由意思で選択するのが当たり前となった時代、人生設計を子育てのシステムが旧態以前ゆえに放棄しなければならないといった有様では、人口が増えないのも必然でしょう。日本では、政府は目標出生率を1.8と設定していますが、それを達成するには出産から子育ての支援を長期的に国家レベルで推し進めることが不可欠です。諸外国から学び、現状に合った政策を打ち出してもらいたいものです。
<参考文献・参考サイト>
・『日本の人口動向とこれからの社会』(森田朗監修、国立社会保障・人口問題研究所編、東京大学出版)
・『ここにも中国の影が。台湾は日本以上の少子化で国家存亡の危機』MAG2NEWS
https://www.mag2.com/p/news/360762
・『令和3年版少子化社会対策白書』内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03pdfhonpen/r03honpen.html
・『世界の合計特殊出生率 国別ランキング・推移』GLOBAL NOTE
https://www.globalnote.jp/post-3758.html
・『日本の人口動向とこれからの社会』(森田朗監修、国立社会保障・人口問題研究所編、東京大学出版)
・『ここにも中国の影が。台湾は日本以上の少子化で国家存亡の危機』MAG2NEWS
https://www.mag2.com/p/news/360762
・『令和3年版少子化社会対策白書』内閣府
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2021/r03pdfhonpen/r03honpen.html
・『世界の合計特殊出生率 国別ランキング・推移』GLOBAL NOTE
https://www.globalnote.jp/post-3758.html
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