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「神社」と「寺」の違いを説明できますか?
日本人にとっては身近な存在である「神社」と「お寺」ですが、外国の方や小さい子供にどう違うのと訊かれて説明できますか? 改めて考えてみると日本人にも意外と難しい神社仏閣の違いを調べてみました。
神道でいう「神」は、「八百万の神」の言葉通り実に多様です。イザナギやイザナミ、アマテラスといった神話に登場する神々もいれば、祇園祭で有名なゴズテンノウのように仏教や外国の神々と同一視された存在もいます。また、天皇家をはじめとして、織田信長や徳川家康といった一時代を築き上げた戦国大名や、怨霊と化して恐れられた菅原道真のように、人が神として祀られるようになるケースも見られます。
くわえて、山や海など自然の神、出産の神、農業や芸能の神から以前流行歌になった「トイレの神様」もとい厠の神まで、日本人は様々な神様を身近に祀ってきました。
仏教の「仏」とは、「悟りを開いたもの」という意味合いになります。釈迦族の王子だったシッダールタが出家し悟りの境地に達した後、その教えを広めるために開かれたのが仏教です。お寺で拝んでいる釈迦如来や大日如来といった仏像は悟りを開いた存在の姿であり、神を象った姿ではありません。
ただ、日本では神と仏を同一視する考え方が生まれたので、一概に区別するのが難しくなっています。例をあげると、日本で一番多いとされる八幡神社の「八幡様」は、元来応神天皇を神格化して祀ったものでしたが、後に仏教の菩薩号が付いて「八幡大菩薩」として信仰されています。
では鳥居があるのが神社で、ないのが仏閣なのかと言いますと、鳥居のあるお寺もあれば、鳥居のない神社も存在します。反対に仏像のある神社というのもあるそうです。
この様な神社と仏閣の線引きの難しさには、歴史的な背景事情があります。
多くの宗教の例に洩れず、神道と仏教も歴史の波に翻弄され都度変化し続けてきました。仏教の伝来時には、日本古来の神々の怒りを招くと、仏教受容派と反対派が対立しましたが、平安時代には神と仏は一体であるとする「神仏習合」が唱えられます。
また、徳川幕府の時代においては、「寺請制度」で庶民はいずれも寺院の檀家になることを定められます。しかし明治政府は「神仏分離令」を発布、この法令が仏像や仏具を焼き捨てる「廃仏毀釈」を招きました。その後、仏教も天皇崇拝など明治政府の方針に従うことを条件に認められますが、神道は祭政一致国家の道具として「国家神道」になり、敗戦まで続いていきます。これらの流れが今日まで尾を引いており、神社と仏閣の区別を難しくしているようです。
ただ、お墓のある神社はまずありません。神道では死を穢れとして遠ざけるため、死者のための空間を持たないのです。
神社は主にお祝い事で訪れる機会が多いのが特徴と言えるでしょう。子供が生まれたことを報告する初宮参りや、子供の成長を祝う七五三、神前結婚式も神社で行います。また、還暦など長寿のお祝いも神道がベースにあるものです。
逆に人生の終焉、死を扱うのはお寺になります。お葬式も昨今はセレモニーホールで執り行われることも多いですが、菩提寺のある家庭ではお寺で開くのが一般的でした。また、お盆やお彼岸などのお墓参りにお寺まで連れ立つ人々の姿は今でも見られます。
とはいえ、神道にも神葬祭という葬儀があり、お寺で開かれる仏前式という結婚式もあり……明確に線引きするのはなかなか難しいようです。歴史の中で変化し続けた神社仏閣、どう違うかと考えるより、どのように続いてきたかに注目すると、お参りもより趣深いものになるのではないでしょうか。
神社と仏閣の違い1:宗教・「神」か「仏」か
神社と仏閣の根本的な違いに、まず宗教の違いがあります。ご存知の通り、神社は神道、仏閣は仏教の施設です。基本的には、神社は「神」を、お寺は「仏」を祀っていることになっています。神道でいう「神」は、「八百万の神」の言葉通り実に多様です。イザナギやイザナミ、アマテラスといった神話に登場する神々もいれば、祇園祭で有名なゴズテンノウのように仏教や外国の神々と同一視された存在もいます。また、天皇家をはじめとして、織田信長や徳川家康といった一時代を築き上げた戦国大名や、怨霊と化して恐れられた菅原道真のように、人が神として祀られるようになるケースも見られます。
くわえて、山や海など自然の神、出産の神、農業や芸能の神から以前流行歌になった「トイレの神様」もとい厠の神まで、日本人は様々な神様を身近に祀ってきました。
仏教の「仏」とは、「悟りを開いたもの」という意味合いになります。釈迦族の王子だったシッダールタが出家し悟りの境地に達した後、その教えを広めるために開かれたのが仏教です。お寺で拝んでいる釈迦如来や大日如来といった仏像は悟りを開いた存在の姿であり、神を象った姿ではありません。
ただ、日本では神と仏を同一視する考え方が生まれたので、一概に区別するのが難しくなっています。例をあげると、日本で一番多いとされる八幡神社の「八幡様」は、元来応神天皇を神格化して祀ったものでしたが、後に仏教の菩薩号が付いて「八幡大菩薩」として信仰されています。
神社と仏閣の違い2:鳥居・仏像・お墓
視覚的なイメージとして神社を思い浮かべると出てくるのは、やはり「鳥居」ではないでしょうか。地図記号にも使われていますし、どこの町でも目にすると思われます。対してお寺にあるものはといえば、やはり「仏像」と「お墓」になるでしょう。では鳥居があるのが神社で、ないのが仏閣なのかと言いますと、鳥居のあるお寺もあれば、鳥居のない神社も存在します。反対に仏像のある神社というのもあるそうです。
この様な神社と仏閣の線引きの難しさには、歴史的な背景事情があります。
多くの宗教の例に洩れず、神道と仏教も歴史の波に翻弄され都度変化し続けてきました。仏教の伝来時には、日本古来の神々の怒りを招くと、仏教受容派と反対派が対立しましたが、平安時代には神と仏は一体であるとする「神仏習合」が唱えられます。
また、徳川幕府の時代においては、「寺請制度」で庶民はいずれも寺院の檀家になることを定められます。しかし明治政府は「神仏分離令」を発布、この法令が仏像や仏具を焼き捨てる「廃仏毀釈」を招きました。その後、仏教も天皇崇拝など明治政府の方針に従うことを条件に認められますが、神道は祭政一致国家の道具として「国家神道」になり、敗戦まで続いていきます。これらの流れが今日まで尾を引いており、神社と仏閣の区別を難しくしているようです。
ただ、お墓のある神社はまずありません。神道では死を穢れとして遠ざけるため、死者のための空間を持たないのです。
神社と仏閣の違い3:人生儀礼における場面
日本では「無宗教」を公言する人も少なくありませんが、それでも思っている以上に神社仏閣に足を運ぶ場面はあるのではないでしょうか。初詣に限らず、人生儀礼にも「神社」と「仏閣」が深く関わってきます。神社は主にお祝い事で訪れる機会が多いのが特徴と言えるでしょう。子供が生まれたことを報告する初宮参りや、子供の成長を祝う七五三、神前結婚式も神社で行います。また、還暦など長寿のお祝いも神道がベースにあるものです。
逆に人生の終焉、死を扱うのはお寺になります。お葬式も昨今はセレモニーホールで執り行われることも多いですが、菩提寺のある家庭ではお寺で開くのが一般的でした。また、お盆やお彼岸などのお墓参りにお寺まで連れ立つ人々の姿は今でも見られます。
とはいえ、神道にも神葬祭という葬儀があり、お寺で開かれる仏前式という結婚式もあり……明確に線引きするのはなかなか難しいようです。歴史の中で変化し続けた神社仏閣、どう違うかと考えるより、どのように続いてきたかに注目すると、お参りもより趣深いものになるのではないでしょうか。
<参考文献>
『カラー版 イチから知りたい! 神道の本』(三橋健著、西東社)
『一冊でわかるイラストでわかる 図解仏教』(広沢隆之著、成美堂出版)
『なぜ日本人は神社にもお寺にも行くのか』(島田裕巳著、双葉社)
『カラー版 イチから知りたい! 神道の本』(三橋健著、西東社)
『一冊でわかるイラストでわかる 図解仏教』(広沢隆之著、成美堂出版)
『なぜ日本人は神社にもお寺にも行くのか』(島田裕巳著、双葉社)
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