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世界からみた日本の「奇妙な食べ物」とは
納豆はよく知られていますが…
低カロリーでヘルシーな食事として、世界中で人気が高まっている和食。ユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、さらに注目が集まっていますよね。しかし和食で普通に使用される食材のなかには、外国人からみると「そんなものを食べるの?」とびっくりされてしまうものも多いのです。よく知られているのは納豆ではないでしょうか。日本人でも特に関西には苦手な方が多いですが、納豆菌を利用して大豆を発酵させるという製造方法は日本にしか見られず、独特の匂いとねばねば感に「無理!」となってしまう外国人が多いようです。しかし納豆には血液をサラサラにする作用があるとされるナットウキナーゼなどの栄養素が豊富で、近年ではヘルシーな食材として広く知られるようになったため、一念発起して食べてみる外国人も増えています。
このような、世界的視点でみると“奇妙”に映る和食の食材は他にもたくさんあります。日本では普通に食べられているので「どうして?」と思われるものもあるでしょう。そこで今回は、外国人が奇妙に感じる食べ物を、その理由とあわせてご紹介します。
外国人には“奇妙”にみえる食べ物
和食のヘルシーさはやはり海の幸をたっぷりとれるところにありますよね。しかし多種多様だからこそ、奇妙に感じられるものも多いようです。フグ:フグが毒を持っていることはもちろん世界中で知られていますし、だからこそ食べない国が多いです。そのような国の人たちからみると、「日本はおいしい魚がたくさんとれるのに、なぜわざわざ毒がある魚を食べるのか理解できない」と思われてしまうのですね。しかし日本のフグ料理を味わうと、そのおいしさや美しさに納得する外国人も多いようです。
タコ:イギリスの伝承に登場する、船を沈めてしまう怪物・クラーケンはモデルがタコという説があります。このように、海外ではタコを魔物のように恐れる傾向が強く、食べるなんてとんでもないと思われてしまうのです。ただし、アジア地域では広く好まれていますし、ヨーロッパでもイタリアやスペインではよく食べられています。
白子:「見た目が脳みそみたいで無理」というストレートな理由で拒否反応を示されてしまうのが白子です。また、“タラやアンコウなどの魚の精巣”という正体を知ってしまってさらに拒否反応が強くなる外国人も。しかし口当たりが滑らかでコクがある白子は、一度食べると病みつきになってしまう外国人も多いのだとか。
日本でおなじみの野菜類にも、奇妙と感じられるものがあります。
ごぼう:漢方やハーブのように薬として扱われることはあっても、食材とは考えられていないのがごぼうです。木の根のような匂いや見た目がいやがられてしまうようです。太平洋戦争のときには、オーストラリア人の捕虜が日本の収容所で食事にごぼうを出され、「木の根を食べさせられた」と訴えたため、食事を出した職員が戦後に虐待の罪を問われて処刑されたこともありました。
松茸:日本では高級食材の松茸も、苦手に感じる外国人が多いです。その理由は、日本では珍重されているあの香りが「靴や靴下のにおいを連想させるから」というのだから驚きですね。ブータンのようにアジア地域では松茸を食べる国もありますが、日本ほど高級品ではありません。海外にはトリュフやポルチーニのような高級きのこがあるので、こちらのほうが馴染み深いのでしょう。
さらに、食品を生で食べることに抵抗感を示されることも。お刺身、馬刺し、生卵などは「料理しない状態のまま食べるの?」と気味悪がる外国人も多いです。特にヨーロッパ地域では乗馬好きの人が多いので、馬刺しは友だちを食べるような気持ちにもなってしまい、とても手をつけられないようです。
ただし、卵は海外だと生食を想定していない処理を施しているので、サルモネラ菌が発生しやすくなっています。これに対し、日本では出荷前の消毒殺菌が徹底しており、消費期限も短めに設定しているので生で食べても安全なのです。
反対に、日本人からみて奇妙に映る世界の食べ物もたくさんありますよね。しかし、その食べ物や食べ方はその国や地域で大切に育てられた文化です。食文化を理解することは、その文化を理解する有効な手段のひとつ。外国の珍しい食べ物への興味や理解を深めるのも、楽しいかもしれませんよ。
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