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DATE/ 2021.04.06

コメの味や香りを評価するランキングとは

 コメの美味しさを評価して「A」「特A」などとランクで呼ばれることがあります。何となく聞いたことはあっても、それがどこでどう評価されているのかはよく知らない、という方も多いでしょう。新潟県魚沼産『コシヒカリ』といった日本の代表格ともいえるブランド米は、どのような評価を受けているのでしょうか。

 今回は知られざる“コメの格付けチェック”について解説いたします。

同じ品種でも毎年評価が変わる!「食味ランキング」

 コメの格付けで最もよく知られているのが一般社団法人 日本穀物検定協会が毎年行っている「食味ランキング」です。味を評価する専門家20名が、実際に炊飯器で炊いた試験対象のコメを試食し(食味官能試験)、外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目を数値化。その数値の高さからランク付けをします。

 ランクは、その年の複数産地のコシヒカリをブレンドした「基準米」の数値と比較したうえで決定されます。試験対象のコメが、基準米よりも特に上等で品質良好であれば「特A」、良好であれば「A」、ほぼ同等の品質であれば「A’」となり、基準米よりもやや劣るものは「B」、劣るものは「B’」と評価されます。

「B」以下はなし!「特A」は3年連続で50以上

 最新の2020年(令和2年)のランキングでは、試験対象となった全国154銘柄のコメのうち、全体のおよそ3分の1にあたる53銘柄が「特A」と評価。「B」や「B’」 のコメは該当なしという結果になりました。なお、新潟県の魚沼産『コシヒカリ』は3年連続、北海道の『ゆめぴりか』は10年連続で「特A」評価を受けています。

 今回は前回と比べ、「特A」のコメが1銘柄減り、8年連続で「特A」だった「あきたこまち(秋田県県南産)」や「ひとめぼれ(宮城県)」といった有名ブランド15銘柄が「特A」から「A」にランクダウンしたと発表されています。

 とはいえ、50以上の銘柄が3年連続で「特A」を獲得、14銘柄が「特A」にランクアップし、愛知県三河中山間産のブランド米『ミネアサヒ』が愛知県初の「特A」に選ばれるなど、嬉しい結果も現れたようです。

 コメは農作物ですから、当然その年の気候の影響などにより出来具合が変化します。それでもこれだけ多くの品種がすべて「A」以上の評価を受けるということは、それだけ日本のコメが高品質かつ安定して生産されていることの証左ではないでしょうか。日本のコメは、まさに“粒ぞろい”なのです。

ランクはあくまで目安。好みにあった銘柄を見つけよう

 ランキングは食味のプロの評価ではありますが、その時に試験されたコメに限定されていますので、流通する商品そのものの評価と直接結びつけるのはやや安易でしょう。昨今は新品種も続々登場しているほか、「リゾットに最適」「GABAが豊富」など、特定の機能性を謳うコメも見かけます。もちろん、新米か古米かでも味に差が出てきます。

 ランクはあくまで目安とし、自分のニーズに合ったおコメを選びたいですね。

<参考サイト>
「2年産米の食味試験の実施及び概要」│一般社団法人 日本穀物検定協会
http://www.kokken.or.jp/data/ranking_hajime02.pdf
米の食味ランキングとはどのような内容なのか教えてください。│農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1803/03.html
お米の新品種│農研機構
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/season/054222.html

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