社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
相手を不快にさせる「余計な一言」とは
話すことはコミュニケーションの基本です。しかしながら、楽しいおしゃべりのひととき、利益を交換しあったビジネスシーン、お互いを高め合った学びの場など、貴重な機会を「余計な一言」で台無しにしてしまった経験、されてしまった体験に、心当たりがある人も多いと思います。
そこで今回は、相手を不快にさせる「余計な一言」について、例題をとりあげつつ、背景から考察してみたいと思います。
1)不要な「さ」
「書かせていただきます」「書か“さ”せていただきます」。あなたはどちらがしっくりきますか?後者は、いわゆる「さ付きことば」「さ入れ表現」などといわれる、「余計な一言」です。
2)「で」の誤用
「あなた“で”いいです」「あなた“が”いいです」。あなたならどちらを言われたいですか?多くの人が、後者を選ぶのではないでしょうか。せっかくの一言が「余計な一言」となりかねません。なお「○○“は”いいね」の「は」も同様です。
3)「お」の乱用
「美味しい“お”酒」「美味しい“お”ビール」。あなたはどちらかに違和感を覚えたでしょうか?名詞に「お(御)」を付ける場合、尊敬語・謙譲語・美化語などによって違いますが、安易に付けると「余計な一言」となってしまいます。
1)自己主張をコントロールできない会話泥棒
情報不足で話題がなかったり、語彙が少なく会話の間を持たせられなかったり、さらには相手の話を傾聴する場であっても、意識的・無意識的に関係なく会話の主導権を握りたいあまりに、ついその場に関係のない「余計な一言」を発する場合があります。「でも」「だって」「けど」などちゃぶ台返しとなりかねない、逆接の接続詞で始める自分語りも同様です。
2)主体性のない丁寧“風”な言葉
自信のなさや単なる知識不足による、長すぎる挨拶、過剰な敬語や尊攘語、もってまわった説明などは、一見相手を立てているようで実は主体性のない発言の多くは、「余計な一言」です。謙遜しているようで実は相手に主体性を強いて責任を押してつけているような、「させていただきます」「よろしいでしょうか」などの多用も同様です。
3)下手な毒舌・ユーモア・ナンセンス
毒舌やユーモア・ナンセンスな言葉は、上手く使うことができれば印象深い発言になりますが、高度な話術や確かな関係性が背景になければ成り立ちません。残念ながら「余計な一言」となる危険性が高いため、特にビジネスや冠婚葬祭など公式や格式のある場では注意が必要です。“率直な発言”や“本音を言う”を意味する、「ぶっちゃけ」に続く言葉も同様です。
そのためにも、知識や情報だけでなく語彙を自身に取り入れて話題を増やしたり、会話の構成力や発声など話術を磨いたりするなど、知識のアップデートや技術の向上も必要になる場合も多々あります。
そしてなによりも、現在進行形で話し相手を尊重し、この場でこそ相手を楽しませ、自分から積極的に目的のために高め合っていくような、話し相手と話すことへの好意的な態度が基本といえます。
話すことの目的は様々ですが、大前提となる“一緒に話し合える機会にめぐまれたこと”が、本来は得難い機会といえます。そのような素晴らしい機会を「余計な一言」でかえって台無しにしないためには、言葉を不用意に誤用したり乱用したりしない態度が求められます。
そこで今回は、相手を不快にさせる「余計な一言」について、例題をとりあげつつ、背景から考察してみたいと思います。
一言にこそ「余計」が宿る
まずは例題として、真に「余計な一言」ともいえる、一文字からなる「余計な一言」の三例をみてみましょう。1)不要な「さ」
「書かせていただきます」「書か“さ”せていただきます」。あなたはどちらがしっくりきますか?後者は、いわゆる「さ付きことば」「さ入れ表現」などといわれる、「余計な一言」です。
2)「で」の誤用
「あなた“で”いいです」「あなた“が”いいです」。あなたならどちらを言われたいですか?多くの人が、後者を選ぶのではないでしょうか。せっかくの一言が「余計な一言」となりかねません。なお「○○“は”いいね」の「は」も同様です。
3)「お」の乱用
「美味しい“お”酒」「美味しい“お”ビール」。あなたはどちらかに違和感を覚えたでしょうか?名詞に「お(御)」を付ける場合、尊敬語・謙譲語・美化語などによって違いますが、安易に付けると「余計な一言」となってしまいます。
「余計な一言」が生まれる背景
ではどうして、「余計な一言」を言ってしまうか。背景や注意点を、シーン別に取り上げてみたいと思います。1)自己主張をコントロールできない会話泥棒
情報不足で話題がなかったり、語彙が少なく会話の間を持たせられなかったり、さらには相手の話を傾聴する場であっても、意識的・無意識的に関係なく会話の主導権を握りたいあまりに、ついその場に関係のない「余計な一言」を発する場合があります。「でも」「だって」「けど」などちゃぶ台返しとなりかねない、逆接の接続詞で始める自分語りも同様です。
2)主体性のない丁寧“風”な言葉
自信のなさや単なる知識不足による、長すぎる挨拶、過剰な敬語や尊攘語、もってまわった説明などは、一見相手を立てているようで実は主体性のない発言の多くは、「余計な一言」です。謙遜しているようで実は相手に主体性を強いて責任を押してつけているような、「させていただきます」「よろしいでしょうか」などの多用も同様です。
3)下手な毒舌・ユーモア・ナンセンス
毒舌やユーモア・ナンセンスな言葉は、上手く使うことができれば印象深い発言になりますが、高度な話術や確かな関係性が背景になければ成り立ちません。残念ながら「余計な一言」となる危険性が高いため、特にビジネスや冠婚葬祭など公式や格式のある場では注意が必要です。“率直な発言”や“本音を言う”を意味する、「ぶっちゃけ」に続く言葉も同様です。
今・この場で・自分たちが・話すべきこと
相手を不快にさせる「余計な一言」を言わないためには、やはり「今・この場で・自分たちが“話すべきこと”」の目的や本質をしっかりと認識し、そのための主題にそった話題を選び、知識や情報や良識を持ち寄って話し合うことが必要です。そのためにも、知識や情報だけでなく語彙を自身に取り入れて話題を増やしたり、会話の構成力や発声など話術を磨いたりするなど、知識のアップデートや技術の向上も必要になる場合も多々あります。
そしてなによりも、現在進行形で話し相手を尊重し、この場でこそ相手を楽しませ、自分から積極的に目的のために高め合っていくような、話し相手と話すことへの好意的な態度が基本といえます。
話すことの目的は様々ですが、大前提となる“一緒に話し合える機会にめぐまれたこと”が、本来は得難い機会といえます。そのような素晴らしい機会を「余計な一言」でかえって台無しにしないためには、言葉を不用意に誤用したり乱用したりしない態度が求められます。
<参考文献>
・『その一言が余計です。』(山田敏弘著、ちくま新書)
・『余計な一言』(齋藤孝著、新潮新書)
・『その一言が余計です。』(山田敏弘著、ちくま新書)
・『余計な一言』(齋藤孝著、新潮新書)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
新たなビジネスを発展させてこそ国家歳入も拡大する
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(5)東西貨幣統一とビジネス創造
田沼意次は、大岡越前の金融緩和策を受け継ぎつつ、さらに東西貨幣の統一などの積極的な経済・金融政策に打って出る。その政策は、やはり気配りが行き届き、実効性が高いものであった。さらに田沼意次は、国家歳入を拡大させる...
収録日:2025/01/28
追加日:2025/06/27
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
鎌田東二先生の講義で「人生の究極の境地」を体感する
編集部ラジオ2025(13)鎌田東二先生の講義集
鎌田東二先生が令和7年(2025年)5月30日にご逝去されました。鎌田先生は神道学者でいらっしゃると同時に、世界の神話や神秘思想にも深く通暁され、行動的かつ実践的に「知」と「社会」と「人の生き方」との連携を軽やかに推し...
収録日:2025/06/11
追加日:2025/06/26
放っておくと大変なことに…睡眠時無呼吸症候群の実態
睡眠と健康~その驚きの影響(4)睡眠時無呼吸症候群と免疫
よい睡眠が取れていないと、免疫が低下し、健康を害することにつながることも明らかになりつつある。今回は睡眠と免疫の関係についてということで、コロナ禍に行われた睡眠に関する実験の結果を紹介し、特に睡眠時無呼吸症候群...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/26
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24