社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
休日に仕事の連絡…法的にアウトなのか?
会社員をしていれば、ある程度経験したことがあろう事案に「休日連絡」があります。モヤモヤしつつも対応してきたかと思いますが、休日なのに会社サイドから仕事の連絡が入ることは労働基準法的にはアウト、それともセーフなのでしょうか。
「使用者が、第 33 条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」(第37条より)
つまり、休日に仕事の対応を求める場合は、時間外の割増賃金を支払う必要があり、電話でもメールなどちょっとした応対にも雇用サイドは注意する必要があります。
リアルタイムにカウントされる電話応対と違って、応対にタイムラグのあるメールやメッセージ対応は若干グレーではありますが、会社サイドから、休日の返信を強いてきた場合は、時間外労働・休日労働に該当します。
「休みだけど、緊急案件はLineやショートメッセージの対応をお願い!」
「休みでもメールはムリでもLineくらい返せるでしょ!」
「ちょっとくらいいいでしょ」的な上司や同僚のオーダーには注意しつつ、自分が上司であったり同僚であったりする場合は特に、相手の立場にたってムリを求めないようにしたいものです。
お客さまも上司も変わりなく、対応を求められる者の心理としては、ルールを踏み倒した緊急対応についての葛藤があります。業種にもよりますが、緊急時に電話やメールなどの応対をしないことでトラブルが大きくなり、後々自分が困ることも少なくないです。
無償で対応すれば個人的な評価が得られる、拒絶すれば無償対応が公然なものとなりブラックな会社環境に荷担してしまうというもの。個人を優先するか、環境を優先するかという心理戦ですね。
理想的なのは、このどちらかを選択するという問題ではなく、休日応対についてのルールを、社内外に明示すること、会社側が「弊社社員は休みの日は連絡がとれない、あるいは対応できない」ことをクライアントに明確に伝えておくことです。
また、会社支給の仕事用の携帯/スマホによって、応対を計量可能にするなど、休日対応を時間外労働と認め時間外賃金を支払うような仕組みがあれば、安心して応対ができるのではないでしょうか。
ストレスは社会を蝕みます。会社の労働時間外の応対は少なからず、会社だけでなく社会にも多大な損害を与えかねない事案であることを理解しましょう。
休日の仕事連絡は法的にアウト
結論からいうなら、労働時間外にあたる休日に仕事の連絡対応することは、以下労働基準法を参照して、完全にアウトです。「使用者が、第 33 条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」(第37条より)
つまり、休日に仕事の対応を求める場合は、時間外の割増賃金を支払う必要があり、電話でもメールなどちょっとした応対にも雇用サイドは注意する必要があります。
リアルタイムにカウントされる電話応対と違って、応対にタイムラグのあるメールやメッセージ対応は若干グレーではありますが、会社サイドから、休日の返信を強いてきた場合は、時間外労働・休日労働に該当します。
「休みだけど、緊急案件はLineやショートメッセージの対応をお願い!」
「休みでもメールはムリでもLineくらい返せるでしょ!」
「ちょっとくらいいいでしょ」的な上司や同僚のオーダーには注意しつつ、自分が上司であったり同僚であったりする場合は特に、相手の立場にたってムリを求めないようにしたいものです。
お客さまからの仕事連絡も…
休日に連絡があるのは、会社サイドだけではありません。営業職であればとくに配慮しなければならないのがお客さま対応です。「休日は電話やメールをしないでください」とは言えないですよね。営業成績を気にするあまり、24時間フル対応となりかねません。お客さまも上司も変わりなく、対応を求められる者の心理としては、ルールを踏み倒した緊急対応についての葛藤があります。業種にもよりますが、緊急時に電話やメールなどの応対をしないことでトラブルが大きくなり、後々自分が困ることも少なくないです。
無償で対応すれば個人的な評価が得られる、拒絶すれば無償対応が公然なものとなりブラックな会社環境に荷担してしまうというもの。個人を優先するか、環境を優先するかという心理戦ですね。
理想的なのは、このどちらかを選択するという問題ではなく、休日応対についてのルールを、社内外に明示すること、会社側が「弊社社員は休みの日は連絡がとれない、あるいは対応できない」ことをクライアントに明確に伝えておくことです。
また、会社支給の仕事用の携帯/スマホによって、応対を計量可能にするなど、休日対応を時間外労働と認め時間外賃金を支払うような仕組みがあれば、安心して応対ができるのではないでしょうか。
休日対応でストレスを貯めないために
個人としても会社としても、「休日は連絡を受けつけない」というルールは徹底しにくいものです。あいまいにしておくと、少しくらい不満があっても会社の人間関係を壊すことなくできる限りうまくやっていきたいという意識や、そうした同調圧力を醸成しかねません。結果、ストレスは一個人だけでなく、休日を過ごす家族にもストレスが蓄積していきます。ストレスは社会を蝕みます。会社の労働時間外の応対は少なからず、会社だけでなく社会にも多大な損害を与えかねない事案であることを理解しましょう。
<参考サイト>
・労働基準法 - 厚生労働省
https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/var/rev0/0115/6296/2014613171824.pdf
・労働基準法 - 厚生労働省
https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/var/rev0/0115/6296/2014613171824.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
ヒラリー・クリントン氏の全盛期は、当時夫のクリントン氏が大統領だった2000年代だったという島田氏。当時、ダボス会議での彼女の発言が全米の喝采を浴びたそうだが、およそ10年後、大統領選挙でトランプ氏と対峙した際、彼女...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/24
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16


