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ランチ1食分も上がらない?中間層の給与事情
「中央最低賃金審議会」という機関を知っているだろうか。最低賃金にまつわる事柄を調査・審議し、最低賃金額の「目安」を発表する厚労省の組織だ。
さて、今回の中央最低賃金審議会では、全国平均で18円引き上げることを目安とすることが決まった。これは引上げ率としては民主党政権時代のものを上回る。物価高や人手不足の影響も考えられるが、賃上げに対する安倍首相の強い意向が働いていることは間違いないだろう。
「最低賃金が20円上がると、労働者全体の所得が900億円上がる」
この数字を根拠に、最低賃金を上げるという意向を安倍首相は打ち出した。今回の18円アップという数字もそれを色濃く反映したものになっていると思われる。
いくら経済が成長したところで、実際の収入が上がらなければ、国民にとっていいことは何もない。何もないどころか、物価ばかり上がり、円安も進むので、生活は苦しくなる一方になってしまう。賃上げ=国民の所得拡大は安倍政権の必須課題なのだ。
900億円上がるというのは、単純化して言うと、次のようになる。
「最低賃金が20円上がれば、みんなの給料が合わせて900億円上がる」
なんだか、景気の良さそうな話だが、知りたいのは全体というよりも、実際にひとりひとりでどのくらい上がるかというものだ。日本の労働力人口は約6~7,000万人である。900億円を6,000万人として計算すると、一人当たり1,500円。ランチ1食か2食分というところだろう。
しかし、大都市圏では一人暮らしも、ルームシェアリングも厳しいし、さらに養わなくてはいけない家族などいれば、とても無理な話だ。医療費などがかからない分、生活保護をもらった方がいいということになってしまうだろう。
特に上位5位以上の経営者たちは「ふた桁億」を超える。また、公開義務のない非上場会社まで含めると、報酬の多い経営者はさらに増えるだろう。
また、経営者が成果を出すためには優秀な従業員の確保も重要で、そうなると従業員の報酬も上がらなくてはいけない。
米国の大企業では既に初任給が40万円近くに達していると言われているが、日本ではいまだに20万円前後だ。
優秀な人材が集まらないと、経営者は画期的な新商品を開発したり、より高い価格で売れるようなサービスを編み出したりという「価値創造」で業績を上げるのではなく、コストカットで勝負するしかなくなる。
そうなると、給料はより上がりつらくなり悪循環になってしまうだろう。最低賃金で働くことは最初から無理な相談だ。そうなると、最低でもなく、最高でもない、中間層の給料が上がるかどうかがポイントなわけだが、実際のところ、明るい見通しは立っていないのが現状だと言える。
最低賃金は大幅にアップ
この目安を参考に、各自治体で最低賃金が決定される。最低賃金は時給であらわされるが、時給労働者ではないサラリーマンなどの給与所得者にも、もちろん適用される。給与を働いた時間で割って、最低賃金を下回っていれば「違法」ということだ。さて、今回の中央最低賃金審議会では、全国平均で18円引き上げることを目安とすることが決まった。これは引上げ率としては民主党政権時代のものを上回る。物価高や人手不足の影響も考えられるが、賃上げに対する安倍首相の強い意向が働いていることは間違いないだろう。
あなたの給料はどのくらい上がるのか?
内閣府は7月23日にこんな試算を発表した。「最低賃金が20円上がると、労働者全体の所得が900億円上がる」
この数字を根拠に、最低賃金を上げるという意向を安倍首相は打ち出した。今回の18円アップという数字もそれを色濃く反映したものになっていると思われる。
いくら経済が成長したところで、実際の収入が上がらなければ、国民にとっていいことは何もない。何もないどころか、物価ばかり上がり、円安も進むので、生活は苦しくなる一方になってしまう。賃上げ=国民の所得拡大は安倍政権の必須課題なのだ。
900億円上がるというのは、単純化して言うと、次のようになる。
「最低賃金が20円上がれば、みんなの給料が合わせて900億円上がる」
なんだか、景気の良さそうな話だが、知りたいのは全体というよりも、実際にひとりひとりでどのくらい上がるかというものだ。日本の労働力人口は約6~7,000万人である。900億円を6,000万人として計算すると、一人当たり1,500円。ランチ1食か2食分というところだろう。
そもそも最低賃金で生活はできる?
さて18円上がったら最低時給は798円になる。フルタイムで働くと月収約13万円になる計算だ。13万円で生活となると、なかなか厳しいものがあるだろう。物価も家賃も安い地方で、周囲の人々と助け合って暮らしていく、いわゆる「プア充」と呼ばれるような生活をするなら豊かさも味わえるだろう。しかし、大都市圏では一人暮らしも、ルームシェアリングも厳しいし、さらに養わなくてはいけない家族などいれば、とても無理な話だ。医療費などがかからない分、生活保護をもらった方がいいということになってしまうだろう。
一方、大企業の経営者層はかつてない高収入
一方、経営者層の所得は上がり続けている。今年の3月決算で報酬が1億円を上回った上場企業の役員は去年より50人多い、411人になった。特に上位5位以上の経営者たちは「ふた桁億」を超える。また、公開義務のない非上場会社まで含めると、報酬の多い経営者はさらに増えるだろう。
従業員の給料もちゃんと上がるのか
たしかに業績を上げた経営者は好待遇を受けるだけの資格があるだろう。しかし、実際は赤字企業でも役員報酬を大盤振る舞いしている例もある。また、経営者が成果を出すためには優秀な従業員の確保も重要で、そうなると従業員の報酬も上がらなくてはいけない。
米国の大企業では既に初任給が40万円近くに達していると言われているが、日本ではいまだに20万円前後だ。
優秀な人材が集まらないと、経営者は画期的な新商品を開発したり、より高い価格で売れるようなサービスを編み出したりという「価値創造」で業績を上げるのではなく、コストカットで勝負するしかなくなる。
そうなると、給料はより上がりつらくなり悪循環になってしまうだろう。最低賃金で働くことは最初から無理な相談だ。そうなると、最低でもなく、最高でもない、中間層の給料が上がるかどうかがポイントなわけだが、実際のところ、明るい見通しは立っていないのが現状だと言える。
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