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DATE/ 2022.09.17

外国人に人気な日本の「チェーン店」4選

 日本にやってくる外国人のほとんどが声をそろえて言うのが、日本という国の食の豊かさ。日本の飲食店の数は世界一といわれ、特に東京のように世界各国の料理が毎日どこかしらで食べられるという街は非常に珍しいようです。

 とりわけ全国どこでもおいしく、かつ安定した品質のものが食べられるチェーン店の多さに驚く海外観光客は少なくなく、中には日本のチェーン店のメニューが食べたくてわざわざ来日するという人も。

 今回は、在留外国人のための採用情報メディアYORO JAPAN調査による「在留外国人に人気なレストラントップ10」を参考に、飲食チェーン店を4店紹介。なぜそのお店が外国人をとりこにするのか、その理由を探りました。

在留外国人に人気なレストラントップ10

 まずは「在留外国人に人気なレストラントップ10」のランキングを見てみましょう。

1位: サイゼリヤ(229票)
2位: すき家(152票)
3位: ミスタードーナツ(147票)
4位: スシロー(144票)
5位: ガスト(120票)
6位: モスバーガー(119票)
7位: CoCo壱番屋(109票)
8位: 吉野家(100票)
9位: COCO’S(93票)
10位:くら寿司(83票)
YORO JAPAN「在留外国人に人気なレストラントップ10」より
※アンケート実施期間:2020年6月15日~2020年8月7日
※回答者:66ヵ国456名のYOLO JAPAN会員

 もっとも人気のチェーン店は日本でも大人気のカジュアルイタリアンレストラン「サイゼリヤ」。続いて「すき家」「ミスタードーナツ」「スシロー」「ガスト」となり、食のジャンル問わず比較的安価でメニューの豊富なチェーン店が並びました。

 調査の中では「在留外国人がレストランを選ぶ際に重視すること」についても触れられており、そこでは「料金が安い」と回答した人が全体の8割(82%、376人)を占め、続いて半数以上の人が「食事が舌に合う」(79%、358人)、「立地・行きやすさ」と「メニューの豊富さ」(58%、263人)を挙げました。

 そのほかに「店内の雰囲気」「スタッフの対応」などが挙がりましたがいずれも5割に満たず、また「英語メニューがあるかどうか」について挙げた回答者は全体の2割。多くの外国人は食べたいメニューを写真で判断するため、言語対応か否かについてはあまり気にしていないようです。それよりも自分が食べたいものがあるか、コストパフォーマンスがいいかどうかのほうが重要で、メニューの豊富なファミリーレストランや選ぶ楽しみがある回転寿司店、手軽で、しかもおなかいっぱいになれるファーストフード店が好まれる傾向となっています。

外国人が好きなチェーン店その1「サイゼリヤ」

 トップ1に輝いた「サイゼリヤ」は、国籍別ではブラジル、フィリピン、アメリカ、インドネシアで第1位を獲得しており、特にフィリピン出身者の外国人から圧倒的な支持を得ているという結果になりました。

 YORO JAPANのアンケートでは、以下の声があります。

・「日本の「サイゼリヤ」のようなチェーンレストランの料理は見た目が綺麗ですし、トッピングが豊富です。どこへ行ってもサービスが良くて、本当に素晴らしいと思います」(フィリピン人、30代、女性)
・「店内の内装から楽しい雰囲気が伝わってきます」(ブラジル人、40代、女性)
・「美味しいのはもちろんのこと、人気メニューの他に季節限定メニューも充実していて嬉しいです」(イタリア人、30代、女性)
(※一部抜粋)

 このように、メニューやトッピングの豊富さに加えて家族連れなど大人数でも利用しやすい点も人気の秘密となっているようです。

 サイゼリヤは外国人を調査するTV番組『ニッポン視察団!』が紹介した「外国人が選ぶチェーン店」ランキングでも1位となっており、中でもサイゼリヤの看板メニューである「ミラノ風ドリア」は大人気だそう。昨今は価格を299円から300円にした「1円値上げ」が話題となりましたが、それでも圧倒的な低価格・高品質なメニューの数々は、日本人のみならず外国人の心もガッチリ掴んでいるのですね。

外国人が好きなチェーン店その2「ミスタードーナツ」

 2位にはドーナツチェーン店の「ミスタードーナツ」が挙げられました。ファミレスやファーストフード店など食事系の店が並ぶ中で異色ともいえるランクインですが、YORO JAPANのアンケートでは、以下の声が集まっています。

・「お店で美味しいコーヒーを飲みながらドーナツを味わうも良し、家に持って帰ってゆったり過ごすことも良しで重宝しています」(フィリピン人、30代、女性)
・「フィリピンではローカルなドーナツ屋さんが多くありますが、ミスドのような高品質なお店は少ないです」(フィリピン人、20代、男性)
・「手頃な価格でたくさん買えるから嬉しいです。アメリカには「ミスド」がないし、こんなに安くドーナツを買えるなんて考えられない。日本生活における喜びの1つです」(アメリカ人、20代、女性)
(※一部抜粋)

 このように、自国のドーナツ屋にはないフレーバーの豊富さや、1個あたり100~200円程度という手頃な値段が人気の理由で、足繁く通うファンも多くいるようです。

 最近では、ヤクルトスワローズ所属のアメリカ人選手サイ・スニード投手が「世界で一番おいしいドーナツを見つけた」と、ミスタードーナツのゴールデンチョコレートを挙げたことで話題に。コワモテのプロ野球選手をも魅了するミスドのドーナツのおいしさは、万国共通なのかもしれません。

外国人が好きなチェーン店その3「CoCo壱番屋」

 「ココイチ」の相性で親しまれているカレー専門店CoCo壱番屋も、外国人に熱い支持を得ている人気チェーン店のひとつです。YORO JAPANの調査でインドネシア出身の外国人が選んだ人気チェーン店の第3位となっています。

 ココイチについて外国人の意見をピックアップすると、以下のようにトッピングの豊富さとおいしさに驚く人が多いようです。

・「辛さを選べるし、好きなトッピングをカスタマイズできるのも楽しい!」(韓国)
・「トッピングの種類も多いし、値段が手ごろなのもいいですよね。この前、はじめてオムレツをトッピングしたのですが、卵が柔らかくて感動しました」(アメリカ)
(以上『TRIP EDITOR』より抜粋)

 外国人の中でも特に「ココイチ愛」が目立つのがアメリカ人。沖縄をはじめとする米軍基地近くのココイチの店舗の売上は他店舗に比べて非常に高く(ちなみに2021年、最も売上を上げたのは沖縄の米軍基地近くにある沖縄南インター店)、海外店舗でもトップ1の売上がアメリカ・ロサンゼルスの店舗だそうです。

 実はココイチはアメリカのほかにイギリス、中国、韓国、タイ、オーストラリアなど海外展開を積極的に行っており、2020年8月にはついにカレーの本場・インドにも進出。宗教上の理由から豚肉など一部トッピングは除かれていますが味の評判は上々で、批判的な意見はほとんど見受けられないそうです。

外国人が好きなチェーン店その4「丸亀製麺」

 YORO JAPANのランキングには挙がりませんでしたが、外国人に人気のチェーン店として急速に知名度を上げているのが丸亀製麺です。

 丸亀製麺といえば2011年に出店以来、同社最高の売上を上げ続けているハワイの「ワイキキ店」がよく知られています。店舗で製麺する、1杯数百円程度のリーズナブルな価格で提供するというコンセプトはそのままに、現地に合わせた食材を使う、現地の気温にあわせて出汁の温度をぬるめにするなど工夫がこらされており、店の前は連日大行列が絶えません。

・「安くて早いのに毎回感動するレベルで美味しい!天ぷらやおにぎりも美味しくて、実家のように安らぐ。かしわ天はマスト」(出身国不明、10代)
・「よくぶっかけうどんに「生卵」をトッピングしています。アメリカでは生の卵を食べる文化がないため味を想像しにくかったのですが、いざ食べてみると思っていたよりサラサラして卵の味をしっかり味わえてよかったです」(アメリカ、20代)
(以上『TRIP EDITOR』より抜粋)

 海外の反応を見ていると、うどんの味もさることながらトッピングの天ぷらへの評判が非常に高いのが印象的です。海外のTV番組や動画でも頻繁に、丸亀製麺の天ぷらを食べて「おいしい!」と絶賛する様子を伝えています。ちなみに「ワイキキ店」でも天ぷらの売り上げは圧倒的で、天ぷらだけ注文するお客さんも大勢いるそうです。

 いかがでしたか。長い間親しまれ続けている日本のチェーン店が外国人の間でも人気となると、やはり嬉しいものですよね。これからはどんな“日本食”が外国人を虜にするのか、要チェックです!

<参考サイト>
・YOLO JAPAN調査、在留外国人に人気なレストラントップ10!(YOLO JAPAN)
https://www.yolo-japan.co.jp/news-release/7803
・やよい軒、CoCo壱、丸亀…外国人が惚れ込む日本の「グルメ」(TRIP EDITOR)
https://tripeditor.com/423040/3
・【ヤクルト】サイスニード「世界一おいしいドーナツ」発見…「知らないかもしれないが、ミスタードーナツという穴場のドーナツ屋」(スポーツ報知)
https://hochi.news/articles/20210822-OHT1T51112.html?page=1
・営業時間を短縮しても、なぜ丸亀製麺のワイキキ店は全店1位なのか(ITmediaビジネス)
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2203/12/news028.html

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