社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.11.13

「青い車は事故率が高い」って本当?

 「青い車は事故に遭いやすい」という言葉を聞いたことがありますか?今ではあまり聞かなくなったので馴染みのない人もいるかもしれませんが、昔から聞かれる噂として知られているものになります。

青い車の事故率が高いという根拠は?

 これは今から半世紀以上も昔の1968年に海外で出版された書籍のデータで、交通事故率の高いボディカラーは青が25%、緑が20%、グレーが17%、白・クリーム色が12%…と書かれたことが根拠だとされていました。この本によると、青は見ているとリラックスしてしまうため、油断して事故を起こしやすい、というのが理由だとされています。

 しかし、1999年にニュージーランドのオークランド大学が行った研究では、白い車の事故率を1.0としたときに、茶色が2.1、黒が2.0、緑が1.8…とまったく違った結果が出ていることがわかっています。そのため、1968年のデータに関しては、現在では都市伝説としてかつて語られていた程度の認識となっています。

事故に遭いやすい車の色はあるのか?

 人間の目に色が与える影響はさまざまなものがあることは知られています。より大きく見える膨張色、前に出ているように見える進出色に分類される暖色系の色の車は、実際よりもせりだして感じるようになっています。そのため、前の車が暖色系のときには自分が思っているよりも距離が取れているため、事故は起こりにくくなっているといえるでしょう。

 一方で、小さく見える収縮色や、実際より遠くに感じる後退色に分類される寒色系の色の車は、思ったよりも近づいてしまうこともあります。そのため、前の車が濃い色だったりすると見えていたよりも近い距離に車があったため、止まりきれずにぶつかってしまうということが、暖色系よりも起こりやすいと考えることができます。

 ちなみに、オークランド大学の研究では事故率がもっとも高いのは茶・黒で、事故率がもっとも低いのはグレーだとされています。グレーは車体が光を反射しやすいため、昼でも夜でもきちんと認識しやすいことが理由だとされています。

 もし自分の車の色味が事故に遭いやすい色かもしれない、と思ったら視認性を上げる対策を行ってみてください。デイライトを併用したり、少しでも視界が悪いときにはライトをつけることで他の車からも見やすくすることができるでしょう。

どんな車も用心することが第一

 しかし、すべての環境でこうした条件が当てはまるとは言い難く、雪道を走っている時であれば白などの膨張色よりも、黒などのはっきりした収縮色の方が視認性は上がりますし、見やすい色の車だったとしても雨などで視界が悪い場合には、車の色が関係なくなってしまうこともあります。その場合も、他の車が視認できるようにライトを活用することが大切です。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会

渡部昇一氏には、若き頃に留学したドイツでの体験を記した『ドイツ留学記(上・下)』(講談社現代新書)という名著がある。1955年(昭和30年)から3年間、ドイツに留学した渡部昇一氏が、その留学で身近に接したヨーロッパ文明...
収録日:2021/08/06
追加日:2021/10/23
渡部玄一
チェロ奏者
2

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる

「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
3

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割

豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
黒田基樹
駿河台大学法学部教授 日本史学博士
4

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会

アメリカが日本の運命を左右する国であることは、安全保障を考えても、経済を考えても、否定する人は少ないだろう。だが、そのような国であるにもかかわらず、日本人は、本当に「アメリカ」のことを理解できているだろうか。日...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/06
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
5

キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係

キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係

宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界

キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教、そして日本宗教の、それぞれの特徴を「ひと言」で分析すると? 橋爪大三郎先生が一刀両断に分析。宗教の特徴を知れば、世界の各地域のあり方や文化もよくわかるようになる。「教...
収録日:2019/01/21
追加日:2019/05/18
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授