社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.01.14

「老後が快適な国」ランキング、日本は何位?

 フランスの投資銀行「Natixis(ナティクシス)」は、主要先進国44カ国を対象とした、退職後の生活に影響を与えるさまざまな要因を相対的に評価のうえランキング化した、「Global Retirement Index(世界引退指数)」を、毎年発表しています。

2022年版「老後が快適な国」ランキング・TOP25

 「世界引退指数」の評価基準となる「Index(インデックス・指数)」は、(1)医療・平均寿命などの「Health(健康)」、(2)国家財政・経済の状況などの「Finances in Retirement(退職後の資金)」、(3)環境の良さ・幸福度などの「Quality of Life(生活の質)」、(4)平均給与・所得の均等性・失業率などの「Material Wellbeing(物質的な豊かさ)」の4つの大インデックスと、その他のサブインデックスの計18のスコアを調査し、算出・分析したうえで、総合的なランク付けがなされています。

 そのため、「世界引退指数」のランキングは、「老後が快適な国」ランキングとしても見ることができます。

 2022年版となる「2022 Global Retirement Index(2022年版 世界引退指数)」のうち、TOP25となる【2022年版「老後が快適な国」ランキング・TOP25】は、以下のようになっています。

【2022年版「老後が快適な国」ランキング・TOP25】
《国名(世界引退指数):健康/退職後の資金/生活の質/物質的な豊かさ》
1位ノルウェー(81%):☆91%/▲69%/87%/79%
2位スイス(80%):☆90%/74%/86%/▲69%
3位アイスランド(79%):☆88%/▲68%/86%/77%
4位アイルランド(76%):☆89%/70%/80%/▲67%
5位オーストラリア(75%):☆88%/72%/77%/▲66%
6位ニュージーランド(75%):☆85%/71%/81%/▲64%
7位ルクセンブルク(75%):☆91%/▲59%/81%/72%
8位オランダ(75%):☆89%/▲56%/80%/78%
9位デンマーク(74%):86%/▲54%/☆88%/76%
10位チェコ(73%):76%/▲64%/68%/☆84%
11位ドイツ(72%):☆87%/▲55%/80%/71%
12位フィンランド(71%):84%/▲55%/☆89%/63%/
13位スウェーデン(71%):☆90%/▲56%/87%/59%
14位オーストリア(71%):☆86%/▲54%/82%/69%
15位カナダ(71%):☆87%/67%/74%/▲58%
16位イスラエル(70%):☆82%/66%/74%/▲60%
17位韓国(70%):☆80%/73%/▲59%/68%
18位アメリカ(69%):☆85%/67%/72%/▲56%
19位イギリス(69%):☆83%/▲55%/82%/61%
20位ベルギー(69%):☆85%/▲51%/74%/70%
21位スロベニア(69%):☆82%/▲51%/69%/77%
22位日本(69%)::☆91%/▲51%/67%/72%
23位マルタ(68%):☆78%/63%/▲61%/72%
24位フランス(66%):☆90%/▲48%/78%/▲57%
25位エストニア(66%):☆68%/☆68%/☆68%/▲60%
※☆大インデックスのうち最も高いスコア:▲大インデックスのうち最も低いスコア

「老後が快適な国」日本は真ん中の22位

 2022年版「老後が快適な国」ランキングでは、日本は44カ国中22位という、ほぼ真ん中の順位という結果でした。

 4つの大インデックスのうち最も高いスコアである「健康」は、1位のノルウェーおよび7位のルクセンブルクと同じく91%と高く、TOP3に入っています。しかし、4つの大インデックスのうち最も低いスコアである「退職後の資金」51%が他の指数と比べても低く、ネックとなっています。

 また、サブインデックスのうち、「Old-Age Dependency(高齢者依存人口)」3%、さらに「Government Indebtedness(政府債務)」1%と極めて低く、日本の順位を下げる大きな要因となっています。

 なお、日本は前年の2021年版でも22位と同順位ですが、10年前の2012年版の25位よりランクアップしています。ただし、順位ではなく世界引退指数のスコアそのものを見てみると、日本の2022年版は69%、2021年版は68%で、2012年版の71%よりわずかではあるももの低下しています。

 「老後が快適な国」ランキングからは、近未来の日本をより良くしていくために、少子化対策による人口分布の改善や国全体および国民一人ひとりの財務の健全化と安定化など、多くの課題があることが見えてきます。

<参考サイト>
・2022 Global Retirement Index│Natixis
https://www.im.natixis.com/intl/resources/2022-global-retirement-index-report-full
・2022 Global Retirement Index | Natixis Investment Managers
https://www.im.natixis.com/intl/research/2022-global-retirement-index
・「老後が快適な国」ランキングTOP25! 1位は「アイスランド」 日本は22位【2021年最新】
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/384397/
・「老後が快適な国」ランキングTOP25! 1位は「アイスランド」 日本は23位【2020年調査】
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/314933/
・老後が快適な国 韓国17位 日本は22位 - Korea.net
https://japanese.korea.net/NewsFocus/Society/view?articleId=221266
・首位はスイス、日本は22位~「定年生活快適度世界ランキング」に見る、世界の定年後生活保障問題
https://ampmedia.jp/2018/10/15/global-retirement-index/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
3

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害

内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害

高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
4

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係

熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か

お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授