テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.01.24

同乗者を酔わせる「NG運転」とは

 ドライブは楽しいものですが、車酔いが起きるといっきに憂鬱なものになってしまいます。また一般的には、ドライバーよりも同乗者が車酔いすることの方が多いです。車酔いの原因はいくつかありそうですが、運転の仕方が占めるウェイトはかなり大きいといえます。ではどういった運転が車酔いを誘発し、ドライバーは何に気をつけて運転すればいいのでしょうか。

体感と視覚のズレが乗り物酔いを誘発する

 人は常時、無意識に体のバランスを保とうとしています。このバランスを保とうとする機能は耳の奥にある三半規管にあります。三半規管にあるリンパ液が揺さぶられると、人は体が傾いていると認識してしまいます。また、この近くにある自石器(じせきき)で人は速度(重力)を感知しています。脳はこういった器官から送られてくる情報や視覚、聴覚、筋肉の動きといった情報を総合して自身の体の状態を把握しようとします。

 車に乗っているとき人間の体は力を抜いて静止しているにもかかわらず、周囲の景色が猛スピードで流れたり、カーブやブレーキで急に重力を感じたりします。これによって脳の情報は混乱し、自身の体の状態をうまく把握することができなくなります。こうして自律神経が異常な信号を発し、頭痛や吐き気が起きるというメカニズムになっているようです。

 つまり大きく言えば、体の感覚による情報と視覚情報のズレが大きな要因となっていることがわかります。この点に関してドライバーはこの先で曲がる、加速するといった動きがわかっているので、身体が準備できますが、同乗者はたえず急な動きにさらされることになります。このことから多くの場合、同乗者だけが乗り物酔いになるのです。また、特に横揺れよりも縦に揺れる方が酔いやく、また感覚が鋭敏な子供や犬などのペットは乗り物酔いしやすいとのこと。

ドライバーは「急」がつく運転を避けよう

 こう考えると、運転する上でドライバーが気を付けるポイントは、できる限り「車を揺らさない」ことです。このためには「急がつく操作を避ける」ことが大事だと言えます。このためにはドライバーがある程度の運転スキルを身につける必要があります。ポイントは主にアクセルペダルとブレーキペダルの操作です。

 まずアクセルを小刻みに踏むと速度が上下して車が揺れます。またスピードを出しすぎるとちょっとした道路の段差で体がふわっと浮く現象が起きます。これは車酔いを起こす縦揺れの原因です。つまり、アクセル操作では「速すぎない速度で一定の速度を保つこと」が大事です。この運転方法に関して、車情報サイト「ベストカー」の記事では「足首に力を入れるのではなく、靴の中の足の親指のわずかな力のかけ具合でコントロールすること」とアドバイスされています。

 また荒いブレーキは禁物です。ポイントは少し早めにブレーキペダルをゆっくりと踏み始め、止まる瞬間にはブレーキを踏む力を抜くことです。また、減速する時の加速度を一定に保つとより負担の少ないブレーキになります。あとはもちろんハンドル操作も大事です。急ハンドルは避け、ゆっくりハンドル操作を行うようにしましょう。もちろんこのためには、カーブに入るよりも手前でゆっくりとブレーキを踏み始める必要があります。

同乗者を不安にさせないことも大事

 また、車に酔うかどうかは心理状態や体調にも大きく左右されます。たとえば、以前車に酔ったことがある人や普段から乗り物に弱いと言われている人は、不安で身体が緊張しています。酔い止め薬も効果はありますが、心理的な不安が大きい場合は暗示も効果があるようです。もちろん同乗者が安心できるように楽しく会話したり、音楽を聴いたりすることも大事です。

 また、車の臭いも車酔いの原因となります。給油は事前に済ませたり、給油する際には離れていてもらったりしましょう。また車内の臭いはエアコンに問題があることも多いです。ただしこの時、芳香剤を使うと逆効果となることもあります。エアコンや車内空間はこまめに掃除しましょう。エアコンのフィルターの交換目安は1年程度です。フィルターを交換することで空気が清潔になる可能性もあります。もちろん整備会社で洗浄してもらうことも可能です。

 また、ミニバンやSUVなどの車高がやや高めの車は、セダンなどの車高の低い車に比べて酔いやすくなります。もし家族にどうしても車酔いする人がいた場合、車選びでも意識するといいかもしれません。それでも同乗者が車酔いしてしまったら、車から降りて深呼吸したり、景色を眺めたりするなどゆっくりする余裕を持ちましょう。このためにも無理なスケジュールを避けて行動しましょう。スケジュールに追われると無理な運転やスピードの出し過ぎといった状況が発生します。これは車酔いを誘発する運転の大きな原因です。

<参考サイト>
[Q] 同乗者の乗り物酔いを防ぐには?│JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-trouble/subcategory-prevention/faq244
ついやってしまいがち!! 同乗者を酔わせない運転3つのポイント|ベストカーWeb
https://bestcarweb.jp/feature/column/164208
車のエアコンが臭いのはカビのせい?ニオイを“もと”から断つ方法|おとなの自動車保険
https://www.ins-saison.co.jp/otona/oshiete/car/car-air-conditioner.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
2

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
5

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授