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DATE/ 2023.12.20

今ではレトロ!平成に流行った食べ物6選

 現在、若い人を中心にレトロブームが起こっているといいます。昔ながらの喫茶店や一世を風靡したアイドル歌手など、40代以上の人には懐かしいものが「新しい」「新鮮」なものとして映っているようです。

 昭和はもちろんですが、平成に生まれ流行ったものも「平成レトロ」として人気で、リバイバルされて再び脚光を浴びることも。中には流行したことがきっかけでそのまま定着、定番となった商品もたくさんあります。

 そこで今回は、平成に流行った食べ物を6つピックアップ。今はもう懐かしい(?)食べ物の数々をご紹介します。

ティラミス

 1990年(平成2年)に流行ったティラミスは、マスカルポーネチーズをベースにしたクリームとコーヒーリキュール(エスプレッソ)を染みこませたスポンジの層、その上にほろ苦いココアパウダーを振りかけた、ちょっと大人味のスイーツです。

 発祥は北イタリア。女性雑誌に取り上げられたことをきっかけに、先年から流行っていた「イタメシ」ブームと相まって一躍有名に。ケーキはもちろん、ティラミス味のお菓子が多数販売されるほど人気を集めました。

 現在でも多くのカフェやショップ、コンビニスイーツでもティラミスが売られており、もはや日本の定番スイーツとなっています。

ナタデココ

 ナタデココは1993年(平成5年)に流行したスイーツです。ココナッツのジュースに「ナタ菌」と呼ばれる酢酸菌を加えて発酵させ、固まったジュースの上澄みの膜を切り分けてシロップ漬けにしたもので、シャクシャクとした固めのゼリーのような独特の食感が楽しいお菓子です。

 現在はスイーツ店で食べるというよりも、スーパーやコンビニのゼリー商品売り場で見かけることが多いでしょう。製菓コーナーで缶詰やパック詰めで売られていることもあります。発酵食品であるとともに食物繊維が豊富なので、昨今はヘルシー食材としても注目されています。

ベルギーワッフル

 1997年(平成9年)に大流行したのが、格子状の形が印象的なベルギーワッフルです。小麦粉と卵をまぜて焼き上げたベルギーの伝統的なお菓子で、大阪のベルギーワッフル専門店「マネケン」がブームの火付け役だといわれています。

 そのおしゃれな見た目や香ばしさ、これまでのワッフルにはないクリスピーな食感、さらにさまざまなフレーバーや付け合わせによるバリエーションの豊富さが受け、街のいたるところに屋台や専門店が誕生するほど一大ブームとなりました。

 現在はホットメーカーでも手軽に作れるようになり、手作りのベルギーワッフルをSNSに投稿する人も多くいます。

生キャラメル

 2006年(平成18年)から約1年以上、日本人を熱狂させたお菓子が生キャラメルです。嗜好性の多様化により落ち込んだ牛乳の消費量拡大を目指して、北海道紋別郡の「ノースプレインファーム」が開発したのがブームのきっかけです。

 ノースプレインファームの生キャラメルがヒットし、新たな北海道名物として注目され始めたころ、ノースプレインファーム社長と親しかったタレントの田中義剛氏が経営する「花畑牧場」の生キャラメルがメディアで紹介されたことで知名度が一気に全国に広がり、空前の生キャラメルブームが巻き起こりました。

 これまでキャラメルといえば歯にくっつくほど噛み応えのある、子どもの駄菓子のようなイメージでした。しかし生キャラメルは普通のキャラメルよりも生クリームをたっぷり使っているためにしっとりとやわらかく、とろけるような食感。しかも保存は冷蔵のみ。そんな今までにない新鮮な味わいがうけ、ノースプレインファームや花畑牧場の商品の取扱店は品切れ状態が続き、類似品が横行して問題化するなど社会現象となりました。

食べるラー油

 2009年(平成21年)、経済が落ち込んだ日本の食卓を華麗に彩ったのが「食べるラー油」ブームです。海苔佃煮『ごはんですよ』でおなじみの桃屋が発売した『辛そうで辛くない少し辛いラー油』に端を発し、各地で品薄になるほど人気を集めました。

 前年のリーマンショックの傷跡が癒えず、節約のため自炊する人が増えたこの時期。少しでも食生活を豊かにしようと“味変”を楽しむための調味料や「ちょい足し」アイデアが巷で大流行していました。

 その中で登場した桃屋の『辛そうで辛くない少し辛いラー油』は、ほどよい辛さのラー油にフライドオニオン&フライドガーリックという、背徳感たっぷりな組み合わせが最強のご飯のおかずになるとして、主婦&主夫のほか、お金のない若者にも大ヒット。「食べるラー油」を使ったレシピが次々と生まれ、メディアで連日取り上げられました。

 現在ブームは落ち着いたものの、スーパーの棚には今も当たり前のように陳列されており、日本の調味料の一翼を担う存在となっています。

塩こうじ

 大分県の老舗こうじ専門店「糀屋本店」が、こうじの需要拡大を目指して開発。以後口コミで人気が広がり、2011年(平成23年)にメディアで取り上げられたことで爆発的ヒットを果たしたのが塩こうじです。こうじは味噌や醤油をつくるためのもの、という従来のイメージを覆し、塩代わりに使える「万能調味料」としてその名を轟かせました。

 塩代わりとはいえ、こうじは発酵食品。三大酵素といわれるアミラーゼ、プロアテーゼ、リパーゼをたっぷり含み、腸内環境を整える、免疫力を高めるといった優れた健康効果が期待できます。そうしたヘルシーさと、漬物やドレッシング、揚げ物、炒め物など、さまざまな料理に使うことができる汎用性の高さ、使い勝手のよさが、大ヒットにつながったのです。

 ブームから10年以上たった今でも、塩よりも塩こうじ派という家庭は多く、日本の定番調味料としてその地位を確立しています。

 平成の時代に旋風を巻き起こしてきた食べ物たち。大人のみなさんにとっては「懐かしい!」と感じるものもあれば「未だに食べている!」「レトロとは思えない」という人もいらっしゃるでしょう。

 皆さんはどの食べ物がお気に入りでしょうか。

<参考サイト>
・牛乳を捨てたくない酪農家たちの情熱が生み出した「生キャラメル」のお話(ノースプレインファーム公式note)
https://note.com/northplainfarm/n/n0c26d9fa9b1b
・辛そうで辛くない少し辛いラー油(桃屋)
https://www.momoya.co.jp/shop/products/detail/27
・塩こうじブームの仕掛け人 伝統の再発見が生んだ逆転劇(事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE)
https://www.projectdesign.jp/201410/pn-oita/001663.php
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