社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
下瀬美術館が「世界で最も美しい美術館」に選出
広島県大竹市にある下瀬美術館が、2024年世界的な建築賞「ベルサイユ賞(Prix Versailles)」における「世界で最も美しい美術館」として選出され、大きな話題となっています。
ベルサイユ賞とは、そして下瀬美術館とはいったいどのような場所なのでしょうか。
対象となるのは世界の空港、キャンパス、スポーツ施設、ホテル、レストランなどで、部門ごとに著名な建築家や識者たちによってリストアップされ「世界で最も美しい」一流建築を褒賞します。
2024年の今回はベルサイユ賞創設10周年を記念し、新たに「美術館・博物館」部門が設けられ、7つの美術館が選出されました。下瀬美術館は、そのうちのひとつに選ばれたのです。
七世大木平藏や四谷シモンといった日本を代表する人形作家の作品や、エミール・ガレのガラス工芸、ピサロやマティス、シャガールや東山魁夷といった近代画家の絵画など、国内外を含む貴重なコレクション約500点が所蔵されています。
特にエミール・ガレの作品は60点以上にも及び、館内にはガレの作品にちなむ草花を集めた「エミール・ガレの庭」と呼ばれる庭園があり、見どころのひとつなっています。
美術館を構成するエントランス棟、企画展示棟、管理棟の3棟の外壁にはすべて巨大なミラーガラス・スクリーンが施されています。内側はガラス張りのように透明ですが、外側は鏡のようになっているため、外壁に瀬戸内海の風景が映り込み、まるで美術館がまるごと風景の中に溶けこんでいるかのような一体感と壮大な世界観を生み出します。
中でも目を惹くのが、瀬戸内海の島々をイメージしたという水の上に浮かぶ8つのキューブ型の展示棟群です。ブルーやグリーン、オレンジとカラフルでポップな外観が印象的で、しかもこれらすべてが水の浮力で動く「可動式」。必要な時に配置を入れ替えることができるという、世界初の展示室となっています。
設計者は2014年に「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を受賞し、世界的建築家として活躍中の坂茂(ばん・しげる)氏。当美術館は「アートの中でアートを観る。」というコンセプトのもと建造されました。
前衛的でありながらも瀬戸内の美しい風景と見事に調和した設計は「コンセプトの壮大な野心にもかかわらず、訪問者は心地よい規模の天蓋で迎えられる(国際ベルサイユ賞機構)」などと称賛され、下瀬美術館は坂氏の代表作かつ日本が世界に誇る建築物となったのです。
「世界で最も美しい美術館」として脚光を浴びた下瀬美術館。広島の新たな観光スポットとして、今後ますます注目されそうですね。
ベルサイユ賞とは、そして下瀬美術館とはいったいどのような場所なのでしょうか。
ユネスコが創設した建築賞「ベルサイユ賞」
ベルサイユ賞は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部が“Architecture and intelligent sustainability(建築と知的持続可能性)”の観点から2015年に創設された、世界最高峰の建築賞です。対象となるのは世界の空港、キャンパス、スポーツ施設、ホテル、レストランなどで、部門ごとに著名な建築家や識者たちによってリストアップされ「世界で最も美しい」一流建築を褒賞します。
2024年の今回はベルサイユ賞創設10周年を記念し、新たに「美術館・博物館」部門が設けられ、7つの美術館が選出されました。下瀬美術館は、そのうちのひとつに選ばれたのです。
下瀬美術館とは
2014年「世界で最も美しい美術館」としてリスト入りされた下瀬美術館は、2023年3月に広島県大竹市にてオープンした美術館です。広島の大手建築部品メーカー・丸井産業株式会社の創業60周年を記念し、代表取締役の下瀬ゆみ子氏が、両親である先代の下瀬福衛氏と静子氏が収集したコレクションを保存・展示し、日本の文化発展に寄与することを目的に創設されました。七世大木平藏や四谷シモンといった日本を代表する人形作家の作品や、エミール・ガレのガラス工芸、ピサロやマティス、シャガールや東山魁夷といった近代画家の絵画など、国内外を含む貴重なコレクション約500点が所蔵されています。
特にエミール・ガレの作品は60点以上にも及び、館内にはガレの作品にちなむ草花を集めた「エミール・ガレの庭」と呼ばれる庭園があり、見どころのひとつなっています。
世界に称賛された下瀬美術館の建築美
下瀬美術館はその貴重な所蔵品はもちろん、最も特筆すべきなのが今回のベルサイユ賞でも讃えられた美術館の設計と外観です。美術館を構成するエントランス棟、企画展示棟、管理棟の3棟の外壁にはすべて巨大なミラーガラス・スクリーンが施されています。内側はガラス張りのように透明ですが、外側は鏡のようになっているため、外壁に瀬戸内海の風景が映り込み、まるで美術館がまるごと風景の中に溶けこんでいるかのような一体感と壮大な世界観を生み出します。
中でも目を惹くのが、瀬戸内海の島々をイメージしたという水の上に浮かぶ8つのキューブ型の展示棟群です。ブルーやグリーン、オレンジとカラフルでポップな外観が印象的で、しかもこれらすべてが水の浮力で動く「可動式」。必要な時に配置を入れ替えることができるという、世界初の展示室となっています。
設計者は2014年に「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を受賞し、世界的建築家として活躍中の坂茂(ばん・しげる)氏。当美術館は「アートの中でアートを観る。」というコンセプトのもと建造されました。
前衛的でありながらも瀬戸内の美しい風景と見事に調和した設計は「コンセプトの壮大な野心にもかかわらず、訪問者は心地よい規模の天蓋で迎えられる(国際ベルサイユ賞機構)」などと称賛され、下瀬美術館は坂氏の代表作かつ日本が世界に誇る建築物となったのです。
「世界で最も美しい美術館」として脚光を浴びた下瀬美術館。広島の新たな観光スポットとして、今後ますます注目されそうですね。
<参考サイト>
・ベルサイユ賞公式HP
https://www.prix-versailles.com
・下瀬美術館
https://simose-museum.jp
・丸井産業株式会社
https://www.marui-sangyo.jp
https://www.marui-sangyo.jp/museum/
・2024年「世界で最も美しい美術館」に広島・下瀬美術館が選出。ユネスコで創設された建築賞「ベルサイユ賞」7施設のリストが発表(Art Beat News)
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/prix-versailles-shimose-museum-202406
・ベルサイユ賞公式HP
https://www.prix-versailles.com
・下瀬美術館
https://simose-museum.jp
・丸井産業株式会社
https://www.marui-sangyo.jp
https://www.marui-sangyo.jp/museum/
・2024年「世界で最も美しい美術館」に広島・下瀬美術館が選出。ユネスコで創設された建築賞「ベルサイユ賞」7施設のリストが発表(Art Beat News)
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/prix-versailles-shimose-museum-202406
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
選挙期間こそ党首討論すべし…政策論争の不足という大問題
「議会と民主主義」課題と処方箋(8)日本の政治を前進させるための提言
日本の選挙制度は諸外国と比べて環境整備がなされているという。政党助成金や選挙公営制度で候補者の経済的負担は軽減されており、ある意味では政治参加しやすい環境にあるからだ。しかし、政策論争の不足などから有権者に十分...
収録日:2024/06/07
追加日:2024/12/08
なぜモーツァルトはフリーメーソンに入ったか…その真実は
独立と在野を支える中間団体(4)社団国家とフリーメーソン
日本の中世では、地方勢力が強く中央集権が不十分だったため、中間集団は見られなかった。一方、中世ヨーロッパでは中間集団はなくてはならないものとなる。「社団国家」と呼ばれるものだ。もう一つ、国家の保護を受けにくい国...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/08
『聾瞽指帰』…儒教・道教を経て仏教に帰依する思想ドラマ
空海と詩(6)『聾瞽指帰』と『三教指帰』
空海の重要な著作は24歳のときに著した『聾瞽指帰』であり、その序文やタイトル等を変更したものが『三教指帰』である。道を失った若者が三教(儒教、道教、仏教)と出会い、儒教・道教を経て仏教に目覚めていく戯曲風の著作に...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/12/07
なぜ山本五十六は真珠湾への「奇襲攻撃」を選択したのか?
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(2)真珠湾攻撃・山本五十六
当時の日本海軍にとって画期的な作戦だった昭和16(1941)年12月8日の真珠湾奇襲攻撃は、連合艦隊司令長官・山本五十六の卓抜な決断によって可能となったものだった。海上自衛隊幹部学校長・山下万喜氏が、現代の意思...
収録日:2015/07/29
追加日:2015/09/24
超深刻化する労働力不足、解消する方策はあるのか
教養としての「人口減少問題と社会保障」(6)労働力の絶対的不足という問題
人口減少によって深刻となる問題の2つ目が「労働力不足」である。今盛んにいわれている女性活用、高齢者活用、外国人労働者受け入れは、労働力の絶対的不足を解消する有効な方法となり得るのか。これからの労働力不足の問題と方...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/12/03