社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
高原レタスで年収2,000万円!?農業・漁業の知られざる年収
農業マンガの人気に続き、スマホでの農場・牧場ゲームがヒットするなど、第一次産業に光が当たっています。今回は、農業や漁業、牧畜など、第一次産業で働く人の年収を調べてみました。
町の暮らしにたとえると、自分の店で商いをしているのが一般的な農家。漁業や牧畜では船や牧場などの設備を持つ人が町工場の経営者で実際に現場にも立ち、乗組員や作業員に給料を支払う仕組みです。
林業にいたっては、山単位で設備を持っているわけですから、さらにその差は大きくなります。
農林業にせよ漁業にせよ、自然が頼みですから、天候が何よりのリスク要因です。
年によっては「高原レタスで年収2,000万」などの声も聞きますが、市場との需給バランスが命なので、豊作すぎてもまた大量放棄せざるを得ないなどの現実があります。
農業はサラリーマン感覚では計り知れないハイリスクハイリターンの世界なのです。
なかでも稲作は54万円という低調ぶりです。コメ専業農家は減っていますから、畑作=227万円、露地野菜=189万円、施設野菜=438万円などで補うケースがほとんどでしょう。
「施設」とはビニールハウスなどで、設備費はもちろん自己負担。農業所得率の平均が23.7%という数字から、農業離れの深刻さがうかがえます。
酪農の平均所得は750万円。子牛を生産・販売する繁殖牛=215万円、大きく育てて出荷する肥育牛=1,118万円のほか、養鶏でも採卵は463万円、ブロイラー養鶏=662万円と分かれ、養豚は791万円です。
北海道とそれ以外の都府県で所得には10倍もの開きがあり、酪農王国ぶりが実証されています。
養殖はモノによって大きく異なり、マダイが-549万円と赤字だったのにくらべ、ブリ390万円、ホタテガイ556万円、カキ類1,227万円。
さらにワカメ類90万円、ノリ類563万円、真珠661万円と、取り合うかう種類によってかなりバラつきがあるようです。
漁船漁業の場合も漁法がさまざまに異なるので一口には言えませんが、銚子近海でイワシやアジなどを採る中型船は2隻1組で網を張り、一度の漁に出る乗組員は数10人。
水揚げは、船主に株代(かぶしろ)、乗組員には人代(ひとしろ)と呼ばれる報酬で分配されます。その割合は船ごとに取り決められ、必要経費を差し引いた水揚げ額の約3割が株代、残りを人代として、一人前の乗組員には均一に分配。経験の浅い新人は7割ぐらいで、船長や機関士には手厚くという方式が取られています。
TPPへの不安も高まるなか、若者に働いてもらいやすくするため、政策が動きはじめています。「第一次産業ネット」というインターネットを通じた求人活動です。リスクを背負って農業や漁業を継承するという考え方ではなく、あくまで若い労働力の提供。業種や勤務地、職種による違いが一目でわかるほか、農業体験をしてもらう「ファームステイ」や新卒から経験を重ねて農場主を目指す「農業研修生」などの制度も人気のよう。食料生産だけでなく、競争馬の飼育や観光農園まで、バラエティのある一次産業を担う「農メン&農ガール」に期待が大きく高まります。
自然が頼みの第一次産業は、ハイリスクハイリターン
第一次産業と一口に言っても、農業と水産業や林業では働き方が大きく異なります。町の暮らしにたとえると、自分の店で商いをしているのが一般的な農家。漁業や牧畜では船や牧場などの設備を持つ人が町工場の経営者で実際に現場にも立ち、乗組員や作業員に給料を支払う仕組みです。
林業にいたっては、山単位で設備を持っているわけですから、さらにその差は大きくなります。
農林業にせよ漁業にせよ、自然が頼みですから、天候が何よりのリスク要因です。
年によっては「高原レタスで年収2,000万」などの声も聞きますが、市場との需給バランスが命なので、豊作すぎてもまた大量放棄せざるを得ないなどの現実があります。
農業はサラリーマン感覚では計り知れないハイリスクハイリターンの世界なのです。
コメ農家54万円、肉用牛肥育経営1,118万円の実態
農林水産省が発表している統計では、個人経営の場合の農業所得は一人当たり56.7万円。なかでも稲作は54万円という低調ぶりです。コメ専業農家は減っていますから、畑作=227万円、露地野菜=189万円、施設野菜=438万円などで補うケースがほとんどでしょう。
「施設」とはビニールハウスなどで、設備費はもちろん自己負担。農業所得率の平均が23.7%という数字から、農業離れの深刻さがうかがえます。
酪農の平均所得は750万円。子牛を生産・販売する繁殖牛=215万円、大きく育てて出荷する肥育牛=1,118万円のほか、養鶏でも採卵は463万円、ブロイラー養鶏=662万円と分かれ、養豚は791万円です。
北海道とそれ以外の都府県で所得には10倍もの開きがあり、酪農王国ぶりが実証されています。
漁師の世界は平等分配が基本
漁業は、大きく漁船漁業と養殖業に分かれます。やはり農水省の統計では、漁船漁業の平均所得が225万円。養殖はモノによって大きく異なり、マダイが-549万円と赤字だったのにくらべ、ブリ390万円、ホタテガイ556万円、カキ類1,227万円。
さらにワカメ類90万円、ノリ類563万円、真珠661万円と、取り合うかう種類によってかなりバラつきがあるようです。
漁船漁業の場合も漁法がさまざまに異なるので一口には言えませんが、銚子近海でイワシやアジなどを採る中型船は2隻1組で網を張り、一度の漁に出る乗組員は数10人。
水揚げは、船主に株代(かぶしろ)、乗組員には人代(ひとしろ)と呼ばれる報酬で分配されます。その割合は船ごとに取り決められ、必要経費を差し引いた水揚げ額の約3割が株代、残りを人代として、一人前の乗組員には均一に分配。経験の浅い新人は7割ぐらいで、船長や機関士には手厚くという方式が取られています。
「農メン&農ガール」を目指せるネット求人サービスも
日本の食料自給率は、平成26年度カロリーベース39%まで落ちており、世論調査でも82%が「不安がある」と答えています。自給率を上げるには農業や水産業などの第一次産業人口を増やすことが必至ですが、その実態は、農学博士で東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生も「食を外国に委ねるのは独立国家ではない」と嘆いているように、高齢者に頼っているのが現実です。TPPへの不安も高まるなか、若者に働いてもらいやすくするため、政策が動きはじめています。「第一次産業ネット」というインターネットを通じた求人活動です。リスクを背負って農業や漁業を継承するという考え方ではなく、あくまで若い労働力の提供。業種や勤務地、職種による違いが一目でわかるほか、農業体験をしてもらう「ファームステイ」や新卒から経験を重ねて農場主を目指す「農業研修生」などの制度も人気のよう。食料生産だけでなく、競争馬の飼育や観光農園まで、バラエティのある一次産業を担う「農メン&農ガール」に期待が大きく高まります。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」
文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは
日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道
機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28