社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
進路決定は28歳でも遅くない!
人生は「イエスか、ノーか」「右か左か」と、細かい決断(優柔不断?)の連続だ。早い話が、昼食に何を食べるか一つもなかなかおいそれとは決まらない。であるのに、そんな自分の活動基盤をつくる進学や就職など、大きな選択を迫られる場面はあまりにも早くやってくる。
「日本ではだいたい18歳で自分の進路を決めます。でも、私が自分の本当の進路を決めたのは、ⅱ8歳のときでした」と語るのは、「くまモン」で全国を魅了する熊本県知事・蒲島郁夫氏だ。9人兄弟の7番目に生まれ、小学校2年生から高校3年生まで1日も休まず新聞配達をして家計を助けた蒲島氏は、学校の勉強には縁遠く、夢だけは大きな少年として育つ。
高校卒業後、地元の農協を経て20歳で農業研修生として渡米。これが転機となって学問の道へ。勉強した経験がないので最初は苦労したものの、言葉もわからず年中無休でこき使われるネブラスカの農場労働と比べると、よっぽど楽であったらしい。しかし、この頃の夢は「牧場主になりたい」。専攻は繁殖生理学だった。
大学卒業を目前に、蒲島氏は指導教授から研究室に残らないかと誘いを受ける。「本当に学びたいのは何だろう」と考えたときに浮かんだのは農業ではなく、小さい頃に夢見た「政治家」の世界だった。学問を極めるのなら、世界一の場所で政治学を学びたい。ハーバード大学の政治経済学大学院へ願書を出すには、このような曲折があった。
「それでも、人生は長いので間に合います。夢があることが大事なのだ、と私は思います」と蒲島氏は確信している。とはいうものの、当時28歳の氏には学生結婚した妻と二人の幼子の存在があった。ハーバードの奨学金が研究生活を支えるとはいえ、給付期間は4年間。通常6年かかる博士課程を3年9カ月で修了したのは、優秀だったからではなく「子どもを飢えさせられない」というプレッシャーにだったと蒲島氏。おかげで「ある時期、自分自身に莫大なプレッシャーを与えることによって、物事は達成できる」と、新たな確信も生まれた。
28歳をとうに越えてしまった読者は、複雑な思いかもしれないが、蒲島氏の大きな転身はその後60代でもやって来る。東大法学部教授から熊本県知事選への出馬だ。ただし、こちらはそれまでの学問的蓄積を実践として世に問う進路変更。決して「果報は寝て待て」のゼロ・スタートではないので、お間違えなきよう。
「日本ではだいたい18歳で自分の進路を決めます。でも、私が自分の本当の進路を決めたのは、ⅱ8歳のときでした」と語るのは、「くまモン」で全国を魅了する熊本県知事・蒲島郁夫氏だ。9人兄弟の7番目に生まれ、小学校2年生から高校3年生まで1日も休まず新聞配達をして家計を助けた蒲島氏は、学校の勉強には縁遠く、夢だけは大きな少年として育つ。
高校卒業後、地元の農協を経て20歳で農業研修生として渡米。これが転機となって学問の道へ。勉強した経験がないので最初は苦労したものの、言葉もわからず年中無休でこき使われるネブラスカの農場労働と比べると、よっぽど楽であったらしい。しかし、この頃の夢は「牧場主になりたい」。専攻は繁殖生理学だった。
大学卒業を目前に、蒲島氏は指導教授から研究室に残らないかと誘いを受ける。「本当に学びたいのは何だろう」と考えたときに浮かんだのは農業ではなく、小さい頃に夢見た「政治家」の世界だった。学問を極めるのなら、世界一の場所で政治学を学びたい。ハーバード大学の政治経済学大学院へ願書を出すには、このような曲折があった。
「それでも、人生は長いので間に合います。夢があることが大事なのだ、と私は思います」と蒲島氏は確信している。とはいうものの、当時28歳の氏には学生結婚した妻と二人の幼子の存在があった。ハーバードの奨学金が研究生活を支えるとはいえ、給付期間は4年間。通常6年かかる博士課程を3年9カ月で修了したのは、優秀だったからではなく「子どもを飢えさせられない」というプレッシャーにだったと蒲島氏。おかげで「ある時期、自分自身に莫大なプレッシャーを与えることによって、物事は達成できる」と、新たな確信も生まれた。
28歳をとうに越えてしまった読者は、複雑な思いかもしれないが、蒲島氏の大きな転身はその後60代でもやって来る。東大法学部教授から熊本県知事選への出馬だ。ただし、こちらはそれまでの学問的蓄積を実践として世に問う進路変更。決して「果報は寝て待て」のゼロ・スタートではないので、お間違えなきよう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19