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DATE/ 2016.08.16

強盗発生率は日本の510倍!リオは本当に危ないのか?

 8月5日に開幕し、21日まで行われるリオデジャネイロ五輪。その後、9月7日からパラ五輪が開幕します。リオに関しては、ジカ熱や犯罪率の高さ、テロリストの逮捕などネガティブなニュースばかり続いていますが、本当のところはどうなのでしょうか?

 現地を訪れているスタッフが、実際に見たこと、聞いたことをレポートします。

強盗発生率日本の510倍!その数字の裏

 まずはデータで見てみましょう。在リオデジャネイロ日本国総領事館によると、「人口10万人当たりの強盗発生率は1228.9件で、この数字は日本と比べて約510倍であり、1年間に市民のほぼ100人に一人が強盗の被害に遭っている計算になります」。日本の510倍と聞くと頭がクラクラしてきそうですが、ここで気をつけなければいけないのは、リオのどこにいても日本の510倍危険というわけではなく、特定の場所に要注意ということです。

 気をつけなければならないのはファヴェーラ、いわゆるスラム街です。リオには1000以上のファヴェーラがあり、「重火器で武装した麻薬密売組織間の抗争や、当局の治安対策活動に起因した銃撃戦がしばしば発生しており、流れ弾によって多くの市民が死傷」(在リオ日本総領事館)するような場所。こうしたエリアが極端に犯罪発生率を上げているという側面はあります。

 ならば他の地域なら安全なのか?

 必ずしもそうは言えません。在リオ総領事館のメルマガに登録すると、事件の発生や治安に関する情報を日々送ってくれるのですが、中でも目を引くのは邦人の被害。毎日とはいわないまでも、数日に1回は置き引きや強盗などに遭っているのは事実です。

マラカナンスタジアム周辺にはご注意を

 また、五輪の競技場周辺は基本的に人通りが多いので、強盗に遭遇する危険性はあまり感じません。ただ、開会式会場にもなったマラカナンスタジアムの近くにはファヴェーラがあるため、駅と会場を行き来するだけにとどめたほうが無難でしょう。間違えてふらふらとファヴェーラに入り込んでしまうと、それこそ510倍の危険では済まなくなってきます。

 ファヴェーラも以前に比べれば浄化が進み、観光として巡るツアーもありますが、それはあくまでどこが危険でどこが安全かわかっているツアーガイドがいて成立するもの。日本人だけで立ち入るのは危険なのでやめておきましょう。

 また、ジカ熱に関する心配も皆無とは言い切れませんが、少なくとも蚊を目にすることはあまりありません。現地在住の通訳によると「冬だから蚊なんてほとんどいない」とのこと。日本ではリオの危険性がことさら強調されて報道されていますが、気をつけるべき点さえ抑えておけば、五輪を満喫できる街であることは間違いありません。
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授