テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.11.16

新人に増加する「ひな壇社員」その特徴と実態とは

 「ゆとり」や「お局」など、立場やキャラクターによって会社内で別名を持つ人がいます。自分は際立った特徴もないし目立たないタイプだから、と陰の呼称はないだろう、と安心しているあなたは要注意。そんな人が最近では、「ひな壇社員」と呼ばれているそうなのです。

自ら進んで脇役になる、ひな壇社員の特徴とは?

 ここ最近の新入社員の特徴をあらわす言葉として、話題になっているのが「ひな壇社員」。テレビのお笑いやバラエティで、司会者やメインの大物芸人の後方に、並べて置かれた芸人さんたちを「ひな壇芸人」と呼びますが、由来はどうやらその様子から。元々は「ワイガヤ芸人」とも呼ばれ、番組を盛り上げるためには必要な人材。ひな壇芸人は一並びに見えても、「ここぞ」というアピールチャンスが来た時には能力を存分に発揮しようと、虎視眈々と狙っています。

 ところが「ひな壇社員」は、上司にナイスなパスを出すでも受けるでもなく、とにかく席でも会議でも、頭数だけ増やして目立たないようにしているそう。決して主役の座を奪おうとすることはなく、脇役に徹する存在。あなたの周りにもひとりやふたり、こんな「ひな壇社員」がいるのではないでしょうか。

広告業界にも!?ひな壇社員の実態に迫る

 さらに「ひな壇社員」の実態を探るべく、今年入社した社員のOJT(新人教育担当)をしているという、大手広告代理店のTさんにお話を伺ってみました。

―― 担当されている新入社員たちは、「ひな壇社員」だということですが。

Tさん:まさに。存在感が薄く、主張や個性を出さない。せっかく自分が担当していますから良い部分を引き出したいけれど、遠慮ばかりするんです。

―― 目標や夢など、仕事に対して熱い想いがないのでしょうか?

Tさん:あるかもしれませんが、それを表に出すことで面倒くさいことに巻き込まれたくない事なかれ主義。黙って言われたことを淡々とこなすタイプが多いです。

―― 社歴が浅いため、本性を出していないだけということは?

Tさん:それでもできることは沢山あるかと。飲み会や会議で先輩や上司を立てるとか、率先してサポートに回るとか。ただそこにいるだけでは、このままバイ・プレイヤーとしても機能しないお荷物社員になってしまうと心配です。

―― 広告代理店というと、自己主張の強いタイプが多いと思っていましたが。

Tさん:そうであってほしいし、今まではそういうタイプが多かったですが、最近は減りました。空気を読めない、出る杭は打たれる、そういうことを聞いて育った世代だから、とにかく悪目立ちしないことを大事にしている印象です。

 Tさんのお話を聞いていると、この「ひな壇社員」、総じて、いてもいなくてもいい存在なのかもしれないと思えてきました。

「職場ピエロ」で、ひな壇社員を脱出しよう

 「ひな壇社員」は、ある意味「その他大勢」。そのほかにも「低温社員」「ザラリーマン」「ヒラリーマン」など、類似した呼称があるそう。いずれも、突出したものがなく、出世にも興味がなく、お給料をもらって安穏に暮らしていければというのが本音なのかも。そんな生き方も否定はされませんが、このご時世そのままではリストラの筆頭候補になる可能性も。

 そんな自覚のある「ひな壇社員」が次に目指したいのは、もうひとつ最近話題になっている社員「職場ピエロ」では?とTさんは言います。「職場ピエロ」とは、矢面に立って自己主張するのではなく、あくまで社内の雰囲気を整える人。たとえば、誰もが聞きにくいことを「バカなふりして聞いてきます」と質問に行ったり、角が立ちそうなことも一歩ひいて丸くおさめることができる社員のことだそう。

 「仕事で能力をアピールできないなら、生き残るにはコミュニケーション力を磨くしかない。どれだけ上司や同僚に好かれることができるか。みんなを引っ張るタイプでないなら、”職場ピエロ”として時にはおどけてみせたり、円滑なコミュニケーションの方法を身につけてほしい。雰囲気を壊さないのではなく、少しでも良くする。いてもいなくてもいいプラマイゼロではなく、わずかでもプラスができる社員を目指してほしいですね」

 そう語ってくれたTさんも、「職場ピエロ」タイプ。もし新入社員の皆さんがもし「ひな壇社員」になりそうなら、Tさんのようにコミュニケーション力を身に付けることも意識してほしいですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
2

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授
3

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割

江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
堀口茉純
歴史作家
5

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授