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なぜJASRACは叩かれるのか?
今年(2017年)2月、日本音楽著作権協会、通称JASRAC(ジャスラック)が、民間で運営されている音楽教室から、レッスンで使用されている楽曲に対して、著作権使用料を徴収するという方針を発表しました。JASRACは2003年から音楽教室側と、楽曲使用料の支払いについて話し合いを行ってきたと話しており、今回その徴収に踏み切った形になります。
徴収されたくないのなら、著作権の切れているクラシックを使えばいいのではと思うかもしれません。しかし、JASRACが今回提示しているのは「営業利益から使用料として2.5%を徴収する」というものです。開始されればJASRACにとっては年間10~20億の利益になるともいわれます。
しかし教室側は反撥し、楽曲を制作しているアーティストからも疑問の声があがっています。
今回の決定を受け、ネットでは多くのユーザーがJASRACを非難し、一種の炎上状態となってしまいました。そもそもJASRACとは何をしている会社なのでしょうか?そして、なぜここまで嫌われているのでしょう?今回は、JASRACと著作権について解説します。
著作権とは、音楽や小説、絵画、写真、建築など、さまざまな表現分野において、自らの思想や感情を形にしたものに発生する権利です。自分の手で作りあげたものに自然に発生するもので、誰かの許可や認可が必要な類いのものではありません。小学生が図工の授業で作った作品にも、著作権はあるのです。
この著作権を守っているものが「著作権法」で、作品と著作者の権利を保障しています。盗用や、著作権者の意図に反した使い方をされないように、さまざまなルールが決められているのです。必要があれば利用者は権利者に使用料を支払う必要がありますし、作家たちは対価を受け取ることで、また新しい作品を生み出し、文化がより豊かに発展するような仕組みを生んでいるのです。
JASRACもそうした著作権を管理している団体の1つで、音楽の著作権を中心に取り扱っています。日本にはほかにも音楽に関する管理団体がありますが、95%近い作品をJASRACが管理しています。アーティストからすれば、自分のコントロールできない部分をカバーしてくれているわけですし、使用するわたしたちにとっても、日本のほとんどの曲が1箇所で管理されていることは、メリットも大きいはずです。
そのひとつの理由として、JASRACは今回の「音楽教室からの使用料徴収」の一件からも見て取れますが、企業だけでなく対ユーザーからの徴収も辞さない企業姿勢を示していることが挙げられます。著作権制度としては正しい方針ではあるのですが、その熱心な営業姿勢から「著作権の権化」として、感情論的にあまりよく思われていないのが実状です。
感情論以外でもJASRACが問題視される理由は挙げられます。代表的なところでは、2009年から争われていた「独占禁止法違反」の問題です。日本の95%の楽曲の権利を所有しているという圧倒的な地盤を元に、JASRACは曲が流れた回数や時間を問わず、各局の「放送事業収入の1.5%」など、一定額を使用料として徴収する「包括契約」を結んできました。このシステムが他社の参入を妨げていると裁判になり、2016年、JASRACが公正取引委員会から「排除措置命令」を受け入れる形となっています。
他にも、例えばJASRACと契約する際、アーティストは「信託」といって、著作権をいったんJASRACに譲渡する形になります。つまりJASRACが著作権者となるわけです。そうすると、音楽の生みの親であるアーティストでさえ、楽曲を自由に使用することはできなくなり、自身のコンサートであってもJASRACに使用料を支払うことになるのです。
今回の一件が話題となり、数日後には人気アーティストの宇多田ヒカルさんが自身のTwitterで「著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しい」とつぶやき、大きな波紋を呼びました。宇多田さんのつぶやきはアーティストとしてのひとつの意思表示ですが、仮に「自分の曲を無償で提供します」と宣言しても、こうした著作権管理団体と契約している場合、契約上、個人の意志とは別に使用料は発生し続けるのです。
一方、学校などの教育現場において著作権料は発生していません。学校は次世代を担う子どもたちの学びの場であり、文化を発展させるための土壌だからです。今回の音楽教室からの徴収問題のひとつに、学校外であるにしても「教育の場」からの徴収は正しいことなのかということが挙げられます。
多くのアーティストたちは、子どもたちの成長と教育に、自分たちの曲が使われることを歓迎しているでしょう。たとえそれが無償だとしても、そこに異議を唱える人がどれだけいるでしょうか。
徴収制度は来年(2018年)1月から開始されるとのことですが、今後も議論は続きそうです。
徴収されたくないのなら、著作権の切れているクラシックを使えばいいのではと思うかもしれません。しかし、JASRACが今回提示しているのは「営業利益から使用料として2.5%を徴収する」というものです。開始されればJASRACにとっては年間10~20億の利益になるともいわれます。
しかし教室側は反撥し、楽曲を制作しているアーティストからも疑問の声があがっています。
今回の決定を受け、ネットでは多くのユーザーがJASRACを非難し、一種の炎上状態となってしまいました。そもそもJASRACとは何をしている会社なのでしょうか?そして、なぜここまで嫌われているのでしょう?今回は、JASRACと著作権について解説します。
著作権における、いろはの「い」
今回決定された「著作権使用料の徴収」ですが、そもそも「著作権」について詳しく知らないという方も多いと思います。著作権とは、音楽や小説、絵画、写真、建築など、さまざまな表現分野において、自らの思想や感情を形にしたものに発生する権利です。自分の手で作りあげたものに自然に発生するもので、誰かの許可や認可が必要な類いのものではありません。小学生が図工の授業で作った作品にも、著作権はあるのです。
この著作権を守っているものが「著作権法」で、作品と著作者の権利を保障しています。盗用や、著作権者の意図に反した使い方をされないように、さまざまなルールが決められているのです。必要があれば利用者は権利者に使用料を支払う必要がありますし、作家たちは対価を受け取ることで、また新しい作品を生み出し、文化がより豊かに発展するような仕組みを生んでいるのです。
著作権管理団体が生まれた理由
しかし、膨大な作品を生み出している作家にとって、ひとつひとつ作品を管理することは難しく、また使用者も多様なため、コントロールができません。たとえば、自分の作った曲がカラオケで歌われたからといって、各地のカラオケボックスに出向き、店から使用料を徴収するというわけにはいきませんよね。そこで、作家に代わり著作権を管理する団体が生まれたのです。JASRACもそうした著作権を管理している団体の1つで、音楽の著作権を中心に取り扱っています。日本にはほかにも音楽に関する管理団体がありますが、95%近い作品をJASRACが管理しています。アーティストからすれば、自分のコントロールできない部分をカバーしてくれているわけですし、使用するわたしたちにとっても、日本のほとんどの曲が1箇所で管理されていることは、メリットも大きいはずです。
著作権の権化? なぜJASRACは嫌われる?
JASRACは基本的に「著作権法」の範囲内で徴収を行っています。ならばなぜ、JASRACはこれほど叩かれるのでしょう?そのひとつの理由として、JASRACは今回の「音楽教室からの使用料徴収」の一件からも見て取れますが、企業だけでなく対ユーザーからの徴収も辞さない企業姿勢を示していることが挙げられます。著作権制度としては正しい方針ではあるのですが、その熱心な営業姿勢から「著作権の権化」として、感情論的にあまりよく思われていないのが実状です。
感情論以外でもJASRACが問題視される理由は挙げられます。代表的なところでは、2009年から争われていた「独占禁止法違反」の問題です。日本の95%の楽曲の権利を所有しているという圧倒的な地盤を元に、JASRACは曲が流れた回数や時間を問わず、各局の「放送事業収入の1.5%」など、一定額を使用料として徴収する「包括契約」を結んできました。このシステムが他社の参入を妨げていると裁判になり、2016年、JASRACが公正取引委員会から「排除措置命令」を受け入れる形となっています。
他にも、例えばJASRACと契約する際、アーティストは「信託」といって、著作権をいったんJASRACに譲渡する形になります。つまりJASRACが著作権者となるわけです。そうすると、音楽の生みの親であるアーティストでさえ、楽曲を自由に使用することはできなくなり、自身のコンサートであってもJASRACに使用料を支払うことになるのです。
今回の一件が話題となり、数日後には人気アーティストの宇多田ヒカルさんが自身のTwitterで「著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しい」とつぶやき、大きな波紋を呼びました。宇多田さんのつぶやきはアーティストとしてのひとつの意思表示ですが、仮に「自分の曲を無償で提供します」と宣言しても、こうした著作権管理団体と契約している場合、契約上、個人の意志とは別に使用料は発生し続けるのです。
教育のための音楽に著作権料の支払いは必要なのか?
「著作権法」には、「文化の発展に寄与する」という大きな目的があります。つまり、制限をかけ、法律でがんじがらめにするのではなく、新たな創作の場、意欲、目的を保証するためのもので、その上で著作権を正しく管理し、アーティストに還元する、ということになるでしょうか。一方、学校などの教育現場において著作権料は発生していません。学校は次世代を担う子どもたちの学びの場であり、文化を発展させるための土壌だからです。今回の音楽教室からの徴収問題のひとつに、学校外であるにしても「教育の場」からの徴収は正しいことなのかということが挙げられます。
多くのアーティストたちは、子どもたちの成長と教育に、自分たちの曲が使われることを歓迎しているでしょう。たとえそれが無償だとしても、そこに異議を唱える人がどれだけいるでしょうか。
徴収制度は来年(2018年)1月から開始されるとのことですが、今後も議論は続きそうです。
<参考サイト>
・Twitter:宇多田ヒカル
https://twitter.com/utadahikaru/status/827795199040450560
・Twitter:宇多田ヒカル
https://twitter.com/utadahikaru/status/827795199040450560
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