徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
安政の大獄は失政!?…井伊直弼は何を見誤ったのか
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(3)水戸藩の問題と安政の大獄
徳川斉昭の側近である藤田東湖は戸田忠敞とともに「両田」体制で水戸藩を支えるが、2人がともに安政の大地震で落命したことから藩の迷走が始まる。「諸生党」と呼ばれる諸政保守・門閥派と「天狗党」と呼ばれる改革派の対立は苛烈を極めることになる。そうした中、井伊直弼が断行した「安政の大獄」は斉昭への処分など水戸藩にとって重いものだったが、そもそも安政の大獄は何のためのものだったのか。(全4話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分57秒
収録日:2021年4月12日
追加日:2026年8月27日
≪全文≫

●水戸藩を支えた「両田」の死と結城寅寿の悲劇


―― そうなると、藤田東湖の評価もなかなか難しくなりますか。

山内 徳川斉昭は、彼の持っている水戸学としての理屈、理論も極端だけれど、言うこと、つまり政策や水戸家の家内統制、家の統制などについてもまったく極端なところがあるわけです。ところが、藤田の場合は、水戸学の理論というものを持っている。そして、非常に極端な性格ではありましたが、現実政治においては妥協したり、人々を説得したりしていく力を持つ人物でした。

 また、(水戸藩には)もう一人、戸田忠敞(戸田忠太夫。通称は銀次郎、号は蓬軒)という人間がいました。戸田と藤田、二人とも「田」がつくため「両田」体制と呼ばれます。両田は、そういう現実感覚を持っていました。

―― 現実感覚を持っていたわけですね。

山内 持っていたのです。戸田と藤田、この2人が斉昭のエキセントリックなところを抑えて、他藩との折衝や幕府との調整を果たしました。そういう交渉の時に、2人は現実感覚とともに頼りになる学識を備え、その両方をもって説得できる力がありました。

 斉昭には、もともと自分の男色対象で、後に最も憎むことになる結城寅寿(朝道)という部下がいました。「可愛さ余って憎さ百倍」というところでしょうか。彼は免職され、幽閉されますが、命を長らえることができました。

 なぜなら、彼はあるときまで藩のトップを担う存在で、後に藤田と戸田に抑えられたとはいえ、結城家は結城秀康の結城ですから、関東の名族、名門の血を引いた人物で、千石取りの重臣でした。このような家柄と能力、高いレベルで幕府とのつながりを持つ人物は、水戸家にとって大事ですから、彼は粛清されなかったわけです。

―― なるほど。

山内 ところが、「両田」が安政の大地震で死んだと聞いた結城はすぐに、「ああ、これで俺の運命も定まった。間もなく死ぬことになる」と漏らしたそうです。これまでは両田(藤田と戸田)が、そういう極端な行為(テロルなどの犯罪的な殺傷行為)に走る人間を抑えてきました。そのために「結城を斬るな」という御事が発せられ、(極端な行為に走る)彼らはためらっていたのです。

 ところが、この2人がいなくなると、自分と議論して敵うものはいない。自分が言い負かされたり、議論したりできる相手は戸田と藤田以外にはいないのだから、自分に対す...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(5)「原則なし」の日本
世界は「原則」でできているが、日本は「原則はなし」にする
橋爪大三郎
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留